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三浦宏規、屋比久知奈ら出演、迫力のダンスと歌で魅了する青春群像劇 ミュージカル『グリース』ゲネプロレポート

ぴあ

ミュージカル『グリース』ゲネプロより 写真提供:東宝演劇部

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ジョン・トラボルタ主演の映画版(1977)が広く知られ、最近ではアーロン・トヴェイト主演の生放送ミュージカル版(2016)も話題を呼んだ、1972年ブロードウェイ初演のミュージカル『グリース』。“青春学園ミュージカルの金字塔”とも謳われる作品が、いま最もイキのいい若手ミュージカル俳優たちを揃え、日本では13年ぶりに上演されている。北千住と名古屋での公演を終え、東京・シアタークリエ公演初日を夜に控えた11月11日、同劇場で行われたゲネプロを取材した。

ひとことで言えば、ニヤニヤが止まらない2時間半だった。1950年代のアメリカの高校を舞台に、男子不良グループ「Tバーズ」リーダーのダニー(三浦宏規)とお嬢様転校生のサンディ(屋比久知奈)、ふたりを取り巻く「Tバーズ」(有澤樟太郎、内海啓貴、神里優希、皇希)と女子不良グループ「ピンク・レディーズ」(田村芽実、城妃美伶、MARIA-E、まりあ)が繰り広げる、言ってしまえば他愛もない恋の群像劇。だがそれを、キャスト陣が歌と踊りで盛り上げに盛り上げる。

若手だからと言って、技術の未熟さをフレッシュな魅力で補うようなパフォーマンスを想像するべからず。地声の高音をカツンと響かせられる喉の強さ、ビブラートを駆使して情感豊かに表現できるテクニック、細かいニュアンスまで振付師の意図通りに体現できるダンス力を併せ持った俳優がこうも揃った座組は、ベテランキャストが中心の舞台でもそうは見かけない。そんな面々が、フレッシュな魅力ももちろん振りまきながら恋の悩みと喜びを爆発させ続けるのだから、観ているこちらはニヤニヤが止まらないというわけだ。

“歌だけ”“踊りだけ”“セリフだけ”の時間を多く作らず、アンサンブルも含めた全員に常に各々のキャラを打ち出した芝居をさせ、何かというとミラーボールを回しちゃうような、上田一豪の躍動感あふれる演出も良い。また、セリフや振る舞いをあえて思いっきり昔風にしているのも(翻訳・訳詞も上田)、ハイテンションなアメリカン・ミュージカルを翻訳上演する際に起こりがちな違和感を防いで効果的だった。

ソーシャルディスタンスにコンプライアンス、インクルーシブにカーボンニュートラルと、近頃の世の中は色々とややこしい。もちろんどれも真剣に向き合わねばならない問題だが、歌って踊って恋をするだけのシンプルな人生が、そんな平和な世界を見つめるだけの時間が、たまにはあってもいいじゃないか!という気持ちにさせてくれる快作。演劇は世相を反映する芸術であり、今の世の中でこうした新作ミュージカルは生まれ得ないだろう。だからこそ、50年前に生まれた作品をナマモノとして味わえることの尊さを感じた。

取材・文:町田麻子 写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『GREASE』
2021年11月11日(木)〜12月5日(日)
会場:東京・シアタークリエ ほか、大阪・神奈川公演あり

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2175362

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