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春風亭一之輔「歌舞伎を観たことがない方にもおすすめしたい」 人気落語家がシネマ歌舞伎を語る

ぴあ

春風亭一之輔

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5月からスタートした「月イチ歌舞伎」は、歌舞伎の舞台公演を撮影し、臨場感たっぷりにスクリーンで鑑賞する「シネマ歌舞伎」を、月に一度全国の映画館で上映する人気企画となっている。

人気落語家・春風亭一之輔は連日多数の高座を勤める超多忙なスケジュールの中でも、毎月時間を作っては歌舞伎を観に行くという大の歌舞伎好きだ。その彼に歌舞伎ファンから見たシネマ歌舞伎とはどういうものなのか、その魅力を聞いてみたい。

――歌舞伎をお好きになられたきっかけを教えていただけますか。

歌舞伎を始めて観たのは、高校生の時に授業の一環で連れて行ってもらった国立劇場です。「野崎村(新版歌祭文・しんぱんうたざいもん)」を最前列の花道のつけ際で観ました。いい席だったなぁ。でも、定期的に観に行くようになったのは大学進学で上京してからです。かみさんは大学の同窓生なのですが、歌舞伎・舞踊研究会に所属していて、よく歌舞伎座へ連れて行ってもらいました。お金がありませんから、一幕見席でね。代わりにぼくが彼女を寄席に連れて行ったり。

――素敵なデートですね。今もよく通われています?

月に1度くらいですけれど、観に行かせていただいています。落語の参考になるかどうかは関係なく、純粋に好きだから、楽しみに行っているという感じですね。うちの師匠(春風亭一朝)は歌舞伎好きなので、弟子入りしたときは芝居を観るやつが入って来たと喜んでました。師匠のおかみさんのご兄弟は歌舞伎役者の片岡亀さんで、お正月には師匠へご挨拶に見えるのでお話したりします。

――片岡亀蔵さんは、シネマ歌舞伎にもたくさん出演なさっています。歌舞伎ファンの一之輔師匠からご覧になって、シネマ歌舞伎はいかがですか。

『野田版 研辰の討たれ』の亀蔵さんのからくり役は、10歳の娘が一緒に観ていたのですが腹を抱えて笑っていました。シネマ歌舞伎は、手の込んだ大道具や表情など細かいところまでアップで観られて、面白いですね。セリフも入ってきやすいし、カメラワークがストーリーを追いやすくしてくれます。

生の舞台で観るよりもわかりやすいので、歌舞伎を観たことがない方にもおすすめしたいです。もちろんライブにはライブの良さがあって、幕が上がって、他のお客さんと一緒に拍手して、舞台全体が目に入るのも味わっていただきたいですが、どちらが先でもいいと思います。



――他に気になるシネマ歌舞伎は?

今年の上映作品の中だと7月の『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』は凄いキャスティングですね。8月の『大江戸りびんぐでっど』も舞台を観ていないから観たいなぁ。今年の上映ラインナップには無いですが、落語家としてはやっぱり『らくだ』が気になります。

特にシネマ歌舞伎になった、中村勘三郎さん、坂東三津五郎さんの『らくだ』は贅沢です。あとは『文七元結』のおかみさん役は落語でもとても難しい役なので、先代の中村芝翫さんが演じられているのは観てみたいですね。

――落語と歌舞伎は全く異なる芸能ですが、それぞれの得意分野はどういうところだと思われますか。

見た目の華やかさですとか、現れたときのあっと言わせるインパクトは、歌舞伎にはかなわないなと思います。6月に公開する『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』にご出演の勘三郎さんや坂東玉三郎さんは、現れただけでお客さんがウキウキしたのが、シネマ歌舞伎の画面越しにもわかりました。反対に、怪談などの描写は、見えない、想像するしかない落語の方が怖いと思います。

それから、歌舞伎は大勢でつくりあげるものですが、落語はひとりです。いろんな人をひとりで演じられるのは面白いですが、協力し合って進めていくのも楽しそうだなと思います。鹿芝居(“はなしか(噺家=落語家)”が演じる芝居)に出るとしたら、ぼくは出番が少なくておいしい役がいいですねぇ(笑)。

シネマ歌舞伎・第37弾
『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』
6月4日(金)より公開
詳細:https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/45/

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