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北村一輝に残されたわずかな時間 『スカーレット』家族は悲しい現実とどう向き合うか

リアルサウンド

19/12/23(月) 12:00

 昭和40年夏。喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)の間には4歳になる息子・武志が。喜美子は食器をたくさん作って、家計を支えていた。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が13週目を迎え、喜美子たちが穏やかな日々を過ごす中、常治(北村一輝)の体調が悪く、もう長くないことが明かされた。

 喜美子と八郎の息子・武志はやんちゃで明るい。その無邪気な姿や、おねしょを「雨が降ったんや!」と言い張る少々意地っ張りな性格は、喜美子と常治譲りだ。

 武志はマツ(富田靖子)や百合子(福田麻由子)に元気よく挨拶すると、寝ている常治の腹に乗っかって起こした。そんな武志に優しく笑いかける常治だったが、以前と違い、その姿はとても弱々しい。八郎も常治の違和感に気づいており、病院へ連れて行くよう喜美子を促した。

 ある日、八郎は川原家に遊びに来た照子(大島優子)から、常治が一人で病院へ行き、医者の話を聞いて涙を流していたことを打ち明けられる。「全部一人で自分の病気のこと背負ってはる」と訴える照子だが、今まで話せなかったのは常治に口止めされていたからだった。常治は照子の腕を強く掴むと「喜美子に言うな、言うてくれるな、絶対言うな」と念押ししたという。

 喜美子やマツ、百合子は常治が長くないことをまだ知らない。しかし視聴者は、涙ながらに真実を伝えた照子を通して、常治の病状を知っている。縁側での喜美子と常治のやりとりは和気藹々としていたが、戸田と北村が互いに送る視線から、父を心配する娘の優しさと、娘の前で気丈に振る舞う父の優しさが伝わり、どこか切なさを感じるシーンとなった。

【写真】2人の恋のキューピッド林遣都

 八郎は照子から聞いた話を喜美子と百合子に話す。事実を受け入れたくない喜美子の「もう楽しいことやないやん、悲しいことや。そんなん聞きたないわ! しんどい!」という台詞が心苦しい。だが、八郎の「一番しんどいのはお義父さんや」の訴えに、喜美子も百合子も覚悟を決めたようだった。

 最後に映し出された喜美子と百合子の背中からは、事実を受け入れるしかない悲しみが滲んでいた。けれど、常治の残りわずかな時間を大切に過ごすことは、家族全員のためになる。

 悲しい現実に向き合うことになった第13週初日。しかしこの出来事が、タイトルである「愛いっぱいの器」を生み出すことになるのだろう。

(片山香帆)

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