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【おとな向け映画ガイド】

韓国3大男優によるパニック・アクション『白頭山大噴火』、平和国家ノルウェーの汚点『ホロコーストの罪人』をご紹介。

ぴあ編集部 坂口英明
21/8/22(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(8/27〜28)に公開される映画は19本。全国100スクリーン以上で拡大公開される作品は『アーヤと魔女』『鳩の撃退法』『オールド』『スペース・プレイヤーズ』『岬のマヨイガ』『夢判断、そして恐怖体験へ』『白頭山大噴火』の7本。中規模公開、ミニシアター系の作品が12本です。今回はその中から、オトナにこそおすすめの『白頭山大噴火』と『ホロコーストの罪人』をご紹介します。

朝鮮半島が壊滅的被害……
『白頭山大噴火』

北朝鮮と中国の国境にある活火山、白頭山が世界最大規模の大噴火を起こし、余波の大地震で南北朝鮮が大混乱におちいります。噴火が続く白頭山の地底にはまだマグマ溜りがあるため、さらなる大爆発が75時間後に起こり、朝鮮半島全体に壊滅的な被害をもたらす可能性が濃厚。そんな、大惨事をテーマにした韓国のパニック大活劇です。

韓国政府はこの危機を回避するために緊急の極秘作戦を立てます。それは、この被害により機能不全になっている北朝鮮の核爆弾を使い、つまり奪い、白頭山の地下で爆発させ、マグマの流れを変えようという大胆なもの。実行部隊を率いるのは韓国軍爆弾処理班のインチャン大尉。と、ここからがこの映画の面白いところで。ゴジラ的なパニックものに、ミッション・インポッシブルのようなスパイアクション、さらには男の友情まで入った、てんこ盛りのエンタテインメントになっているのです。

ミッションは、まず火山灰降りしきる北朝鮮に部隊が空から侵入。それから、核兵器の場所を知る北の工作員リ・ジュンピョンに接触。二重スパイ容疑で収容所に収監中の彼を確保します。そして、核兵器を奪い、白頭山の地下で爆発させるというもの。そのすべての難度は高く、成功の確率は3.48%と推定されます。

ドラマの中心になるのは3人。韓国を代表する3大スターを惜しげもなく投入しています。インチャン大尉を演じているのはハ・ジョンウ。スーパーマン的なヒーローではなく、身重の妻がいて、家族思い。ちょっととぼけたところもあり、人間味を感じられる人物像です。北の工作員には韓国きっての人気スター、イ・ビョンホンを当てました。核燃料の隠し場所を知り、二重スパイの疑いがあるくらいの人物ですから、謎めいていて、影のある複雑なキャラ。ビョンホンはこの演技で、韓国の代表的な映画賞・大鐘賞の主演男優賞を受賞しています。さらに、作戦を最初に思いつき、最後まで作戦本部で奮闘する地質学者カン教授役は、なんと、あのマッチョ俳優、マ・ドンソクです。今回は腕力を封印していますが、意外やかなり似合っています。この豪華配役にそれぞれ個性を発揮できる見せ場があって、展開のバランスも申し分ありません。

ハ・ジョンウとマ・ドンソクが出演した『神と共に』という、地獄と実世界の両方を行き来する壮大なファンタジー・アクション映画がありましたが、あの特撮を担当したデクスタースタジオの制作。パニックに陥った国内の様子、大噴火する火山など、特撮映像のリアリティにも目をみはります。『神と共に』で撮影監督だったキム・ビョンソと、『彼とわたしの漂流日記』のイ・ヘジュンが共同監督をしています。

【ぴあ水先案内から】

夏目深雪さん(著述、編集業)
「……クセと魅力がある三人の男が力を合わせて国難を救う終盤は涙腺と興奮MAX……」

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堀晃和さん(ライター&エディター)
「……世界から注目を浴びるVFXスタジオ「デクスタースタジオ」の迫力の映像が見所だ。……」

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紀平重成さん(コラムニスト、元毎日新聞記者)
「……大噴火までのタイムリミットは75時間。そこに家族愛や国への忠誠心、さらにミッションを通じて育まれた友情まで盛り込まれ、見ごたえは十分……」

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真実が明るみにでるのは70年後
『ホロコーストの罪人』

ノルウェーは、ノーベル平和賞の選考役をつとめ、イスラエルとパレスチナ解放機構の和平合意(オスロ合意)に尽力するなど、世界の平和に貢献する「平和推進国」のイメージがあります。そのノルウェーに、実は、汚点のような歴史がありました。第二次世界大戦中、ナチスのユダヤ人虐殺に国家機関が関与していたのです。「我々は“ホロコーストの罪人“です」という、まるで懺悔のようなテーマを持った、ノルウェー制作の映画です。

オスロの町で商売を営むユダヤ人のブラウデ一家。長男は国際マッチでも活躍するボクサーです。彼はノルウェー人女性と結婚したばかり。平穏で幸せな日々を送っていました。しかし、その一家に不幸が押し寄せます。ナチスの指揮下にあったノルウェー秘密国家警察によるユダヤ人狩りです。最初は青年男子だけが国内の収容所で強制労働をさせられ、やがてそれがエスカレートしていきます。ある朝、突然、老いも若きも拘束され、オスロの港に集めらます。港に横付けされた船の行き先はポーランド。あのアウシュヴィッツ収容所です。ノルウェーに住むユダヤ人の多くがホロコーストの犠牲者となったのです。映画は、ブラウデ一家を中心にこの理不尽な悲劇を描いていきます。

事件が明るみにでて、政府も公式に事実を認め、ノルウェー首相が謝罪したのは、70年後の2012年。この隠蔽は、“最大の罪”(映画の原題)といわれました。映画は、事実を元にしたマルテ・ミシュレの小説を原作に、1983年生まれのエイリーク・スヴェンソン監督(前作は、日本のアニメやコスプレ大好きの少女を主人公にした『HARAJUKU』)が映画化。2020年のクリスマスにノルウェー国内で公開され、大ヒットしています。

【ぴあ水先案内から】

池上彰さん(ジャーナリスト)
「……、現代のノルウェー国民に対し、「あのとき、あなたの親たちは何をしていたのか」と問いかける映画……」

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中川右介さん(作家、編集者)
「……物語が終わった後の、エンドロールの前に、後日談が字幕で出る。ここでの情報量が多く、そして重い。何度も衝撃を受けた。

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