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新橋演舞場 四月大歌舞伎

20/3/29(日)

夜の部。 『籠鶴瓶花街酔醒』と書いて「かごつるべ さとのえいざめ」と読む。吉原を舞台にまぶしいほど鮮やかでストーリーも分かりやすく、歌舞伎を初めて見る人にも、おススメの一本である。 八ツ橋は吉原で全盛を誇る、兵庫屋お抱えの花魁。上州佐野のお大尽の次郎左衛門は二目と見られぬあばた面なのだが、吉原でこの八ツ橋の花魁道中に出くわし強烈に一目ぼれ。身請けの話をすすめるが、八ツ橋は愛人の栄之丞に愛想尽かしをしろと言われ、満座の中で次郎左衛門を振ってしまう。 恥をかかされた次郎左衛門は佐野へ帰るしかなかった。だが皆がこのことを忘れたころ、妖刀村正を手に再び吉原へ現れ、兵庫屋で大量無差別殺人を犯す。八ツ橋ももちろん殺されてしまう。ちなみに切れ味が凄まじく「水もたまらぬ」という意味で、籠鶴瓶と異名を持つ刀。事実を基に講談から脚色された作品で、まさに現代でも起こりそうなサスペンスドラマだ。 八ツ橋は花魁道中で、沿道の人々に艶然と微笑みかける。次郎左衛門は自分だけに微笑みかけられたように感じたのだろうか。アイドルとそれを取り巻くファンの一人という関係のままでいられればよかったが、なまじお大尽だったため、金で自分のものにしてしまいたいと強い思いを抱いてしまったのだろうか。これが道を誤らせた。次郎左衛門の醜と八ツ橋の美の極致。この対比がまた残酷だ。 次郎左衛門を中村吉右衛門、八ツ橋を尾上菊之助。

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