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シド、1年越しの「Star Forest」でファンに愛を伝える

ナタリー

21/5/17(月) 12:20

「SID LIVE 2021 -Star Forest-」の様子。(撮影:上原俊)

シドが5月15日と16日に山梨・河口湖ステラシアターで単独公演「SID LIVE 2021 -Star Forest-」を開催した。

本来であれば「Star Forest」は昨年の同じ時期に行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期に。2日間のライブはシドにとって約1年4カ月ぶりの有観客公演となり、メンバーとファンの双方にとって感慨深い内容となった。この記事では15日公演の模様をレポートする。

日が少しずつ傾き始めた、初夏の風が吹き込む河口湖ステラシアターのステージに登場したメンバーたち。黒と白を基調とした衣装でそろえた4人がファンの前に姿を見せると、万雷の拍手がすり鉢状の会場にこだました。熱烈な歓迎を受けた彼らがオープニングナンバーとして届けたのは、ライブの定番曲「V.I.P」。マオ(Vo)、Shinji(G)、明希(B)は曲が始まるや否やステージの端に歩みを進め、オーディエンスの近くでパフォーマンスを展開。パワフルなリズムを刻むゆうや(Dr)もこぼれんばかりの笑顔でファンとの再会を喜んでいることをうかがわせた。

Shinjiがエッジーなギターを奏でる「罠」、刺激的なアンサンブルを聴かせる「シェルター」とアップテンポな楽曲を連投したのち、マオが「お待たせしました。1年4カ月ぶりのシドです」と力強く挨拶をする。「大切な大切なみんなを思いっきり楽しませて帰るのでよろしくお願いいたします」と誓った彼は、コロナ禍で閉塞感やストレスを抱えるファンの気持ちを解放させるように「delete」を熱唱。一転して「Blood Vessel」ではミステリアスで艶のある声を響かせ、ラテン調の「お別れの唄」では哀愁を帯びた歌でファンを魅了し、ボーカリストとしての多彩さを証明してみせる。観客は声出しが禁じられている状況下でも、手拍子をしたり、体を揺らしたりして4人が紡ぐアンサンブルを全身で楽しんでいた。

「みんなの愛情をとっても感じております」という明希の言葉からメンバー1人ひとりがライブへの意気込みや、ファンへの思いを語るMCへ。明希がアドレナリンとテストステロンがほとばしって“ホルモンまみれ”だと語れば、Shinjiもそれに同意し「皆さんに会えたことが本当にうれしくて、最初からいつもより多く回ってました」と笑う。ゆうやは「心の中を晴れさせるようなライブを届けていこうと思います」と曇天の空模様を引き合いにトーク。4人はしばし山梨トークに花を咲かせたのち、マオの「ここからは少し優しい感じのバラードが続きます。しっかりこのパートで癒されてください」という言葉から「ミルク」を皮切りにバラード曲やジャジーなミディアムチューンをじっくり聴かせた。天井から覗く空も暗くなり、夜風が頬を撫でるシチュエーションの中、観客は4人のパフォーマンスを前にじっと立ちつくした。

ライブの後半戦に入る前には、マオ曰く「メンバーの個性が見たい」というリクエストで実現した楽器隊のソロコーナーも。ゆうやは耽美な空気をまとったトラックに乗せてドラムソロを展開し、明希はスペイシーなエレクトロトラックにメロディアスなベースを絡ませ、Shinjiはギターが主役のインストゥルメンタルナンバーをパフォーマンスし、プレイヤーとしてのそれぞれの個性を存分に発揮する。その後4人は、昨年末にリリースされた「声色」「siren」の2曲を披露したあと、マオの「いけるか?」のシャウトを口火に「ドラマ」「dummy」「循環」とアップテンポな楽曲を叩き込み、観客のボルテージを引き上げる。そしてメンバーはステージに4つの星が投影される演出を交えながら「ほうき星」をプレイし、穏やかな余韻を残して退場した。

鳴り止まない拍手に呼ばれ、黒で統一した衣装に着替えて再びファンの前に戻ってきた4人。「ノイロヲゼパアティー」で意表を突くアンコールの幕開けを飾ったあと、マオの「1年間温めて、やっとこの日を迎えることができます」とライブのテーマソングである「Star Forest」を奏で出す。するとゆっくりとステージの後ろの壁が開き、グリーンの照明にライトアップされた森林が姿を見せた。あいにくの天気で空に星こそ見えなかったが、4人は優しく丁寧に音を重ね、1人ひとりの心を温かく包み込んだ。

「(このライブは)シドの歴史を振り返ったときに思い出す2日間になると思います」「空に星はないけど、ここに4つ星があるじゃない」「俺たちは星になりたくて(東京に)出てきたんでしょ?」といったメンバーの名言が飛び出したMCを経て、4人は「プロポーズ」「Dear Tokyo」とライブの定番曲を投下。さらにひと足早い夏を届けるように、長年にわたってファンから愛されている「夏恋」をラストナンバーとしてプレゼントした。曲のサビではマオが「打ち上がる花火をよそ目に ずっとずっと眺めてた」と歌った瞬間、ステージの後ろから色とりどりの花火が空に打ち上がる。観客は夜空に咲く大輪の花を見上げて目を輝かせ、メンバーはその光景を眺めながら幸せそうな笑みを浮かべていた。ライブのフィナーレではこれまでのライブと同じようにメンバーが1人ずつ順番に挨拶をしてはけていき、最後にマオがオフマイクで「愛してます!」と叫ぶ。その言葉に応えるように、観客は割れんばかりの拍手でメンバーを見送った。

シド「SID LIVE 2021 -Star Forest-」2021年5月15日 河口湖ステラシアター セットリスト

01. V.I.P
02. 罠
03. シェルター
04. delete
05. Blood Vessel
06. お別れの唄
07. ミルク
08. 淡い足跡
09. 刺と猫
10. 声色
11. siren
12. ドラマ
13. dummy
14. 循環
15. ほうき星
<アンコール>
16. ノイロヲゼパアティー
17. Star Forest
18. プロポーズ
19. Dear Tokyo
20. 夏恋

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