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主演作がカンヌ出品の西島秀俊、現地入りできず「行きたかった」と無念の表情

ぴあ

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村上春樹による短編小説を映画化した『ドライブ・マイ・カー』の第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への正式出品を祝す“壮行会”イベントが7月4日、都内で行われ、主演の西島秀俊をはじめ、三浦透子、霧島れいか、濱口竜介監督が出席した。

同部門への日本映画の出品は、今年は本作が唯一となる快挙。レオス・カラックス、ウェス・アンダーソン、フランソワ・オゾンらの新作とともに、最高賞にあたるパルムドールを競う。コロナ禍で昨年は中止となったため、審査員長は昨年決まっていたスパイク・リーが担当する。

6日から開幕し、三浦、霧島、濱口監督の現地入りが決定しており、“留守番”となる西島は「できれば行きたかったですね…。世界中から観客がやって来る映画祭ですし、意外な反応もあると思うので、ぜひそれを聞きたいです」と無念の表情で、エールを送った。

濱口監督は「帰国後の隔離などもあり…、こればっかりは残念でさみしいですね。ぜひ一緒に行きたかった」とこちらも残念そうな様子。「すばらしいものが映っている映画だと思っているので、(コンペに)選ばれたという結果はうれしく、誇らしく思います。特に西島さんは出ずっぱりで、出演していないシーンはほぼない。西島さんあっての映画。日本にすばらしい俳優がいるんだと現地でも示したい」と意気込みを明かした。

三浦は「私にとっても特別な経験でしたが、海外の人に見てもらえる機会は心からうれしい。初めてのカンヌなので、目に焼け付けたいです。レッドカーペットのドレスですが? 何を着るかは決まっていますが、今は秘密です」と声を弾ませ、霧島も「見終わって心が震えた。こんなすばらしい作品が日本から生まれたんだと知ってもらえるので、ワクワクしかない」と現地入りに期待を寄せていた。

原作に惚れ込み、自ら脚本も手掛けた濱口監督は、第71階カンヌ映画祭のコンペティション部門に選出された『寝ても覚めても』、ベルリン映画祭で銀熊賞受賞を果たした短編集『偶然と想像』、脚本を手がけた『スパイの妻』がヴェネチア映画祭銀獅子賞に輝くなど、国際的な舞台でその名を轟かせている注目の俊英だ。

西島は「世界が注目し、これからもっと大きくなる濱口監督の作品に参加させていただき、光栄ですし、いち俳優として、すばらしい経験をさせてもらった」と振り返り、「フィクションなので架空の人物が、架空の人生を生きていますが、そこには真実が映っていて、見ている側に突き刺さる」。濱口監督といえば、過去には上映時間が5時間を超える大作も手がけており「その監督から『3時間を切りました』って言われて、聞いたら2時間59分で(笑)。でも、見るとあっという間。真実が映っていて、観客自身が没頭できるからだと思います。感覚的には1時間半です」とアピールしていた。

主人公である演出家の家福(西島)は愛する妻(霧島)と満ち足りた日々を送っていたが、その妻は秘密を残して突然この世を去ってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦)と出会った。そして行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気付かされていく。

濱口監督によると、原作者の村上春樹氏は「恐らく映画はご覧になっていない」といい、「試写会の日程をご案内したが『地元の映画館で拝見します』とのことで、個人的な体験として楽しみたいということだと受け取っている。もちろん、どうお感じになるか、誰よりも気にしているし、楽しみ。ご覧いただき、感想を聞く機会があれば、ありがたい」と神妙な面持ち。映画化に際し、原作からの改変も含めて伝えたといい「その上で、許諾のお返事だけをいただいた」と経緯を説明していた。

取材・文・写真=内田涼

『ドライブ・マイ・カー』
8月20日(金)公開

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