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『きみセカ』竹内涼真と中条あやみの“最悪の再会” 二本の緊張の糸がついに一本に

リアルサウンド

21/3/14(日) 6:00

 主人公・間宮響(竹内涼真)とヒロイン・小笠原来美(中条あやみ)が、ついに再会を果たした『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)。ところがそれは、私たち視聴者が想像していたもののうち、最悪なかたちで実現されることとなった。二人は知らぬうちに敵対し合う関係になっており、目の前にいるのが最愛の人だと気がついたときにはすでに遅し。響の放った矢は、来美の体を射抜いていたのである。

 響と来美は互いに、「無事に再会する」という同じ目的を持ちながら、それぞれに異なるストーリーを紡いできた。最終的な目的が同じであっても、二人が置かれている環境は大きく異なるものだったのだ。人間をゾンビ化させてしまう“ゴーレムウイルス”が蔓延し、あちこちにゾンビが溢れ返った、同じ世界にありながらである。

 この異常な世界で、文字通り体を張ってサバイブしてきたのは響の方だ。一人で街をさまよい、何人もの仲間と出会い、そして別れ、過酷な環境下をどうにか生き抜いてきた。本作の序盤から物語の大きな緊張感を生み出していたのは、“響サイド”だといえるような気がする。そこではゾンビたちとの戦闘はもちろんのこと、人間同士の駆け引きや裏切り、かつての親友である等々力(笠松将)との対立、極限状態での倫理観の変化などが描かれてきた。しかし、こちらの生み出す緊張感ばかりでは、二本に枝分かれしたストーリラインの均衡は崩れてしまっていたことだろう。

 では一方の、“来美サイド”はどうだろうか。彼女が身を置く横須賀駐屯地に等々力がやってきて、“響の死”というウソを伝えてからは来美自身も緊張感を生み出すことに貢献しているように思う。しかしそれまでは、“ヒロイン”という作品における立場上、そして研修医という役どころから、彼女自身が緊張感を生み出していくのは難しかったのではないだろうか。それまでの“来美サイド”の緊張感を生み出し維持してきたのは、やはり彼女を取り囲む面々だったのではないかと思うのだ。それはもちろん、首藤(滝藤賢一)やジアン(玄理)、自衛官である桑田(浅香航大)や沢(堀家一希)らの存在である。

 ゴーレムウイルスの研究者・首藤は、初登場時から確実に何か裏のありそうな存在であったが、案の定だ。“響の死”に放心状態となっていた来美の弱味につけ込んで、マインドコントロールまがいのことを施し、彼女の正義感に揺さぶりをかけた。その結果、響と来美を最悪の状況に導いてしまったのだ。首藤は響たちがいま直面している事態を引き起こした張本人であり、彼らの“悲劇的な再会”の主犯はこの男だともいえるだろう。

 これまで首藤の脇に立ってきたジアンは、日韓新興感染症対策機構の研究者。響の仲間であったミンジュン(キム・ジェヒョン)の姉であり、来美に横須賀駐屯地で生きる“きっかけ”を与えた人物でもある。彼女は首藤とはまた違うかたちで、二本のストーリーラインの緊張感がときに重なり合う、その架け橋をつくり続けてきた一人だ。

 自衛官という職務に忠実であるものの、これまた違うかたちで緊張感のキープに貢献してきたのが桑田と沢の二人である。とはいえ、このふたりはバディ関係にありながら、本作における立ち位置は異なる。彼らは同じ自衛官だが、上下関係があるのだ。冷静位沈着で常に的確な判断を下す桑田は暴走気味な首藤に違和感を抱いていおり、理性よりも感情が先走る沢の若さは少しばかり危険。精神的に成長していく部下と、それを促す上司の物語も生まれそうなものだが、そんな余裕など存在しない世界だ。“テロリスト”と目される響たちとどう対峙していくのか見ものである。

 悲劇的な再会となり、ようやく一つに繋がった響と来美の物語。最悪な再会の仕方によって、緊張感は高まるどころか最高潮に達している。このピンと張り詰めた緊張の糸の先は、いったいどこへと結びつくいているのだろうか……。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『君と世界が終わる日に』
Season1(全10話):日本テレビ系にて毎週日曜22:30〜放送
Season2(全6話):Huluにて、3月配信開始
出演:竹内涼真、中条あやみ、笠松将、飯豊まりえ、大谷亮平、笹野高史、マキタスポーツ、安藤玉恵、横溝菜帆、鈴之助、キム・ジェヒョン、滝藤賢一
脚本:池田奈津子
音楽:Slavomir Kowalewski A-bee
主題歌:菅田将暉「星を仰ぐ」(Sony Music Labels Inc.)
制作:福士睦、長澤一史
チーフプロデューサー:加藤正俊、茶ノ前香
プロデューサー:鈴木亜希乃、鬼頭直孝、伊藤裕史
協力プロデューサー:白石香織
演出:菅原伸太郎、中茎強、久保田充
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ、HJ Holdings,Inc.
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kimiseka/
公式Twitter:@kimiseka_ntv
公式Instagram:@kimiseka_ntv

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