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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

“攻撃型”の鈴本美愉と“自在型”の小林由依 欅坂46のパフォーマンス支える対照的な二人の魅力

リアルサウンド

19/10/2(水) 7:00

 9月28日に開催された『Rakuten GirlsAward 2019 AUTUMN/WINTER』に欅坂46がライブ出演した。

(参考:欅坂46 平手友梨奈ソロ曲「角を曲がる」は挑戦的なサウンドに? ナスカの音楽的特徴を分析

 今年で20回目を迎える同イベントは、これまで「渋谷からアジアへ。そして世界へ。」をスローガンに、2010年から年2回にわたって開催されてきた日本最大級のファッション&音楽イベント。今回は人気モデル総勢130名に加え、乃木坂46やアンジュルムを始めとする豪華アーティスト陣が会場を盛り上げた。開催地は幕張メッセ国際展示場。欅坂46はそこで「OVERTURE」を皮切りに「アンビバレント」「風に吹かれても」「危なっかしい計画」の3曲を披露した。今回、平手友梨奈は欠席。そのため各曲には代理センターが立てられた。「アンビバレント」では鈴本美愉が、「風に吹かれても」では小林由依がそれぞれセンターに立ち、グループとしての層の厚さをアピール。現地は彼女たちのパフォーマンスで大盛況だったという。そこで今回は、センターを担当した2人のパフォーマンスの魅力について考えてみたい。

 鈴本は欅坂46の中でも切ってのダンスメンバーとして知られる存在。もともとダンス経験があり、デビュー前のイベント「おもてなし会」ではダンス部として出演するなど、活動初期からダンス面で存在感を表していた。身長は156cmとグループの中では低い方ながらも、体を大きく使ったダイナミックな動きで見る者を魅了する。

 彼女のダンススキルの高さを確認できる最も良い例が、「二人セゾン」でスカートの裏地を一瞬だけ見せる振り(通称”マタドール”)である。サビの〈日常を輝かせる〉の〈せ〉あたりで左足を軸にジャンプする際、横切る右腕の残像がまるで色づいたかのように真っ赤に変化するこの粋なアイデアは、そもそも鈴本発信で始まったことが明らかにされている(参考:守屋茜公式ブログ)。他のメンバーも重点的に練習しているものの、彼女の裏地の広がり方の美しさに匹敵するメンバーは今でも少ない。

 そんな鈴本が初めて大役を任されたのが、2018年の4月に開催された『2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』において「サイレントマジョリティー」のセンターを務めた時のことである。言うまでもなくグループにとって一番の代表曲であり、さらに絶対的センターと言われる平手のポジションを任された鈴本だが、のし掛かるプレッシャーを見事はねのけ、蓋を開ければ「平手の代わりになるのは鈴本しかいない」といった声も聞こえてくるほどの評判であった。

 彼女のダンスの特徴をひと言で表すなら「攻撃型」だ。鋭い眼力から発せられるオーラには観客の心を撃ち抜くパワフルさがある。そして、ステージ全体を「鈴本色」に染め上げるような力もある。曲を跨いでも表現するキャラクターに一貫性があり、ライブ全体のストーリーを編む力を感じ取れる。その意味では平手に近いタイプだが、彼女から感じる不器用なまでの愚直さや真っ直ぐさといった部分は鈴本ならではの魅力だ。「アンビバレント」での彼女は、さながらダンスの化身のごとく踊りに集中する様子が印象的。今回のイベントでの抜擢も納得の人選だ。

 さて、鈴本が「攻撃型」なら、小林は「自在型」と言えるだろう。昨年の『NHK紅白歌合戦』でセンターを任された小林は、「ガラスを割れ!」の激しい振付をしっかりとこなし、日本中に力強い姿を見せつけた。冠番組では”埼玉の狂犬”と名付けられたこともあり、そういう意味では彼女も攻撃的な魅力を持ったメンバーのひとりである。

 しかし、一時期は元欅坂46の今泉佑唯とともにフォークデュオ・ゆいちゃんずとして歌唱力でファンを魅了するような存在であった。見る者を揺さぶる力強い一面から、ライブ会場を包み込むような温かな一面まで、実際は幅の広い魅力を持ったメンバーなのである。

 いわば、彼女は曲によって変化できる「自在型」。表情や所作に多くの引き出しを持っている。ブログにおける文章センスや、ファッション誌の専属モデル起用など、彼女を形作る要素は多い。ダンスだけでなくマルチな素質を持っているからこそ、数ある引き出しの中から作品やステージごとにスタイルを選んでいる印象を受けるのだ。

 鈴本と同じく『2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』において「風に吹かれても」でセンターを担当した際には、誘うような表情でこちらを向きながら踊る姿が新鮮であった。爽やかでクール。それに、どこか周りを巻き込んで楽しく踊っている雰囲気も出せる。黒スーツでこの曲を踊るときは細身のスタイルに衣装がぴたりとハマり、楽曲イメージを最も的確に体現しているようだ。

 最近のライブでは煽り役としても定着している小林。ライブ本編の盛り上がりの最高到達点を記録したのは彼女のマイクパフォーマンスだったと言っても過言ではない。幅広い引き出しと、それを自在に取捨選択できる力、さらに観客を湧かせる能力もある。その柔軟さが彼女の本質的な魅力なのではないか。

 不器用なほど鋭く「攻撃型」な鈴本と、器用に変化できる「自在型」の小林。現在の欅坂46はある意味、対照的な2人が中心を支えていると言えるだろう。(荻原 梓)

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