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「どんなゲームだろうと3点以上を目指す」、大邱との再戦にも川崎Fはブレない

ぴあ

レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ) (c)KAWASAKI FRONTALE

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もし、負けたとしても決勝トーナメント進出は間違いないだろう。誤解を恐れずに言えば、大邱FC戦は絶対に勝たなければならない戦いではない。それでも川崎フロンターレは勝利だけを睨む。鬼木達監督も「決勝戦だと思って戦う」とキッパリ。

勝ってグループステージ1位突破を決める。そもそも川崎Fに負けていいゲームなんてない。さらに言えば勝てばいいだけでもない。1点奪えば2点目、2点奪えば3点目で試合を決める、勝利をほぼ手中に収めても攻め手を緩めずゴールを狙い続ける。それが川崎Fのスタイルである。

6月26日・大邱との初戦を逆転勝ちした川崎Fは続く6月29日・北京FC(中国)戦では先発を6枚替えながら、7分・左ウイング長谷川竜也、9分・MF橘田健人と立て続けにゴールを奪うとワンサイドゲームを展開。34分にFW小林悠が負傷交代するアクシデントに見舞われるも、代わって入ったCF知念慶の2ゴールなど7-0の大勝。33本ものシュートの雨を降らした。

試合後、ゴールラッシュの口火を切った長谷川は「早い時間帯で複数得点を取ることができて、流れ的にいい入りができた。相手が若手主体ということで、先制点がいつ取れるかがカギになると思っていた。そこで早く取れたこと。個人的にも今季初ゴールだったので、そこはよかったと思う。いろんな選手が点を取れたのも、チームとしていい材料だと思う。大邱戦に出てなかった選手が悔しさを持ちながらプレーしていたと思うので、そこで結果を出したのはチーム全体としてポジティブな結果」と胸を張った。

再び先発6人を入れ替えて臨んだ7月2日・ユナイテッド・シティFC(フィリピン)戦も危なげなく大勝。34分に今季初先発した10番大島僚太のコーナーキックをCB谷口彰悟が頭ですらし、ゴール前に走り込んだ三笘薫がヘッドで先制すると、42分には大島がCFレアンドロ・ダミアンとのワンツーから見事なコントロールショットを決めて2-0。後半はゴールラッシュが始まる。51分にダミアンが決めると、56分後には橘田が2試合連続弾を蹴り込むと、その14分後にはハットトリックを達成。最後まで攻め続けて8-0で締めた。

2戦連続のマン・オブ・ザ・マッチにハットトリックとさぞや景気のいいコメントが聞かれると思いきや、橘田は「得点を取ることは自分でもこだわっているところなので、そこは評価できるが、それ以外の部分ではあまり満足できるようなプレーができなかったので、そこはもっと取り組んでいきたい」と浮かれることなく反省の弁を口にした。

さらにスターティングイレブン8名を変更して臨んだ7月5日・ユナイテッド戦では18分に長谷川の前線からのプレスでバックパスが乱れると知念が拾い、GKとの1対1を冷静に決めてゴールラッシュの幕開けと思いきや、その後は相手GKが好セーブを連発し、ゴールに至らず。追加点は78分まで待たなければならなかった。右ウイング・家長昭博と右SB山根視来で右サイドを崩すとMF脇坂泰斗がグラウンダーのラストパス、最後は長谷川が押し込んだ。

3日前の8-0から2-0、23本ものシュートの雨を降らせながら得点が伸びなかったのは疲労の蓄積かと心配されたが、谷口主将は「相手もいろいろ考えてくるので逆に難しくなりがち。最終的に結果がすべてなので、深く考えすぎずに勝つことが一番。攻めあぐねた感はあるが、やることはやって2-0で勝っている」と不安の声をやんわり否定した。

川崎Fはウズベキスタンの地でここまで4戦全勝をマークしている。コロナ禍で練習と試合以外の行動が制限され、中2日の過酷な連戦にもかかわらず、20得点2失点という文句なしの成績を残している。だが、しかし、初戦のあのビッグセーブがなければ、結果は少々違うものになっていたかもしれない。前半28分のあのプレーは本当に大きかった。

6月26日の初戦、守備の出足が鈍い川崎Fは早々に先制を許した。さらに28分にはPKを献上。GKチョン・ソンリョンのビッグセーブで事なきを得たが、30分足らずで0-2という第2戦以降にも影響を及ぼしかねないピンチに陥っていたのだ。その後、前半の内にダミアンが見事なバイシクルシュートを決めて同点。後半開始直後に大邱にゴールを奪われるも、52分に再びダミアンがDFのクリアミスを逃さず左足を振り抜き2-2。3分後にはゴール前の混戦からこぼれ球をアンカーのジョアン・シミッチが蹴り込んで逆転。その後は相手のパワープレーを抑え込んだ川崎Fが2度のビハインドを跳ね返し、勝点3を手繰り寄せたのだった。

2ゴールをマークしたダミアンが「大邱はリーグ戦で10試合負けなしという素晴らしい結果を残し、この大会に挑んできた。ゲームに入る前からこの試合は難しくなるというのはわかっていた。実際に難しいゲームにはなったが、自分たちが最後の最後まで勝利を目指して諦めずに戦ったからこそ、今日の勝利につながった」と笑顔を見せれば、決勝点を決めたシミッチも「どんな大会も開幕戦は難しいゲームになるのはわかっていた。まだまだ改善点はあると思う。ただ勝点3を取れたのが重要なこと。ゴールという結果でチームの力に貢献できたことをうれしく思う。自分たちがやるべきことをやったことが勝利につながったと思っている」と喜んだ。

チームの危機を救ったソンリョンは「先に失点してしまったが、チーム全員で勝とうという強い気持ちがあった。その思いがつながって勝利という結果が生まれたと思う。失点ゼロで終わるのがベストだが、相手もいいチームだった。ピンチの瞬間、自分がチームの力になれたのならうれしい」と振り返った。

約2週間ぶりの再戦となる大邱戦。川崎Fは4試合連続先発なのはソンリョンのみ。3試合連続スタメンだった谷口、山根は前節後半からの出場となっている。全試合の出場のDF車屋紳太郎、大島、脇坂も先発2試合、ベンチスタート2試合。大邱戦へ向けてしっかり出場機会をコントロールしてきた。

7月7日には前日記者会見が行われた。鬼木監督とユーティリティプレイヤー・旗手怜央が出席し、次のように意気込みを語った。
鬼木監督「ここまでチーム全員の力で4連勝ができているので、勝ってきた総合力を明日の試合でしっかりとぶつけていきたい。決勝戦のつもりで、チーム一丸となって戦いたい」

旗手「ここまで全勝してきてチームとしていい雰囲気で練習や試合に臨めている。明日は自分たち次第で予選突破が決まるので、相手のことというよりも自分たちのできることを精一杯やって予選突破を決めていきたいなと思う」

3連勝でぴったりグループ2位に付ける難敵が相手でも指揮官はノルマ達成を約束した。
「拮抗したゲームになるのではと予想している。ただそれと同時に自分たちは毎試合3点以上を取ろうということを目指してやっているので、そこの部分はブレずにやっていく。勝つために3点というのは必要だと思っているので、どんなゲームであろうともそこは目指していきたいなと思う」

グループステージ突破間近でも強豪が相手でも川崎Fは3点以上を目指す。『ACL』グループI第5節・大邱FC×川崎Fは7月8日(木)キックオフ(日本時間9日(金))。試合の模様はDAZNにて生配信。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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