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【おとな向け映画ガイド】

松坂桃李の孤高なマル暴刑事VS鈴木亮平の非道な極悪ヤクザ『孤狼の血 LEVEL2』、コロナ禍にぴったりの台湾ラブコメ『恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター』をご紹介。

ぴあ編集部 坂口英明
21/8/15(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(8/20〜21)に公開される映画は18本。全国100スクリーン以上で拡大公開される作品は『孤狼の血 LEVEL2』『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』『パウ・パトロール ザ・ムービー』『ドライブ・マイ・カー』の4本。中規模公開、ミニシアター系の作品が14本です。今回はその中から、オトナにこそおすすめの『孤狼の血 LEVEL2』と『恋の病 ~潔癖なふたりのビフォーアフター~』をご紹介します。

あれから3年……
『孤狼の血 LEVEL2』

松坂桃李の迫力にも驚きますが、なんと言っても、鈴木亮平が場をさらっていった感じです。あんなに怖くていいのでしょうか。新しいタイプの極悪党が誕生した、そう思います。

役所広司と松坂が、広島の暴力団担当ハグレ刑事を演じた『孤狼の血』の続編。前作で大上(役所)が殉職し、その3年後という設定です。松坂扮する日岡は、格好から仕事のスタイルまで先輩・大上にならい、暴力団内部に入り込み、ま、逆に言えばなあなあで。だから「誰のおかげで広島の“平和”が保たれていると思うとるの」と暴力団、警察上層部へも恩着せがましく、独自の正義感でやりたい放題です。

しかし、その見せかけの“平和”が、刑務所にいた上林(鈴木亮平)という極悪ヤクザの出所により危機を迎えます。彼の悪魔的な残虐きわまりない行動で引っ掻き回される裏の社会が描かれていきます。凶悪なこの上林のキャラクターに、怖いもの見たさ、つい引き摺り込まれます。「日本映画史に残る悪役にしてほしい」と白石和彌監督に言われた鈴木。「(コロナ禍で)仕事が少なかったため、時間のほとんどを役作りに充てた」そうで、いや絶対に近くに来てほしくない怖さになっています。

やはり、使われる広島弁のせいもあって、『仁義なき戦い』を彷彿とさせます。東映の三角マークから始まりますし、状況を説明するナレーションや、緊迫感を盛り立てる音楽など、見事にその遺伝子を継いでいると言えます。中でも、組の幹部が、応接テーブルや宴席で、あけすけに本音をぶちまけ、お互いを広島弁でなじりあうシーンは、いかにも東映実録映画で、嬉しくてつい真似をしたくなります。

吉田鋼太郎、寺島進、渋川清彦、斎藤工、なんと早乙女太一、そして村上虹郎といったヤクザたちは、なるほど、勢いのある役者ばかり。『仁義なき戦い』ほどヤクザの人間関係は入り組んでいませんが、警察内部の描き方がひと味もふた味もちがいます。県警本部内で日岡の動きに批判的な管理官(滝藤賢一)や元公安担当の人情派風の刑事(中村梅雀)など、演技巧者を揃え、ストーリーは重層的に展開し、やがて衝撃的なクライマックスへと続きます。

【ぴあ水先案内から】

笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「……冒頭から緊張感の連続でまったくゆるみがない…。さらなる続編絶対制作希望。……」

笠井信輔さんの水先案内をもっと見る

よしひろまさみちさん(オネエ系映画ライター)
「……本作はオリジナル脚本で挑戦してるんだけど、狂気がマシマシで最高。とめどない暴力の連続……」

よしひろまさみちさんの水先案内をもっと見る

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

IPhoneで撮影
『恋の病 ~潔癖なふたりのビフォーアフター~』

潔癖症の若いカップルをめぐる台湾の恋物語は、このコロナ禍、妙にリアリティがあります。

主人公のボーチン(リン・ボーホン)は重度の潔癖症。外出を避けて、仕事も極力家でこなせる翻訳業です。でも生活のためには、買い物にいかなくてはならないので。そのときは防塵服に防塵マスク、恐る恐る出かけます。パソコンのタイピングが不得意。全般的にぶきっちょさん。そんな彼が、たまの外出で、同じような防塵服を着た、同じように神経質そうな、やけにカワイイ、ジン(ニッキー・シエ)に、地下鉄のなかで出会います。同じスーパーに行き、様子を遠巻きにみると、どうも気が合いそう。ふたりのつきあいが始まるのですが、彼女はタイピングが早い! 補い合える関係であることがわかります。ひとつだけ難点は、趣味の万引き……。

ふたりが付き合い始める映画の前半が、小物、ファッション、テンポのよさ、色の使い方、どこをとってもポップで、おしゃれです。『あの頃、君を追いかけた』など台湾の青春映画に、執行監督(日本でいえばチーフ助監督に近い)としてで関わってきたリャオ・ミンイーの監督デビュー作。全編iPhoneを使って撮影しています。機動的で、ロケ映像など、かなりフットワークが軽い感じです。

ライフスタイルがよく似たカップル。一緒に暮らしはじめるのですが、あることがきっかけで関係がギクシャクしはじめます。ボタンの掛け違いというか、意見の食い違い……。後半はややほろにがさもある秀逸なラブストーリーです。

【ぴあ水先案内から】

紀平重成さん(コラムニスト、元毎日新聞記者)
「……、いつの間にか「普通なんてつまらない。“偏人”でいいじゃないか」と互いの潔癖症に共感して同棲を始めた主人公ふたりを応援するモードになっています……」

紀平重成さんの水先案内をもっと見る

春日太一さん(映画史、時代劇研究家)
「……状況が変わってもなお相手を慮り続けること、差異を受け入れ続けること、その難しさが前後半の極端なギャップにより残酷なまでに突き刺さる……」

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