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YouTube、なぜドラマ製作から撤退? 競争が激化する動画配信サービスの明暗

リアルサウンド

20/7/28(火) 10:00

 日本ではDisney+が登場し注目を浴びて久しいが、一方アメリカでは、ドラマ製作から撤退したSVOD(定額制動画配信)がある。YouTubeだ。YouTube Premiumコンテンツの一つであるドラマは、昨年から撤退の噂がBloomgergなどで報道されており(参考:YouTube Denies Report That It’s Exiting Scripted Dramas, Comedies|Variety)、製作のソニー・ピクチャーズ・テレビジョン側は否定を続けてきたが、遂に今月正式に撤退となった。

参考:詳細はこちらから

 『ベスト・キッド』(1984年)の30年後を描いた続編テレビシリーズ『コブラ会(原題)』のシーズン3は、Netflixが製作を発表。シーズン1、シーズン2を2020年内に配信し、その後シーズン3も続けて配信していく方針だ。YouTubeからはシーズン4製作を行わない方針が出され、行き場を失った『コブラ会』はNetflixだけでなくHuluなどその他複数のプラットフォームが獲得競争を繰り広げた。今回は、アメリカでは人気作でさえ行き場を失うほど競争が劇化しているSVODの最新動向に注目し、さらにそこから見えてくる日本のSVOD、特にアメリカのテレビシリーズ配信に関する課題にも触れていきたい。

良作を配信しても勝てない熾烈なSVODシェア競争
 YouTubeはドラマ製作から撤退するだけで、SVODである85チャンネル分の生放送が観れるYouTube TV(日本未上陸)やYouTube Premium自体は継続をする。NetflixやAmazon Prime Videoに代表されるようにSVODのイメージとしては映画やドラマの配信がメインだが、YouTubeはあえてドラマ製作から撤退することで他のプラットフォームとの差別化を図るようにも思える。

 ただ、いずれにしてもYouTube TVは2019年末で200万ユーザー、YouTube Premium(Music視聴サービス含む)は今年2月に2000万ユーザーと一見ユーザー数は多そうに見えるが、Netflixユーザーは世界で1億9000万なので圧倒的な差がある(参考:YouTube Premium and Music Now Have More Than 20M Subscribers|billboard)。2018年からオリジナルドラマの発表を開始したYouTubeだったが、2019年には数作品製作の打ち切りを発表(参考:YouTube Cancels Four Original Scripted Shows|DEADLINE)。結局わずか2年あまりでドラマ製作から撤退となった。YouTubeはもともと広告付きの動画配信としては周知の事実として確固たる地位を気づいているが、SVODとしてはユーザーに認知されなかったという結果だ。

 『コブラ会』については何も注目度が低いドラマでもなく、むしろ2018年にはGoogleで最も検索されたテレビシリーズの一つとして名を連ね、人気があるからこそシーズンを重ねてきた経緯がある。それでも、後続する作品が出てこないこと、他サービスに比べ圧倒的にラインナップが少ないことが、YouTubeで有料ドラマを観るツールとしても定着をしなかった理由ではないかと思われる。

なんだかんだNetflixはまだまだ優等生
 昨年から2020年はDisney+やHBO Maxの登場で、そろそろNetflixは危ういのではないかと色々なメディアで囁かれていたが、2020年蓋を開けてみればコロナ禍という誰もが予想だにしなかった状況で、他のSVODの需要も伸びている中でもやはり業界のパイオニアとしての人気は健在だ。

 縦型動画および1話10分程度の隙間時間を狙ったQuibiの酷評&惨敗、業界最高値の月額料金で4K配信未対応かつFire TVにも未対応のHBO Maxと直近スタートしたNBCUniversalのSVODであるPeacokの不発。Netflixに追い風とまでは言わないが、ライバル他社が自滅したようにも思える。支払方法も多様で、端末もプランによるが複数視聴可能で、こちらもプランによるが4K視聴もでき、Dolby Atomsの高音質にも対応。Bussiness Insiderによれば、配信作品の量で言えばAmazon Prime Videoが圧倒的に1位だが、Netflixは映画の配信数では大きくビハインドするものの、テレビシリーズの配信数は負けておらず、且つ質の高い作品の割合はAmazon Prime Videoと遜色ない(参考:How Netflix, Prime Video, and Hulu compare to new streaming rivals like Disney Plus and HBO Max|Bussiness Insider)。字幕と吹き替えの充実、アプリの高い操作性、リアリティTVやドキュメンタリー作品など映画やドラマ以外のラインナップも豊富で、一家に一台ならぬ一家に一アカウントとして一番万能でもある。

 Disney+は唯一Netflixを脅かす勢いで伸びていることは先月の記事でも触れたが(参考:Disney+、ついに日本上陸 充実のコンテンツとコスパの反面、“新規登録の壁”など課題も明らかに?)、コロナ禍もあり目玉であるマーベル・シネマティック・ユニバースのドラマ撮影も遅延していることから、当初イメージされたようなインパクトはしばらく後になるように思う。一方で、トニー賞過去最多13部門16ノミネートの人気ブロードウェイミュージカル『ハミルトン』の配信で新たなユーザー層を獲得。Disneyが21世紀FOXを買収した大きな目的の一つとも言えるHuluおよびFXもプランによっては視聴可能なので、同プランのユーザーが増えればDisneyには足りない脱ファミリー向けコンテンツの視聴者も確保できる。テーマパークの売り上げが見込めないコロナ禍の今、唯一好調のDisney+がどれだけ優等生Netflixに迫るか注目だ。

アメリカで人気のテレビシリーズが日本に来ない問題は健在
 日本でもNetflix以外のサービスも増え、SVODの充実は数年前に比べるとずいぶん変わったが、海外テレビシリーズファンとして長年の問題であるアメリカの人気テレビシリーズが日本になかなか上陸しない問題はそれでも健在だ。Netflixはごく稀に例外はあるものの、オリジナル作品については全世界同時配信に対応しているし、撤退となったYouTubeも日本で視聴可能な作品が多く、その点では好感を持てただけに残念である。その他のサービスはそもそもアメリカと配信しているプラットフォームが異なる上に、より複雑になっている。

 HBO作品は基本スターチャンネルもしくはスターチャンネルEXで配信後Amazon Prime Videoに来るが、全作品がAmazonへ移行するわけではないし、そもそもHBO作品がすべて上陸しているわけではない。Huluについては、オリジナルの立役者『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』はHulu配信だが、昨年から今年にかけての注目作『The Act(原題)』『Normal Peolple(原題)』『Rammy(原題)』はApple TV+のStarz Playでも配信されている。アメリカではエミー賞ノミネートする作品も多くあるFX作品は、以前はNetflixが本国から半年~1年遅れで配信していたが、FXがDisney傘下になってからそのルートは今は期待できなくなっており、日本上陸となるとアメリカと同じようにはならない毎度おなじみの現象が依然起きている。

 どこのサービスで配信されようが日本で観れるだけマシだと一瞬思うものの、未上陸の話題作がまだまだ多い。今後しばらくはコロナ禍で新作の撮影も進まないことが予想されるので、これを機に未上陸のアメリカドラマをどんどん配信してほしいところ。未上陸の人気作品だけで1年間持たせられるくらいの量はあるんじゃないだろうか。せっかく家にいる時間が例年になく増えている今こそ、未上陸作品の配信に期待したい。 (文=キャサリン)

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