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Twenty★Twenty『smile』が大差でシングルチャート首位に 寄り添う温かさと“実践性”を併せ持ったチャリティーシングル

リアルサウンド

20/8/22(土) 10:00

参考:2020年8月24日付週間シングルランキング(2020年8月10日~2020年8月16日)

 最新のオリコンチャートによれば、Twenty★Twentyの『smile』が415,008枚を売り上げて1位を獲得。続いて、GLAYの『G4・2020(ROCK ACADEMIA/DOPE/流星のHowl/Into the Wild ~密~)』が26,875枚で2位、嵐の『カイト』が14,267枚で3位となった。1位が2位以下を大きく突き放した結果となっている。Twenty★Twentyは、ジャニーズ事務所所属アーティスト75名が集結した期間限定ユニット。本作は今年中の限定販売で、収益は新型コロナウイルス医療対策支援に加え、自然災害に見舞われた地域への支援に寄付される。

 表題曲の作詞作曲はMr.Childrenの櫻井和寿が担当し、聴き手にやさしく寄り添う歌詞や、美しいピアノが印象的な作品に仕上がっている。ピアノの伴奏にストリングスやアコースティックギターが重なり、徐々に“芽吹いていく”ような展開を見せていく中で、参加している豪華なジャニーズメンバーたちが次々に歌い継いでいくのも聴きどころのひとつ。非常にシンプルな構成だが、それによって歌詞のあたたかさが直で伝わるものになっている。

Twenty★Twenty「smile」

 歌詞は、“今本当に必要なものは何か”について歌っている。その答えは、当然タイトルにもなっている「笑顔」であり、泣いていたことも笑って忘れようと優しく語りかけていく。〈ファッション誌の1ページに印をつけて/何度も開いては閉じてを繰り返している〉というフレーズで本当に欲しいものや必要なものを選び取る様子を表現し、そして最後は〈All you need is only smile〉(=必要なのは笑顔だけ)と締める。単純なメッセージに見えるが、ネガティブな話題や暗いニュースの多い今、この曲の切実さは多くのリスナーが理解するところだろう。

 この曲を提供するにあたって櫻井は、「ジャニーズの皆さんがこの曲を歌ってくださることを前提としたからこそ、書けた歌詞があります」(参照:ORICON NEWS)とコメントしているように、日夜テレビなどで笑顔を見せ続けている彼らだからこそ説得力のある一曲になっているように思う。困難な世の中だが、こうした楽曲によって救われるものは確実にあるはずだ。

 一方で、カップリング曲の「Wash Your Hands」は、国内で率先して公開された映像が話題となった手洗い訴求ソング。手洗いの仕方をポップで楽しく歌っている。特に、作詞に松井五郎、作曲に馬飼野康二、編曲にCHOKKAKUといったジャニーズにゆかりの深い盤石の作家陣が名を連ねながらも、〈すりすり〉〈にぎにぎ〉〈ねじねじ〉といった擬音語を多用したリズミカルで分りやすい“子供でも楽しく歌える”作りに仕上げているのが注目すべき点だ。

 表題曲のような聴き手に寄り添う楽曲の大切さは多くの人も認めるところだろうが、こうした明るく楽しい、かつ実践的で具体的なポップソングこそ今の世の中に欠けているように感じる。そして、こうした曲も軽やかに歌いこなせるのが彼らの素晴らしいところだと思う。

 表題曲には苦しい時代を生きる人々に寄り添う一曲を、カップリング曲には子供たちにも向けた実践的な一曲を収録した、二つの面を併せ持ったチャリティーシングルである。

■荻原梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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