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北島マヤを見ているようだった、映画初主演・古川琴音の演技を監督絶賛

ナタリー

「春」公開記念舞台挨拶にて、左から大森歩、古川琴音。

短編映画「春」の公開記念舞台挨拶が東京・アップリンク吉祥寺で10月2日に行われ、映画初主演を務めた古川琴音と、監督の大森歩が登壇した。

「春」は大森の実体験をもとに、認知症の祖父と二人暮らしする美大生アミの1年間を描いた本作。ボケて子供返りをする祖父にイライラを募らせ、翌年には就活を控えるアミの心情が紡がれる。

CMディレクターとして活動してきた大森は、映画初監督作にこの題材を選んだ経緯を「祖父が老衰で亡くなったときに、『人っていつか死ぬんだな』と思い、祖父への気持ちを映画にしました」と語る。脚本を執筆する際は、祖父と住んでいた当時のmixiの日記を読み返してエピソードを盛り込んだと明かした。また最初に古川の演技を見たとき、「ガラスの仮面」の主人公・北島マヤを見ているようだったと述懐。「マヤが学校の倉庫でパントマイムの一人芝居をやると、観客には家や喫茶店といった空間が見えるんです。古川さんがこの脚本を読んだとき、私には家がパッと見えました。そんな経験は初めてだったので『ガラスの仮面』だと思っちゃいました」と振り返った。

古川は恐縮しながら「私の役が監督ご本人(をもとにした設定)なので、監督の前で演じるプレッシャーを感じていました」と吐露。脚本はセリフで書かれていない部分が多かったため、現場で大森から話を聞いて理解を深めていったという。「老いていくおじいちゃんを見て、ショックだとか、苛立ちや恥かしさがあることは想像できていました。でもおじいちゃんが大人を脱ぎ捨て、子供返りしていく過程に愛おしさといった感情が湧き起こるのは、実体験ならではの感覚で、聞かなくてはわかりませんでした」と説明した。

最後に大森は「『春』はセリフを削ぎ落として、間や表情で語りたいと思って作りました。1回目と2回目に観たとき、例えばおじいちゃんが見つめている表情がうれしそうにもつらそうにも悲しそうにも寂しそうにも、感情が違って見えます。正解はないので、感じ取っていただければと思います」と呼びかけた。

「春」は、大森の新作「リッちゃん、健ちゃんの夏。」と同時上映。「リッちゃん、健ちゃんの夏。」では、かつてキリシタンが隠れていた長崎の離島・黒島を舞台に、女子中学生と国語教師の淡い恋が描かれる。

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