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SKIN/スキン

20/6/25(木)

(C) 2019 SF Film, LLC. All Rights Reserved.

なぜ、人は差別をするのか? そして本当に人は改心できるのか? 今、アメリカで起こっている黒人殺害事件でのデモのように、白人至上主義で育ったことで、その行為が当たり前のものとなり、自分は正しいと思ってしまう恐ろしさは、アメリカだけではなく、世界中に蔓延しています。 ましてや、自分は差別などしていないと思っても、それは個人の考え方から生まれた回答という盲点だったり。果たしてアナタは本当に偏見や差別を持っていないのか? そして、この映画が叫んでいる、“人は本当に変われるのか?” そもそも実在するこの映画の主人公ブライオンは、なぜ、そこまで怒りを抱えてレイシスト集団で活動してきたのでしょうか? 物語は幼少期の彼を描くことなく進んでいきますが、あるシーンで彼らの育ってきた環境を読み取ることができます。それは白人至上主義者グループの主催者である育ての親と、グループのメンバーたちが庭で集まるシーン。ビル・キャンプ扮する父親的存在のクレーガーは、彼らを自分の息子のように扱い、問題ばかり起こす男性に向けて皆の前で注意をすると、まるで軍隊のようにその他のメンバーにも声を出させ、服従させるのです。一方、ヴェラ・ファーミガ扮する母親的存在のシャリーンは、彼らの頭を自ら剃ってあげ、スキンシップを図る母性に満ちた対応をするという。まさに血の繋がらない親からの厳しい愛と温かな愛を受け、彼らの考えだけしか聞かされずに育ったのがブライオン。 ジェイミー・ベル扮するブライオンにとっては、拾ってくれ、育ててくれた彼らは自分に道筋を開いてくれ、愛で包んでくれた家族であり、絶対的な愛であったはずなのに。それでもブライオンに変わるきっかけを与えてくれたのは、家族ではない新たな居場所であり、家族以外で、“社会”が自分を認めてくれたという証にもつながる出来事だったように見えてくるのです。 あえて説明を入れず、あえて心の変化を語らせず、あえてタトゥー除去のシーンを幾度となく導入し続けることで、観客自身にブライオンの考えを読み取ってもらおうという手法。 そしてある意味、子離れできないモンスターペアレンツのようなレイシスト集団から独り立ちするには、誰かの助けがなければ不可能で、驚くべき点は同じ状況から脱出した元レイシストではなく、被害者側とも見える黒人男性の影響というところに映画化する意味があったのです。では黒人男性はレイシストたちに怒りを覚えていないのか? “目には目を”という言葉は何も生み出さないのかもしれない。“どうしたら人は変わるのか” この簡単ではない問いの答えが、薄っすらと見えた気がしました。

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