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メルセデス・ベンツ アート・スコープ 2018-2020

20/8/9(日)

メルセデス・ベンツ日本がドイツと日本の現代美術家の派遣・招聘を通して文化交流を図る芸術支援活動、「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」に参加した作家の滞在成果を発表する展覧会。今回の出品作家は3人。 ギャラリーIは、ベルリン在住のハリス・エパノミンダの作品。赤いカーペットに黄金の球体、壁には環境音楽の草分け的存在・吉村弘をめぐるテキスト。赤いカーペットと庭の緑が音楽をめぐる音のない展示空間を引き立てる。 ギャラリーIIは、久門剛史の「Resume」。ラワン材の裏側に塗られた蛍光塗料が白い壁に反射して仄かな色彩が光となって映し出される。6000hzの正弦波がかすかに響く中、飛行機の音や庭の虫の声、そして自然光の変化など「環境」に対する感性が呼び覚まされる。 ギャラリーIVとVは、小泉明郎の「抗夢#1(彫刻のある部屋」。言葉によって規定される世界認識をめぐる考察。ヘッドフォンを通じて聞こえてくるフレーズが、実際には「何もない部屋」に彫刻や人間の死体などの亡霊のごときイメージを浮かび上がらせる。発話が想像力を喚起し、見えないものが脳裏に形成されていく。この不穏な空気感。しかしそれが私たちの現実認識のパターンなのだと気づかされる。「抗夢#2(神殿にて)」はスマフォを使って街中で体験する作品となっている。それはそれでまた怖ろしいような......。 このように「作品を単独で鑑賞する」のではなく、作品設置を通して普段は目を落としがちな「美術館建築の空間やそのディテール」に目を向けさせる展覧会が、ここ何年か増えているように思う。今回の展示も、今年の12月で閉館する原美術館の空間を愛おしむ機会の一つとなるのではなかろうか。原美愛の方々にはぜひ足を運んでいただきたく。 ちなみにギャラリーIIIのエパノミンダの映像作品「日本日記」も必見。「昭和な風情」の情景が多く「いつ撮影されたのかなあ」とぼんやり見ていたら、アニメ『鬼滅の刃』のシーンが目に飛び込んできて、「あ、これ昨年の撮影なんだ!」。この昭和レトロ感を、外国人作家がどのようにキャッチしたのだろうかとあれこれ感慨深く。

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