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『エール』窪田正孝×二階堂ふみが体現する理想の夫婦像 裕一と音の夢が叶う日を願って

リアルサウンド

20/6/5(金) 12:05

<星の見えない日々を超えるたびに/互い照らすその意味を知るのでしょう>

参考:二階堂ふみ演じる音は本当に“強欲”なのか 『エール』が突きつける女性の苦悩

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)第10週「響きあう夢」、今週ほどGReeeeNが歌う主題歌「星影のエール」が心に響く回はあっただろうか。昭和初期、進歩的な家庭に育った音(二階堂ふみ)の「歌手になる夢も、子供も諦めない」という姿勢は、まだ周囲の人間には受け入れ難かった。鷹ノ塚記念公園の舞台に立つためにできる限り努力したいが、酷いつわりで力を発揮できない音。共演者からは反感を買い、家族からは母親としての責任を突きつけられる。そんな中、唯一の理解者となったのが裕一(窪田正孝)だった。

 ある晩、裕一は鉄男(中村蒼)が営むおでん屋で久志(山崎育三郎)に音のことを相談する。まずは体を大事にすることが一番だと話す男たちの会話に、裕一が作曲したレコード「船頭可愛いや」を歌う下駄屋の娘、藤丸(井上希美)は苦言をさす。

「赤ちゃんの母親である前に、奥さんだって一人の人間ですよ」

 作曲家と声楽家。裕一と音は立場こそ違えど、どちらも音楽の世界に生きる人間だ。つわりのせいだとはいえ、作曲家の裕一は息が続かない音を観客がいる舞台に立たせるわけにはいかない。藤丸の言葉にハッとさせられた裕一は“自分との子供を産んでくれる母親”ではなく、“夢と現実の間で悩み苦しむ一人の人間”として音と向き合った結果、「舞台に立つべきじゃない」と学校の練習室で練習に励んでいた音に厳しい言葉をかける。

 もちろん、音の考え方を否定するわけではなく、全てはタイミングの問題だった。たとえ、「椿姫」の公演に出られなくても音の夢がそこで途切れることはない。裕一に優しく抱きしめられ、頑なだった音の心が解れる。裕一が曲をつくり、大きな舞台で音が歌う……いつかそんな日が来ることを夢見て、音は裕一の胸で泣きじゃくった。

 それから数日後、音はヴィオレッタ役を降板し、学校を退学。最後に憧れる環(柴咲コウ)のところへ挨拶に行った。謝る音に、平凡な道を選ぶことは悪いことじゃないと答える環。そんな環に音は「夢も子供も夫婦2人で育てて生きます」と、どちらも諦めるつもりはないことを告げて頭を下げた。

 環の目に動揺の色が差す。それは、環自身が“何か”を諦めて今の地位に上り詰めたことを意味していた。実は、双浦環のモデルとなったオペラ歌手の三浦環は、16歳で陸軍の医者である藤井善一と結婚。しかし、家庭に入ることを迫られた環は歌手としての道を選択し、夫と離婚している。だからこそ音を期待している反面、千鶴子(小南満佑子)と同様に、何もかもを手にしようとする音に強欲さを感じていたのではないだろうか。けれど環は、曲を演奏するように互いの夢を響き合う音と裕一の姿に心を動かされ、最後は「また会える日を楽しみにしてるわ」と、笑顔で音を見送った。

 半年後、音は無事に元気な女の子を出産。多くの困難を乗り越え、絆を深めた裕一と音の間にまた一つ宝物が増えた。第11週「家族のうた」では、小学校の校歌を作曲するために裕一が福島に帰郷。反対を押し切って家を出たときから会っていなかった父の三郎(唐沢寿明)や母のまさ(菊池桃子)と再会する。(苫とり子)

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