Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

色とりどりの、狂言建ての六月歌舞伎座公演が開幕

ぴあ

『六月大歌舞伎』

続きを読む

初夏の訪れを目前に、古典歌舞伎から新たに上演される作品、時代ものから世話物、舞踊劇と、色とりどりの狂言建ての歌舞伎座。今月も三部制となっている。

第一部の一幕目は『御摂勧進帳』。兄頼朝と不和になり、都を落ち行く源義経は、武蔵坊弁慶らとともに山伏に姿を変えて奥州平泉を目指す。一行は安宅の関で関守の富樫左衛門と斎藤次祐家らの詮議を受けるが、弁慶の忠義心に心打たれた富樫は義経一行と見破りながらも通過を許す。だが斎藤次の疑いは晴れないままだ。さて一行はどうなるのか。

弁慶が番卒の首を次々と天水桶に投げ込み、金剛杖で芋を洗うような演技から、通称「芋洗い勧進帳」とも呼ばれる。江戸歌舞伎の気分にあふれた一幕。

もう一幕は『夕顔棚』。田舎の百姓家。旧盆の夕暮れ、軒先には美しい夕顔の花が咲いている。湯上がりの夕涼みを楽しむ爺と婆とふたりで酒を酌み交わしていると、盆踊りの唄が聞こえてくる。実は盆踊りが催されるのは久しぶりのこと。その唄に耳を傾けるうち、ふたりは昔を思い出す。

昭和26(1951)年に歌舞伎座で初演された清元の舞踊。厳しい状況を生きる現代の私たちに優しく語りかける一幕。

第二部は『桜姫東文章』下の巻。36年ぶりとなる人気の配役で大きな話題となった4月の「上の巻」に続き、「下の巻」が上演される。『東海道四谷怪談』でおなじみの四世鶴屋南北が得意とする、退廃的で残酷な美の世界を堪能したい。桜姫の悪婆とお姫様の言葉が入り混じった台詞も聞きどころだ。

桜姫への執念を抱き続ける清玄は、元弟子だった残月と、元は桜姫の局の長浦に殺されてしまう。後始末をしたのは墓穴掘りの権助。ひょんなことから女郎として売りに出された桜姫と再会するが……。運命と愛欲に翻弄される3人の運命は?

第三部の一幕目は『京人形』。日光東照宮の眠り猫の作者として有名な左甚五郎を主人公にした舞踊劇だ。京の都で見初めた小車太夫のことが忘れられない彫工の名人・左甚五郎は、太夫に生き写しの人形を彫る。出来上がった人形相手に酒宴を始めると不思議なことに人形が動き出す。だがその仕草は男性そのもので……。

前半は人形の精が男性の仕草と色っぽい傾城を踊り分け、後半は甚五郎が大工道具を用いたユニークな立廻りを見せる。

二幕目は『日蓮』。戦乱と天災が相次いだ鎌倉時代。夜更けの比叡山では、古いお堂の前に修行僧たちが集まっている。蓮長は飲まず食わずで十日間こもり続け、ついに読経の声も途絶えてしまった。成弁がその身を案じてお堂の中へと踏み込んでみると……。

強い信念によって蓮長から名を改めた日蓮。これまでも日蓮を描いた歌舞伎作品はあったが、今回日蓮聖人降誕八百年を記念して作られ新たに上演される。

文:五十川晶子

『六月大歌舞伎』
演目

【第一部】11:00開演
一、『御摂勧進帳 加賀国安宅の関の場』
二、『夕顔棚』

【第二部】14:10開演
『桜姫東文章 下の巻』

【第三部】18:00開演
一、『銘作左小刀 京人形』
二、日蓮聖人降誕八百年記念『日蓮─愛を知る鬼(ひと)─』

※『日蓮-愛を知る鬼(ひと)-』の鬼の正式表記は角なし

2021年6月3日(木)~2021年6月28日(月)
会場:東京・歌舞伎座

アプリで読む