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MoMo/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

デジタルシングル「Faces」をリリースし本格始動。アーティスト・MoMoにとって音楽とは?

特集連載

第21回

音楽への想いがどうしようもないくらい強くなって、普通の人生なんてつまんない!って吹っ切れました

── 幼少期にゴスペルで音楽に目覚めたということですけど、これはどういうきっかけだったんですか?

MoMo 父親の影響ですね。両親がずっとアメリカに住んでいて。日本に戻ってから、自分の子供も英語を喋れるようになってほしいからって教会に連れて行ってくれたんですよ。その時に歌っていたのが本格的な黒人の聖歌隊で、それにものすごく感化されました。

── じゃあ語学と音楽と両方いっぺんに学ぶことができたわけですね。

MoMo はい。特に音楽ですね。初めて「音楽っていいな」って思いました。

── ゴスペルをきっかけに音楽を好きになって、自分ではどのようなものを聴いていたんですか?

MoMo アイドルや歌謡曲というよりは、心の内側を表現しているようなリアルなものを聴いていました。洋楽で最初に聴いたのがホイットニー・ヒューストンの「I WILL ALWAYS LOVE YOU」でした。歌詞の意味はまったくわからなかったんですけど、あのサビのメロディにとにかく心が揺さぶられました。音楽って言葉よりももっと大切なものを届けてくれるものなんだなっ、ていうことを知るきっかけにもなりましたね。

── そこからどのような道筋を経てアーティスト活動をされるようになるんですか?

MoMo 歌を聴いたり歌ったりすることから、自分の表現をアウトプットしたいって思ったんですよね。だから自然と歌を書き始めるようになりました。高校、大学と進学したんですけど、そこに自分のやりたいことはないなっていう思いが強くなる一方だったので、日本の大学を辞めて、バークリー音楽大学(ボストン)に入学しました。

── そうした意志の強さはMoMoさんの音楽に確実に反映されていますよね。

MoMo そうですね。自分で曲を書こうと思ったのも、自分が経験したこととかをみんなに共感してもらいたいって思ったことが出発点だったし、みんなひとりじゃないんだよって伝えたかったから。どこか私は、ひとりだなって感じていたところがあったんですけど、そうした時に音楽からすごく勇気をもらったんですよね。だから今度は自分もその勇気を誰かに与えたいなっていう思いが根底にはありますね。

── その「ひとり」という感覚は、強い意思を持って音楽をやっていくんだっていう、自分自身と周りの人たちとの温度差みたいなものを感じたからですか?

MoMo 私が通っていた日本の大学に入ってくる人たちって、キャリア志向が強くて。あそこの会社に就職したいとか、年収はいくらくらい欲しいとか……価値観が合わなかったんです。でも逆に言えば、そういう環境だったからこそ、より音楽が自分の中で大切なもの、諦められないものになっていったのかもしれません。音楽への想いがどうしようもないくらい強くなって、普通の人生なんてつまんない! どうなるかはわからないけど後悔しないようにチャレンジして、もしダメだったらその時はその時じゃん!って吹っ切れました。

── バークリーでは何を学んでいたんですか?

MoMo パフォーマンスメインなので、プロフェッショナル・ミュージックを専攻して声楽で入りました。

── アメリカでの経験はいかがでしたか? 単身渡米されたんですよね?

MoMo はい。大変でした(笑)。まず言語の壁にぶつかりました。大学の講義レベルについていけるほどの英語力はなかったので、最初の半年はキツかったですね。

── なるほど。で、アメリカから日本に戻って音楽活動をスタートするわけですね。

MoMo そうですね。でも、なかなか思うようにいかなくて……。実はもう無理かもって諦めかけたこともあったんです。

── それは何か理由があったんですか?

MoMo ずーっと同じところを彷徨っているような気分になっちゃって。なんか、いつ売れるとか、当たり前ですけど何も保証されていないじゃないですか。だから自分で自分を信じるしかない。でも自分を信じ続けたとして、本当に報われる日が来るの?っていう不安に駆られてしまって。諦めて会社に就職した方がいいのかな? でもそれは自分のやりたいことじゃないしっていうところを行ったり来たりしてましたね。

── そういう中で、やっぱり音楽を続けていこうって思えるきっかけがあったんですか?

MoMo 紹介してもらって海外のコライトキャンプに参加したんです。その経験がとても大きかったですね。参加者の中でアジア人は私だけで、周りはアメリカやヨーロッパから来た人たちばかり。しかも、すでにビックリするようなキャリアを積んでいる人たちばかりでした。ユニバーサルと契約しているとか、リアーナの曲を書いている人とか、ケイティ・ペリーのこの曲私が書いたんだ、みたいな(笑)。そんな中にいきなりスタジオに入れられて、「曲を書いてください」って言われて何もできなくて。でもそれは挫折としてではなく、まだ学ぶことがたくさんあるんだっていうモチベーションとして、自分の中で新たなやる気が芽生えたんですよね。日本人でこういうことやっている人はいないだろうから、私が最初の人になってやろうっていうような。

誰も到達したことのない場所に立っていたい。新しい道を自分で切り開いていきたいと思います

── SONAR TRAXになっている「Faces」についてお聞きします。この曲は、先ほどからも言っているように、MoMoさんの意志がすごくはっきりと出ている曲ですね。

MoMo そうですね。人間関係をテーマにした曲なんですけど、やっぱり人の裏切りとかってあるじゃないですか。ちょっとしたことでも。しかもそれは恋人とかじゃなくても親友とかからも。自分が必要な時はいつでも連絡してくるのに、いざこっちが連絡したら何も返してくれないとか。そういう関係って本当に必要なの? これって私しか感じていないの?っていう感情を素直に曲にしました。そしたら結構みんな共感してくれたみたいで、私のInstagramにコメントをくれたりして。すごくうれしいかったです。

── いきなり〈Paranoid〉っていう言葉が飛び込んできて心に突き刺さるような感覚に驚かされました。これまで配信リリースしてきた「Bad habits」(2019)、「Sober Lies」(2020)より、さらに言葉ひとつひとつが研ぎ澄まされているように感じました。

MoMo ありがとうございます。普段の日常生活でよくメモするんですよ。頭にふっと浮かんでそのまま消えないで残っている言葉とか、どこからか飛び込んできて印象的だった言葉なんかを。例えば〈心臓が汗をかく〉とか(笑)。そこから曲のアイデアにつながっていくことが多いですね。

── ヒップホップとはまた違う感触の言葉選びっていうのが新鮮ですね。さっきの冒頭の〈Paranoid〉と次に続く〈Grab a smoke〉もガチガチに韻を踏んでいるわけではないんですけど、メロディとリズムに乗ると気持ちよくつながって聴こえるんですよね。その辺は意識してやっているんですか?

MoMo 意識していますね。特に意識しているのは音の聴こえ方です。人って言葉から最初に受け取るものって意味よりも音だと思うんですよね。だから韻を踏むことも含めて、それに囚われずにいかにサウンドとして気持ちよく言葉を届けることができるか、というのはすごく意識してやっています。一方で意味としての深さやインパクトを保ちながら、どうやってサウンドとのバランスをとっていくかという部分もすごく考えますね。

── 曲を作るうえで、メロディと言葉はどちらが先なんですか?

MoMo 同時ですね。1、2、3、スタート! で曲を作り始めて2時間で書き終わりました。これは私の中でのルールなんですけど、2〜3時間で書けない曲はヒットしないと思っています。時間をかけると飽きちゃうからダメなんですよ。その時に表現したいこと、伝えたいことを瞬間でパッケージできないと曲自体が生き生きしないというか。フィーリングがうまく閉じ込められないというか。もちろん歌録りに時間がかかることはありますけど、曲を作るということに関して言えば、6時間も7時間もかかったというものはないですね。もしそれくらい時間がかかってできたとしても、絶対にいい曲じゃないので捨てます。だって、先ほど話したコライトキャンプで出会った、リアーナの曲を書いた人なんて最初から最後まで1時間以内に仕上げますから。それを見て、世界レベルってこういうことなんだなって思いました。

── 「Faces」を作るにあたって、最初に浮かんだものは何ですか?

MoMo 私は結構マイナス思考で、気にしいなんです。だからいきなり〈Paranoid〉から始まったり、その後の〈snakes around〉とかも、蛇に裏切りの象徴的な意味を持たせているし、あまり人が使わないようなマイナスな言葉も結構使います。あるレーベルのオーディションを受けた時に、海外でも成功したいって言ったら鼻で笑われたことがあって。そういう悔しい思いというか、自分だけよければいいというようなことを平気でやったり言ったりするような、人間の嫌な部分っていうのが浮かんで。私は絶対にそっちにいかないぞ、本当の自分を失わないぞっていうことを曲にしようと思いました。

── MoMoさんの歌詞は、日本語の歌詞のように言いたいことをオブラートで包むのではなく、そのままストレートに表現していますよね。それはやはりアメリカでの経験が大きいのでしょうか?

MoMo だと思います。バークリーを出た後は、LAでオーディオエンジニアの資格を取ったんです。LAではみんながシンガーやアクターになりたいと思っていましたから。そんな中でハッキリ言わなかったら埋れてしまうだけなんですよね。

── あと、MoMoさんの魅力で欠かせないものとして声があるんですけど、その声のユニークさというのはどこかで気づいたんですか?

MoMo どうなんでしょうね。昔からカスカスしてるなって思ってましたけど(笑)。あんまり自分では気づかなかったですね。アメリカでビヨンセのボーカルコーチに教えてもらって、それで一気に発声方法が変わりました。

── レベルが違ったんですね(笑)。

MoMo 全然違いました(笑)。

── 様々な経験を積んで今ここにいらっしゃると思うのですが、これからどういうアーティストを目指していきたいですか?

MoMo みんなの希望になれるというか、みんなの心に響く曲を書き続けるアーティストでいたいですね。そして誰も到達したことのない場所に立っていたい。新しい道を自分で切り開いていきたいと思います。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

リリース情報

デジタルシングル「Faces」
配信中⇒https://momojp.lnk.to/faces
レーベル:THE MIC-A-HOLICS INC.

プロフィール

MoMo
東京都出⾝。幼少時代に都内の教会でゴスペルを学び、歌う事に⽬覚める。90s, 00s 界隈の R&Bを聴いて育つ。⾼校卒業後にアメリカへ単⾝渡⽶し、現地作家たちと楽曲制作をスタート。英国・タイなどでのライティングキャンプに参加しながらシンガー・ソングライターとして活動中。JAZZ/ HIP HOP/ SOULを昇華したジャジーな雰囲気が漂う歌声は聴く者を圧倒。2021年10⽉の配信シングル「Faces」を⽪切りにアーティスト“MoMo”として本格活動をスタートさせた。

関連リンク

Instagram:https://www.instagram.com/momo_tsubuyaki/
Twitter:https://twitter.com/MoMothesinger

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW

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