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安田顕、お仕事ドラマからホームドラマまで欠かせない役者に 大活躍の2019年を振り返る

リアルサウンド

19/12/31(火) 8:00

 2019年は、4月から9月まで、朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)に出演。ヒロインの幼馴染、雪次郎(山田裕貴)の父親で“帯広のお菓子発明王”小畑雪之助を演じ、ドラマの中でも、そして俳優としても後輩たちを引っ張ってきた安田顕。この1年を振り返っても、さまざまな役を演じてきた。

 3月、北海道テレビ放送(HTB)が協力をして描かれた漫画を原作に、実際にHTBで作られた『チャンネルはそのまま!』は、ローカル局のドラマながら、さまざまな形で全国でも放送、配信され、2019年日本民間放送連盟賞のテレビ部門グランプリを受賞した。

 このドラマの中で安田は、ヒロインが働くHHTVのライバル局である「ひぐまテレビ」の情報部部長役を演じている。この「ひくまテレビ」のロゴには、鮭に爪を立てるちょっと怖めのひぐまが採用されていておっかないイメージなのだが、局員もいきなり「日曜劇場」の悪者企業の面々のようで、のほほんとした「HHTV」とは対照的に描かている。少々誇張されたライバル局なのも面白い。

 安田も、不敵な笑みを浮かべたと思えば、今度は憎々しい表情を見せるなど、“濃い目”の演技を見せている。この作品は、TEAM NACSなしでは成り立たないドラマながら、大泉洋らのメンバーが普段はできないような役を嬉々として演じているのもファンとしては楽しい作品だった。

 WOWOWで放送された『連続ドラマW 絶叫』は、尾野真千子演じる主人公・陽子が保険金殺人を企て、その足跡を女性刑事が追っていくストーリー。安田顕は、ホームレスを「忌民」と呼び、彼らを救うふりをしながら、受給される保険金を奪うビジネスをしている神代を演じている。

 神代は主人公の陽子と出会い、共に保険金殺人を企てる。関西弁で人懐っこそうな笑顔も見せるのに、どこかその根っこには恐ろしい部分があるのではないかと思わせる複雑な役にであった。しかし、ある事で、陽子と対峙するときの、神代の表情を見ると、人懐っこく見えて、その実、冷酷で、でもそのもっと奥にはまた違う感情を持っていたのではないかと考えさせられ、その表情にぐっと感情を持って行かれてしまった。

 今年の安田は、神代がそうであるように、演技ひとつで見るものの解釈をどこかに引っ張っていくほどのものがあったように思う。

 11月に放送された愛知発地域ドラマ『黄色い煉瓦~フランク・ロイド・ライトを騙した男~』(NHK総合)では、1923年に世界的建築家であったフランク・ロイド・ライトに依頼され、黄色い煉瓦を焼くことを請け負った愛知県常滑市の煉瓦職人である久田吉之助を演じた。

 この久田という男がフランク・ロイド・ライトに初めて会うシーンでも、目が血走り、殺気が感じられたが、悪人というわけではなく、己の生きた証を煉瓦に込め表現しているような人物であった。久田は黄色い煉瓦の材料である土を探しにいった先で、その土を口の中にいれてその感触を確かめる。実際にも、安田は土を食べたそうで、終始、久田の執念を感じさせる演技に圧倒される一作であった。

 10月からは日テレの『俺の話は長い』に出演。この作品では、主人公である岸辺満(生田斗真)の姉の再婚相手の秋葉光司を演じた。

 この役は、2019年に演じたほかの役とは違い、鬼気迫る部分やクセの少ない普通の雰囲気をまとったものである。気の強い妻には頭があがらず、それでも終始おだやかで、当初はサラリーマンをしていたものの、自分の好きな道は何かと模索した結果、満と同じくニートになる時期もある。そんなときに、満と同じようなグレーのジャージを着て、ふたりでこたつでまったり昼下がりを過ごすなど、終始、脱力した姿が、少し『おそ松さん』の世界のようにも見えて、このまま終わらないでほしいと思えたほどだ。

 光司は、義理の娘である春海(清原果耶)とは、少しぎくしゃくした関係性で、父親としてどうしたら認められるかを気にしていた。そんな光司が、ドラマの最終回では、春海とふたりっきりで車で新居に帰ることになる。そのときに、さりげなく「お父さん」と呼ばれてからのやりとりは、あまり台詞もないのに、それまでの2人の関係性を見てきた一視聴者として、その表情や間からさまざまな心情を読み取って、光司と同じ気持ちになって泣けてしまった。

 安田は今年は、このほかにも『白衣の戦士!』(日本テレビ系)に出演。日テレのドラマ、特にお仕事ドラマには欠かせない1人でもあったが、『俺の話は長い』のような、新たな挑戦のホームドラマでも、その独特な存在感を発揮していた。

 2020年の1月からは、テレビ朝日の土曜ナイトドラマ 『アリバイ崩し承ります』に出演。このほか、映画『影裏』や、舞台『ボーイズ・イン・ザ・バンド ~真夜中のパーティー~』の主演も控えている。2020年も、またさまざまな顔を見せてくれるだろう。(西森路代)

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