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日本を制す次の韓流スターは? 『愛の不時着』『梨泰院クラス』『サイコだけど大丈夫』から探る

リアルサウンド

20/8/8(土) 8:00

 現在Netflixで配信中の『愛の不時着』、『梨泰院クラス』の一大ヒットをきっかけに、最新ドラマ『サイコだけど大丈夫』も注目を浴び、日本で新たなブームが起きている韓国ドラマ。そもそも韓国ドラマが初めて大注目を浴びるようになったのは、2004年頃に巻き起こった『冬のソナタ』のヨン様ことペ・ヨンジュンの大ブームから。ヨン様と共に他のイケメン俳優にもスポットが当たり、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビンといった“韓流四天王”と呼ばれる俳優たちへの人気が沸騰した。

 この頃の韓国ドラマと言えば、“純愛”、“初恋”をテーマとした哀愁を感じさせるストーリーを軸に、どこまでもヒロインを一途に愛す主人公と、健気でどこかか弱いヒロインの印象が強い。記憶喪失や出生の秘密など日本ドラマにはなかなかない設定が、斬新でドラマチックだった。

 続いて2009年〜2012年ごろ、東方神起、BIGBANG、少女時代、KARAなどK-POPアイドルたちの人気に火がつき、アジアのプリンス、チャン・グンソク主演の『美男ですね』のヒットも相まって第二次韓流ブームへ。この頃は、“男装女子”や“ツンデレ男子”などが大流行し、韓国ドラマは、涙が止まらない純愛ものから、笑いや胸キュンが散りばめられた明るいイメージへと姿を変えた。

 “ツン”としてヒロインに冷たくしていた男性が、恋をして心を開き、“デレ”になるその姿に萌えたファンが多かった、“ツンデレ男子”主流の第二次韓流ブーム。そして現在、話題を集めている主流の韓ドラでは、男性像もまた多様な形で変化を遂げている。そんな新たな男性像を示した、今回の韓流ブームの立役者たちから、新しいスターを探っていきたい。

ヒョンビンが『愛の不時着』で見せた、完全なる理想の男性像

 『愛の不時着』で3度目のブレイクを迎えているヒョンビン。最初のブレイクとなった韓国で驚異の視聴率50.5%を叩き出した伝説のラブコメ『私の名前はキム・サンスン』では、名女優キム・ソナが演じるアラサーポッチャリ女子に対し、ツンとしていたかと思えば、彼女にしか見せない究極のデレを見せ、ギャップ満載の演技で魅了した。

 続く2010年のドラマ『シークレット・ガーデン』で2度目の大ブレイクを迎え、デパートのCEOを務める俺様キャラの御曹司が、ヒロインの魂と入れ替わるストーリーの中で、仕草だけでなく言葉遣いや目線に至るまで女性らしさ、可愛らしさを爆発させた。

 そんな“ツンデレの神”ヒョンビンが『愛の不時着』で演じたのは、クールなポーカーフェースを保ちながらも、時にはやきもちを焼き、可愛く拗ねたりもする北朝鮮の将校リ・ジョンヒョク。ツンどころか深い愛情を隠そうともせず、ヒロインを誠実に愛する。命をかけて守ってくれる男でありながら、どこか母性本能をくすぐり、愛着が湧くジョンヒョクは、現代の理想の男性像との声も大きい。

 ツンデレのギャップではなく、涙が出るくらいの一途な愛でヒロインを包み込むその姿が私たちを夢中にさせ、何度もヒョンビン演じるジョンヒョクに逢いに行ってしまう。どの時代でも理想の男性像を誕生させ、本作でまた新たな形を示したヒョンビンと『愛の不時着』が残したものは非常に大きい。

男が惚れる理想の男性像、『梨泰院クラス』のパク・ソジュン

 『愛の不時着』と共に今なお日本でアツい人気を博しているのが『梨泰院クラス』だろう。日本の有名人もこぞってハマり、『梨泰院クラス』オフ会なるものがネットで生配信されるほどの熱狂ぶりだ。

 主演を務めたのは、これまで数々のドラマを大ヒットに導き、“大ヒット保証俳優”などと呼ばれてきたパク・ソジュン。『梨泰院クラス』での不条理な世の中に押しつぶされない、真っ直ぐな信念を持ったパク・セロイは、人々の胸を打っている。セロイの名言集やいがぐり頭の独特なヘアスタイルが流行するなど、社会現象も起こしている人気ぶりだ。

 パク・ソジュン演じるセロイが愛されたのは、損得を抜きにして自分の大望に向かって突き進んでいく、一本筋の通った男の中の男という人柄からだろう。その姿には、女性のみならず男性でも惚れ、セロイはまさに混沌とした世の中に現れた真のヒーロー。従業員たちから信頼される姿からは、理想の上司像としても映る。

 パク・ソジュンは世の女性の胸キュンを誘う“メロ職人”であると同時に、“ブロマンス職人”などと言われ、男性俳優たちとのケミストリーも高く評されている。そのブロマンス技と男気溢れる兄貴キャラはドラマの中だけに留まらず、プライベートにも及ぶのがまた彼が愛される理由。パク・ソジュンを中心に『パラサイト 半地下の家族』のチェ・ウシク、『花郎』で共演したZE:Aのパク・ヒョンシク、そしてBTSのV、シンガーソングライターのPeakboyの5人は「ウガウガ会」や「ウガファミリー」などと呼ばれ、仲良く旅行に行ったり、食事に行ったりする仲間である。パク・ソジュンの親しみやすく飾らないそのキャラクターは、芸能界においても兄貴的存在として愛されているようだ。

 男女問わず愛される新たな人物像を示し、韓国ドラマに若者を引っ張り込んだパク・ソジュンの時代はまだまだ続きそう。

傷を抱えた守ってあげたい男、『サイコだけど大丈夫』キム・スヒョン

 『愛の不時着』、『梨泰院クラス』に続き、NetflixTOP10に名を連ね、韓国ドラマブームに新たに名乗りを上げているのが『サイコだけど大丈夫』である。

 主演を務めているのは、圧倒的存在感を放つキム・スヒョン。『太陽を抱く月』では悲運の王を熱演し、最高視聴率46.1%の大ヒットを記録。『星から来たあなた』では、“冷静沈着な宇宙人”を演じ、切ない瞳でアジア中を虜にした。

 彼の除隊後初の本格復帰作である『サイコだけど大丈夫』は、キム・スヒョンの繊細な演技力が物語の軸を支えている。本作で演じているのは、自閉スペクトラム症の兄のために自分の意思を後回しにし、その人生の重さから愛を信じられなくなっている主人公のムン・ガンテ。兄を守るという使命感を背負い、母の兄に対する愛情の偏りから、その使命感や責任感が空虚な傷へと変わり、ガンテは感情をあまり表に出せない。

 透き通った彼の瞳は、どこかとてつもなく切なく、寂しげである。これはもう天性のものだろう。愛されない傷を抱えた男は、どこかセクシーで母性本能をくすぐる。童話の世界観と圧倒的映像美で一見すると派手に思える本作だが、訴えているのは実に普遍的なメッセージである。“あなたはあなた、そのままで大丈夫”。秀逸な脚本と卓越した俳優の演技力でそのメッセージがじわじわと心に響いてくる。

韓国中が愛した純朴ストレート男 『椿の花咲く頃』カン・ハヌル

 一方で、2019年に高い視聴率を叩き出し、韓国中で熱狂的に愛された、”韓国ドラマ史に残る名作”と謳われているのがNetflixで配信中の『椿の花咲く頃』だ。

 韓国のゴールデングローブ賞と呼ばれる百想芸術大賞で、『愛の不時着』や『梨泰院クラス』といった世界で愛された強豪を抑え、大賞を含む4冠を達成した作品である。また、ヒョンビンやパク・ソジュンら大俳優が並び、歴代最も大激戦と言われた最優秀男性演技賞を受賞したのが、若き俳優カン・ハヌルだ。

 デビュー後初の主演を務めた本作では、純朴でストレートな青年ヨンシクを演じた。田舎臭く猪突猛進なヨンシクに、序盤は暑苦しさを感じるほどなのだが、観ているうちにそのまっすぐさに中毒のように惹かれてしまう。大声で愛を叫ぶ一方で、どこかセクシーな魅力を放つその姿は、韓国で“純朴セクシー”などと造語が出来たほど。劇中でカン・ハヌルが発した方言まじりの名台詞の数々は、“応援語録”と呼ばれ多くの視聴者に慰めを与えた。

 やかましいくらいのヨンシクのポジティブさが、自己肯定感を高めてくれる。素敵なヒーローではなく、平凡であっても人は誰かの奇跡になりうることを教えてくれた。日本では未だ注目度が低いが、実は本作こそ、往年の韓国ドラマファンがこぞっておすすめNo.1に挙げる、実に韓国ドラマらしい暖かい作品である。

 今話題のドラマで活躍する俳優たちだけでなく、魅力的な俳優がまだまだ存在する韓国エンタメ界の底力は計り知れない。掘れば掘るほど素晴らしい作品、そして良い俳優を発見してしまう。日本でも流行が巻き起こし、スポットライトが当たっている今、それぞれのドラマを通して俳優たちの魅力を堪能してほしい。

■Nana
韓国系のドラマ専門フリーライター。ドラマレビューサイト運営、「k-bord」にて執筆。Twitter

■配信情報
『愛の不時着』
Netflixにて配信中
出演:ヒョンビン、ソン・イェジン、ソ・ジヘ ほか
原作・制作:イ・ジョンヒョ、パク・ジウン

『梨泰院クラス』
Netflixにて配信中
出演:パク・ソジュン、キム・ダミ、ユ・ジェミョン ほか
原作・制作:キム・ソンユン、チョ・ガンジン

『サイコだけど大丈夫』
Netflixにて配信中
出演:ソ・イェジ、キム・スヒョン ほか
写真はtvN公式サイトより

『椿の花咲く頃』
Netflixにて配信中
出演:コン・ヒョジン、カン・ハヌル ほか

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