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Juice=Juice「ひとそれ」が多くの人の心に響いた理由 山崎あおいの歌詞の魅力から紐解く

リアルサウンド

19/11/3(日) 8:00

 「『ひとりで生きられそう』ってそれってねえ、褒めているの?」と、懸命に問いかけるような歌い出しにハッとさせられる。思い出されるのは、悲しみなのか怒りなのか、どうにも処理できない感情を抱いてしまった時に感じる、いろんな“わたし”が引き裂かれるような感覚。そうした揺れ動くわたしの背中を押してくれる楽曲が「『ひとりで生きられそう』ってそれってねえ、褒めているの?」、略称「ひとそれ」だ。

(関連:『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』リリック・ビデオはこちら

 「ひとそれ」を歌うのは、ハロー!プロジェクト所属のアイドルグループJuice=Juice。パフォーマンス力の高いハロー!プロジェクトの中でも、随一のパフォーマンス力を誇るグループだ。2019年6月にはリーダーの宮崎由加が卒業し、“即戦力”と定評のある工藤由愛と松永里愛、2人の新メンバーが加入。金澤朋子、高木紗友希、稲場愛香、植村あかり、段原瑠々、宮本佳林に2人の新メンバーを加えた8人グループとなった。「ひとそれ」はもともと2019年6月に両A面シングル『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?/25歳永遠説』としてリリースされたが、日本レコード協会により8月度のゴールドディスクに認定されたり、『うたコン』(NHK総合)をきっかけに話題を呼びMVがYouTubeで再生回数230万回(2019年10月時点)を突破したりと好評を得ていることを受け、10月23日に「ひとそれ」の“New Vocal Ver.”を収めたシングル通常盤Cがリリースされた。同バージョンには新メンバーも参加し、また前回の歌割と全く異なるため違った印象の楽曲となっている。

 「ひとそれ」がここまで評判を得た理由のひとつに、女性の心情と共鳴するような歌詞の力強さが挙げられるだろう。大人っぽいグループの雰囲気とも相まって、歌の世界観は幅広い層、特に大人の女性に受け入れられた。同曲の作詞・作曲は、シンガーソングライターの山崎あおい。これまでもアンジュルムの「泣けないぜ……共感詐欺」「Uraha=Lover」、鈴木愛理の「君の好きなひと」、「私の右側」、そしてJuice=Juiceの「微炭酸」など女性アーティストに多数楽曲提供している。

 山崎の歌詞の魅力として著者が感じているのは、弱さとたくましさが同居する自立した女の子の目線だと思う。たとえば〈本当は寂しがりやなとこ/少しだけバラしてしまいたい/だけど私自身を 幸せにできるのは/結局は私だけ 勇敢にならなくちゃ〉(「ひとそれ」より)という歌詞。弱さと強さがせめぎ合う自分自身を内省的に見つめながらも、すこしのプライドと勇気は捨て去らなくてよいことを、ポップなメロディに乗せて伝えてくれる。現役大学生のみで構成されたグループ、カレッジ・コスモスに提供した楽曲「幸せのありかはどちらですか」でも、〈私らしくあるために 何を選ぼう〉〈少し背伸びをしてでも/“なりたい”をあきらめないの〉と歌う。軽やかなメロディーに反する強い意志。周りの目を気にして、本当のわたしではなくなることの方がよっぽど苦しいことだと山崎は歌詞につづる。

 だからこそ「自分」を大切にすることを、何気ない日常の瞬間と織り交ぜたり、ダイレクトなメッセージで歌詞にしたりして私たちを励ましてくれる。「泣けないぜ…共感詐欺」では、ロックチューンに合わせて「共感」という言葉の危うさを歌う。〈ひとりひとつの人生に ひとりひとつの感情〉という主張から、最後〈オリジナルの衝撃に 泣け!〉と指示語で、大衆の意見に流されそうだった揺れる心をロックさせられ、強いまなざしを得ることができる。〈ひとりで生きられちゃうの」それは素敵なはずでしょう?/胸張る私になって 誰か愛したい〉(「ひとそれ」より)という歌詞は、強いまなざしを得た女の子の決意のようでもある。

 「こうなりたい」と変身願望を抱くことは女の子特有のきらびやかな願いであったはずなのに、いつの間にか「こうならねば」というイメージの呪縛によって、内側も外側も拘束されてしまっていないだろうか。誰しも、揺らがない決意を持つことは難しい。揺らいでしまう自分さえも愛して、自分に誇りを持ちなおすことができる「ひとそれ」をはじめとした山崎あおいが手がける楽曲。これらは、自分の人生は自分の好きなように生きたいと願う、すべての人(女の子も男の子も)に捧げられる応援歌でもあるように思うのだ。「ひとそれ」の〈たくましく推し進む力を誇れ!〉というキラーフレーズは、いつまでも胸の中にとどめておきたい呪文だと思っているので、“New Vocal Ver.”をきっかけに多くの人に届いてほしい。また、12月4日には国立代々木競技場第一体育館という大きなステージでのライブも控えているため、生でも楽曲を堪能してほしい。(羽佐田瑶子)

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