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ヨルシカ、全編フルCGアニメ「ノーチラス」MVに感じる物語の奥深さ 『エルマ』と前作の関係性も

リアルサウンド

19/8/30(金) 19:00

 2012年より「ウミユリ海底譚」「メリュー」「夜明けと蛍」などの多くの人気ボカロ楽曲を作詞作曲してきたボカロP/コンポーザー・n-bunaが、2016年8月14日の自身の1stワンマンライブ『月を歩いている』でボーカリストとしてゲスト出演したことのあるsuisを迎えて2017年に結成したバンド、ヨルシカ。

ヨルシカ – 雨とカプチーノ(Official Video)

 8月28日にリリースされた2ndフルアルバム『エルマ』の収録曲である「ノーチラス」MVが8月27日、YouTubeにて公開。早くも話題を呼んでいる。『エルマ』の前作である4月10日リリースの1stフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』は、音楽を辞めることになった青年・エイミーが、エルマに向けて作った全14曲を収録。初回盤では木箱の中にエイミーが綴った手紙と訪れた街の写真が収められることで、リスナーがあたかもエルマのようになり、エイミーの想いを受け取ることができるものだった。そして、続編となる『エルマ』には、前作のエイミーから送られてきた手紙を読んで影響を受けたエルマが、彼のために手掛けた楽曲の全14曲を収録している。初回盤には、エイミーが訪れた土地をエルマが追って撮影した写真とその旅で綴った日記帳が同梱されることで、エルマがエイミーを想う気持ちの深度がうかがえるようになっている。切っても切れない二作品を堪能することで、その物語の奥深さを知ることができるのだ。

ヨルシカ – ノーチラス (OFFICIAL VIDEO)

 エルマとエイミーの物語が描かれた「ノーチラス」のMVは、監督を務めたCGクリエイターの森江康太によって、フルCGアニメーションで制作された。初の全編3DCGで制作された今作は、映像の質感がこれまでとは異なり、スケールの大きなものになっている。例えば、風を受けての動きや、繊細な表情などを見事に表現していて、実写MVさながらのリアルさを宿すことに奏功している。ヨルシカのMVには、「僕がこの作品のリスナーだったら、作ってる本人たちには作品より前に出てほしくない。出てたら僕は冷めてしまうんですよ」(n-buna)(参考:音楽ナタリー)との意図から、顔の消された主人公がよく登場する。しかし今回、ふたりの顔は消されていない(特にエルマの顔はしっかりと映っている)。ただ、あくまで、アニメーションであることからは、徹底した作品に対する彼らの美学が伝わってくるところでもある。エイミーの部屋、エイミーがエルマに綴った手紙、丘、『だから僕は音楽を辞めた』のジャケットのロケーション、毒性の人工染料である花緑青を映すシーンは、『だから僕は音楽を辞めた』の初回盤に同梱された手紙が、花緑青で綴られていたこと、「藍二乗」や「だから僕は音楽を辞めた」のMVにエイミーの部屋が描かれていたことなどを蘇らせる。

ヨルシカ – 心に穴が空いた (Music Video)

 それは歌詞においても同様だ。「藍二乗」のフレーズ〈エルマ、君なんだよ/君だけが僕の音楽なんだ〉と「心に穴が空いた」(『エルマ』収録)のフレーズ〈今ならわかるよ/「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー〉が対の文となっていたり、「夜紛い」(『だから僕は音楽を辞めた』収録)と「声」(『エルマ』収録)に〈マシンガン〉という同じ言葉が使われていたりするなど、共通する言葉を散りばめることで曲の関連性を示すなど、計算され尽くしたテクニックの数々がリスナーに想像する余地を与えている。MVも一般的にその一作品だけで完結することが多いところだが、前述したようにヨルシカの場合は同じ場所が映っていたり、登場人物が同じだったりと、共通点がある。だからこそ、それらのMVを視聴していくほどに、あらゆる視点からその世界観に深く踏み込んでいくことができるようになる。さらに、主人公の姿や景色はMVごとに、アニメーションあるいは実写などと表現方法が異なる。このように特定の姿・形に限定しないことで、主人公や背景を、リスナーの想像力に委ねることができている。

ヨルシカ – エルマ (Album Trailer)

 中性的な歌声で、どんな主人公の心情も違和感なく表現できるsuisのボーカルと、ある青年がピアニストに憧れていたというコンセプトをもとに、『だから僕は音楽を辞めた』からはピアノの音を中心に増やしたように、アルバムごとにサウンドへの緻密なこだわりを持っているn-bunaの音作りが相まってできた、ヨルシカの音楽。なにより、作品全体の雰囲気に一体感を持たせ、どの曲をとってもヨルシカ“らしい”と感じるのは、suisの透明感ある歌声に加え、夏の情景や、死生観を常に意識して曲作りをおこなっているn-bunaによるところも大きい。これからもヨルシカの音楽は、受け取ったリスナーのなかで様々な形で昇華されていくのだろう。

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
Twitter

■リリース情報
『エルマ』
発売日:8月28日(水)
形態:
初回限定盤(CD+日記帳)¥4,500+税
※ “エルマが書いた日記帳仕様”、CD、写真、日記帳 封入
通常盤(CD)¥3,000+税
・チケット最速先行受付(抽選)シリアルコード封入
受付期間:8月28日(水)18:00 ~ 9月9日(月)23:59
<収録曲>
01 車窓
02 憂一乗
03 夕凪、某、花惑い
04 雨とカプチーノ
05 湖の街
06 神様のダンス
07 雨晴るる
08 歩く
09 心に穴が空いた
10 森の教会
11 声
12 エイミー
13 海底、月明かり
14 ノーチラス

■ライブ情報
『ヨルシカ LIVE TOUR 2019「月光」』

東京公演
日程:2019年10月17日(木)
会場:TSUTAYA O-EAST
OPEN/START:18:00/19:00
問い合わせ:AIR FLAG Inc(03-6276-4968)

大阪公演
日程:2019年10月21日(月)
会場:BIG CAT
OPEN/START:18:00/19:00
問い合わせ:GREENS(06-6882-1224)

愛知公演
日程:2019年10月22日(火・祝)
会場:ボトムライン
OPEN/START:17:30/18:00
問い合わせ:AIR FLAG Inc(03-6276-4968)

[全公演共通]
チケット料金:4,800円(税込)オールスタンディング / 整理番号入場
※入場時に別途ドリンク代(500円)を頂戴いたします。
※未就学児入場不可

■関連リンク
2ndアルバム『エルマ』特設サイト 
ヨルシカ公式サイト
ヨルシカ / n-buna YouTube 
マウスコンピューター特設サイト

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