NiziU MAYA、様々な色の涙とともに広げた表現の域 感受性豊かな人となりにメンバーからの信頼も
20/8/20(木) 12:00
『Nizi Project』から誕生したグローバルガールズグループ・NiziUのメンバー9人によるデビューまでの軌跡を、彼女たち自身のインタビューを基に明らかにしていく特別番組『NiziU 9 Nizi Stories』がHuluにて配信中。今回は、同番組第3回でスポットが当てられたNiziUメンバー・MAYAの魅力を紐解く。
「MAYAさんはいつも目で“私はあなたの話をしっかり聞いていますよ”という心を伝えてくれます」
プロデューサーのJ.Y. Parkからそう評されていたように『NiziU 9 Nizi Stories』内でインタビューに応えるMAYAのまなざしと表情には、その優しくあたたかい人柄が表れているように感じた。オーディション中には他の練習生やトレーナー陣に柔らかい笑顔で接し、また明るい性格で周囲を笑わせていた彼女。だがその一方、様々な局面で涙を流す姿も印象に残っている。そしてその涙一つ一つには、プロジェクトを経る中で描いてきた彼女だけの軌跡が表れていたのではないかと思う。
MAYAが最初に涙を見せたのは地域予選の際、オーディション参加を決意した理由を問われた時だった。中学卒業と同時に上京し入所していた事務所の練習生を辞め、本オーディションを「最後のチャンス」と決めて受けたという彼女は、いつも一番に応援していたという最愛の祖父を亡くしたばかりであることを明かしていた。
祖父への思いを胸に込め臨んだ地域予選において「24 hours」(Sunmi)を披露したMAYAは、J.Y. Parkからのこんな言葉によって、自身が持つ特別な魅力に気づくこととなる。
「演技力が素晴らしいです」「踊る時の表情もジェスチャーも目つきも、本当に魅力的」「(パフォーマンスを見ていて)完全に没頭できる」――この評価を受け「自分の長所がはっきりした」というMAYAは、東京合宿のスター性評価において披露した『みにくいアヒルの子』の紙芝居朗読で、まさに「皆さんがどうして特別なのかを見せてください」というJ.Y. Parkの期待へ応え大きな存在感を示した。
だが一方で、東京合宿のSHOWCASEで臨んだ「Bad Girl Good Girl」(miss A)のグループパフォーマンスでは、短い練習期間への焦りと歌い出しを担う不安により、事前のダンス評価の時点から指摘されていた動きの小ささという壁にぶつかり、悔し涙を流す局面もあった。
豊かな感受性による卓越した表現力というアドバンテージと共に、パフォーマンスの控えめさといったウィークポイントを見いだし、第2ステージへ駒を進めたMAYA。
しかし韓国合宿を待つ準備期間もダンスレッスンを欠かさなかったという彼女が、課題点の克服とともに長所を伸ばしていったことをうかがわせたのが、個人レベルテストにおいて披露した「Touch」(miss A)だ。
トレーナー陣から“가을(カウル/秋を意味する言葉)ちゃん”という愛称で呼ばれていることが象徴する、持ち前の艶やかで繊細な印象を、大胆かつ深みのあるパフォーマンスによって見事に表し、見る者の心を掴んだ。
また『Nizi Project』におけるMAYAのパフォーマンスを語るうえで忘れてはならないのが、本人が「一番記憶に残っている」と語るとともに、ファンからも“ベストアクト”の一つとして呼び声の高いチームミッション評価における「Swing Baby」(J.Y. Park)だろう。
しっとりとした「Touch」から一転、遊ぶように弾むスウィングビートに乗って華麗に歌いながらも、力強いマニッシュな表情とダンスでみせたその圧倒的なステージングは、J.Y. Parkからも「僕が一番驚いたのはMAYAさんでした。目つき自体が変わっていた」と絶賛の声が上がった。そして、同パフォーマンスで初の個人評価1位を獲得したMAYAが流したその涙には、彼女が課題点と魅力と向き合い続けた末に勝ち取った喜びが映し出されているように感じたのだった。
彼女自身の豊かな表現力に繋がっている感受性にあふれたMAYAの人となりは、メンバーたちから「本当にお母さんみたいに優しくてあったかい」「何か悩んだらとりあえずMAYAに相談する(RIO)」、「自分でも悩んでいることに気づかなかったのに、MAYA姉さんが“最近どう?何か悩んでるでしょう”と聞いてくれて、すごくありがたい(NINA)」と信頼が寄せられているように、今やグループにとって欠かせない“NiziUの保護者”的存在となっているようだ。
オーディション過程において、笑顔とともに様々な色の涙を流しながら自分の可能性に挑戦することで、表現の域を広げていったMAYA。ステージの上で視線を集めるアーティストとして、そしてメンバーを優しく包み込む心の宿り木として、今後さらにその魅力が発揮されていくだろう。
■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter
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