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いま、最高の一本に出会える

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」ゲネプロより。

KERAがつづる“まだ見ぬカフカ最後の長編”「ドクター・ホフマン~」本日開幕

ナタリー

19/11/7(木) 13:46

「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」が本日11月7日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールで開幕する。これに先駆け、昨日6日にゲネプロが行われた。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)が作・演出を手がける本作は、KERAが敬愛する作家フランツ・カフカを題材にした新作で、題名の「ドクター・ホフマンのサナトリウム」は、カフカが晩年に過ごした療養所の名前から取ったもの。カフカによる3つの長編小説「失踪者」「審判」「城」に続く、4作目の長編小説の遺稿が発見されたら……というアイデアから生まれたこの作品には、多部未華子、瀬戸康史、音尾琢真、大倉孝二、村川絵梨、犬山イヌコ、緒川たまき、渡辺いっけい、麻実れいらが出演する。

借金に苦しむブロッホ(渡辺)は自身の祖母が所持していたカフカの遺稿を出版社に持ち込もうと画策していた。その未発表原稿は、主人公カーヤ(多部)が出兵間近の婚約者ラバン(瀬戸)と生き別れる様を描いた冒険もの。ひょんなことから、ブロッホが生きる2019年の世界、カフカが過ごした時代、カフカが執筆した小説の中の世界、3つの時空が交錯していく。

現実世界の場面では、渡辺や大倉のクスッとしてしまうようなコミカルな掛け合いが繰り広げられ、一方で多部や瀬戸らが登場するカフカの作品世界のシーンでは、比較的重々しくミステリアスな展開が続く。カーヤととある役の2役を演じる多部は、次々と起こる不条理な出来事に翻弄されながらも、“ツキ”を発揮して激動の時代を生き抜くカーヤを力強く演じ、相手役の瀬戸は、物語のキーパーソンとなる複数の人物を、落ち着いた佇まいで見事に演じ分けた。

舞台美術を担当するのは、先日、紫綬褒章を受章した松井るみ。ステージ後方には階段をイメージした舞台装置がいくつも設置されており、椅子や扉など可動式の小道具や大道具をシーンごとに登場させることで、列車内や室内、墓地、戦場など、3つの時空のさまざまな場面を表現した。

今作には、近年のKERAの代表作の一つである「キネマと恋人」に携わった小野寺修二、上田大樹、鈴木光介がそれぞれ振付、映像、音楽で参加しているが、ファンタジックでビターな「キネマと恋人」とはまったく印象の異なる作品に仕上がっている。同じくKERAの作品である「修道女たち」のようなゴシック調のメイクを施した俳優たちが群れをなし、体を揺らすと、舞台上は厭世観漂う20世紀前半の世に様変わり。そこに、鈴木率いる楽団が奏でる不穏なメロディや、上田の退廃的でモノトーンな映像が加わることで、KERAが目指す“まだ見ぬカフカ最後の長編”の世界が立ち上がっていく。

開幕に際し、KERAは「カフカの作品が読者を選ぶのと同じように、観客を選ぶ芝居かもしれないが、自分はカフカより(良くも悪くも)ポップだと自負している。まあ、観てみて頂きたい」とコメント。多部は「KERAさんが作った独特の世界観を楽しみながらお届けできたらと思います」と意欲を見せ、瀬戸は「この作品は視覚や聴覚はもちろん、それ以外の感覚も刺激される、全感覚で観るものだと思います」と作品を紹介しつつ、「稽古中ずっと漂っていた、カフカの作品が醸し出すあの何とも言葉に難い空気……あれが言葉にするなら不条理なのか。だったら僕は嫌いじゃない。皆さんにも早く感じてほしい」と観客に呼びかけた。

「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」の上演時間は、休憩ありの約3時間30分。KAAT神奈川芸術劇場での公演は11月24日まで行われ、その後、11月から12月にかけて兵庫、福岡、愛知で上演される。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント

もはや新作を読むことが叶わない、素晴らしい作家が沢山いる。カフカの作品に魅せられて何十年になるだろう。彼が新作を書くことも、もうない。だけど、カフカの場合、まだ見ぬ作品がどこかに隠されているやもしれぬ。そんな淡い期待が、この度、私にこんな悪戯をさせた。カフカの作品が読者を選ぶのと同じように、観客を選ぶ芝居かもしれないが、自分はカフカより(良くも悪くも)ポップだと自負している。
まあ、観てみて頂きたい。皆で楽しみながら作り上げた作品だ。

多部未華子 コメント

毎日とても楽しく稽古をしてきました。
そして、やはり舞台はチームワークが大切なんだなと、たくさん感じた日々でした。
これから皆様に観ていただくこと、とても緊張していますが、みんなで気持ちをひとつにして、KERAさんが作った独特の世界観を楽しみながらお届けできたらと思います。

瀬戸康史 コメント

この作品は視覚や聴覚はもちろん、それ以外の感覚も刺激される、全感覚で観るものだと思います。
フランツ・カフカ=不条理だとよく目にしますが、不条理とは何なのか正直わかっていません。ただ稽古中ずっと漂っていた、カフカの作品が醸し出すあの何とも言葉に難い空気……あれが言葉にするなら不条理なのか。だったら僕は嫌いじゃない。皆さんにも早く感じてほしい。

音尾琢真 コメント

出演のお話をいただいた時から楽しみにしていた舞台ですので、いよいよ幕が開くことが嬉しくて仕方ありません。観劇された方がどのような感想を持つのかは、まだ想像しきれませんが、KERAさんを信じて、役者として日々、舞台での一瞬一瞬に向き合っていこうと思います。お楽しみ下さい。

渡辺いっけい コメント

KERAさんの「カフカ愛」がつまったラブリーな作品だと思います。とにかく、台本は面白いです。
だから何とかこの面白さをお客さんに伝えないといけません。役者として、楽日まで楽しく格闘する所存です。
どうぞお楽しみに!

麻実れい コメント

芝居好きの天使たちが集って遊んでいる感じ……。摩訶不思議な世界、モダンで可愛く、恐く、面白楽しく。KERAさんの作られるこの素敵な世界をきっとカフカさんも上の方で喜んで観ていて下さるんじゃないかな。
さわやかな秋の日々は横浜で……。お待ちしています。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」

2019年11月7日(木)~24日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール

2019年11月28日(木)~12月1日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2019年12月14日(土)・15日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 中劇場

2019年12月20日(金)~22日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
振付:小野寺修二
映像:上田大樹
音楽:鈴木光介
出演:多部未華子、瀬戸康史、音尾琢真、大倉孝二、村川絵梨 / 谷川昭一朗、武谷公雄、吉増裕士、菊池明明、伊与勢我無 / 犬山イヌコ、緒川たまき、渡辺いっけい、麻実れい / 王下貴司、菅彩美、斉藤悠、仁科幸
演奏:鈴木光介(Tp)、向島ゆり子(Vn)、高橋香織(Vn)、伏見蛍(Gt)、関根真理(Per)

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