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wyse特集

再始動後10周年を迎えたwyseが新たなる挑戦へ「先の未来へつなげるために、今できることを」

特別連載

第1回

21/3/9(火)

再始動から10周年を迎えたwyse。それを記念して4月から6都市全11公演、2年ぶりとなる全国ツアー「It’s just a “Brand New World”」を発表した。新型コロナウイルスの影響により先の見通しが立ちにくい中でも、「最高のライブを届ける」とツアーについて語る4人に再始動から10年経ってなお、さらに前に進み続ける原動力について訊いた。

劇的に世の中が変わった10年。より人に感謝するようになった。

── 2月14日、竹芝ニューピアホールにて開催された10th Anniversary Special Live「Brand New World」も無事成功し、再始動10周年イヤーに突入しました。wyseにとって再始動後の10年間はどんな時間だったのでしょうか?

MORI 解散してからの6年間は、メンバーそれぞれ個々に交わることはあれど、4人同時に交わることはない時間でした。そこから再始動して、結成からの6年間よりも長い期間、10周年を迎えているということは奇跡的なことですし、恵まれた環境だと感じています。ファンの方やスタッフの皆さん、周りの人たちにたくさんの力をもらいながら、この10年間続けて来ることができたと思っています。

月森 なんだろう……、音楽をやっていることが楽しい10年間だったな。もちろん、昔が楽しくなかったわけではないんですけど(笑)。再始動してからは、単純に楽しい、それこそ皆でリハーサルに入ってるだけで楽しいんです。それはメンバーだったり、聴いてくれる人だったり、今は人に感謝できるようになったのかも。

── つまり、過去はそうではなかったということでしょうか……?(笑)

TAKUMA (無言で大きく頷く)。

月森 あはは! 当時は何も考えてなかったっていうか……。

TAKUMA ンン? 今は考えていると?

一同 (笑)。

月森 以前がそうじゃなかったわけではないんですけど、今のように言葉にするほどには思えていなかったのかもしれない。もともとね、バンド活動なんていつ止まるかわからないものだし、続けられることは当たり前じゃないから。この10年で色々な人や環境に感謝しながら歌えている気がします。

HIRO やっぱり再始動直後は、「最初の6年」をすごく意識していたかな。そこから7年目に入った時、未知の領域というか(笑)、この4人で6年以上やれたことで、感慨深いものはありました。さらにそこから4年経過しましたが、今は気楽な感じなんです。「最初の6年」がプレッシャーというか、もうファンの皆に悲しい思いをさせたくないなって思いながら進んでいた。今はそういうプレッシャーもなく、あとはどれだけバンドを、音楽を続けられるかなというところにシフトしてきたのかな。そんな中で、10周年という節目を迎えることができて、ありがたいことです。

TAKUMA wyseのことを置いておいても、時間の流れが早いというか、時代の変化が早い、劇的に世の中が変わっていった10年だったと思う。その時代の流行り廃りや誰かとwyseを比べているわけではないし、wyse自体の流れは別にあるけれど、今こうやっている瞬間にも時代は変化している。だから、客観的に物事をとらえてやっていかなければ、どんどん取り残されていくと思うんです。

単に「存続」しているという意味では、生き残っていくことはできるけれど、停滞してしまうんじゃないか。それを望まないくらいには、外の変化にも目を向けつつ、wyseがバンドとして活動していくことを考えていかないといけないなと、そう思った10年でした。作品を作って届けるということは以前と同じなんですけど、10年前と現在を比べても、スパンがどんどん短くなっている気がして。そのスピード感で物事を見ないと、世の中の流れとは全く違うことになってしまうような感覚があったり。

MORI 最近でいえば、サブスクのように、音楽を聴く環境も変わってきている。自分たちはCDという媒体に思い入れのある世代だけど、実際自分自身も今の音楽を吸収するときは新しい媒体になっているし、その手軽さも大事というか、僕らも柔軟に姿勢を変えて歩まなきゃなと。こういう状況だし、配信ライブもかつてよりも身近になってきたし、それが新しい人たち僕らに触れてもらうきっかけにもなるし、なんなら地球の裏側にいる人たちにも見てもらえる。思い描いた以上のことが起きていますよね。そんな中、wyseが流行り廃りを意識するわけではないですけど、僕らは僕らで考えていかなきゃなって思います。

TAKUMA 選べるもの、選択肢はすごく増えたじゃないですか。受け取る方もそうだけど、発信する側、作る側も、昔は音楽を作ることも、ある種特殊な作業に思えたけれど、今はそうではない。絵や別のコンテンツもそうですよね。それは良いことではあるんですけど、そんな中でwyseがwyseである意味ってなんだろうとは考えますよね。ファンの方、まだ少し遠いところにいる僕らに興味を持ってくれている人たち、その方たちも選べるものが増えているわけで。すごくそれはプラスな面だとは思う。一方で、僕らが問われる部分というか、「何を届ける」かが明確にならない限り、届かなくなる可能性もある。そういった時代の変化が、思った以上に早いと感じることはありますね。

配信ライブという新しい可能性。やるからには誰もやっていないことをしようと。

月森 僕ら自身、昨年は配信ライブを4回行いましたし。やる前は不安もあったけれど、やったらやったでものすごい楽しかった。どちらが良いとかではなく、別物というか「こんな面白いものがあるんだな」ということがわかったというか。今後以前と同じようになライブが行えるようになっても、やりたいなと思うくらい面白かった。僕はミュージシャンの中でも配信ライブが好きな方だと思います(笑)。

── どういった点に面白さを感じたのでしょうか?

月森 それをずっと考えているんですけど、目新しさだけじゃなくて、他にもあると思うんです。MORIのいうように、世界中の人に見てもらえるのもあるし、まだ発展途上というか、やり方次第でまだまだ面白くなるという期待感もある。まだ変化していけそうな部分に惹かれているのかもしれないですね。

── 手探りだからこその面白さがあると。

月森 と、思います。僕らも最初から全力で配信ライブをやってみよう、やるからには誰もやってないことをやろうと取り組んだんです。

だからこそ、本当にすごいものができたし、2回目、3回目とどんどん面白いものができていった。これをコロナが収束したら終わらせてしまうのは、ちょっともったいないくらいのコンテンツだと感じています。

MORI 配信ライブをすべて無料にしたのも大きかったよね。

TAKUMA それがビジネスとしてどういう効果があったのかという検証は、別の話としてね。あの頃はライブもできない、アルバムを作ってもリリースできるかどうかもわからない中で、バンド側にも色々な人から賛否両方の色々な意見が届きました。誰も間違っていないけれど。「僕ら、居る意味あるのかな?」とは感じました。音楽をやることを望まれていないのかも知れない。それは今も同じですけど。

── 「不要不急」という言葉もずいぶんと世の中に浸透しましたね。

TAKUMA 去年の4.5月はそんな状態でしたね。結果的に無観客の無料配信ライブを行ったことで、見てくださった方も沢山いて、その人たちにとってプラスになってくれたら、そこに意味はあったのかなって。月森も「楽しかった」と言ってたけど、僕らやスタッフも含めてしんどいだけで意味ないって思ったら終わりやから(笑)

月森 ほんとそう(笑)

TAKUMA 昨年は2月にワンマンライブを行って以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、あのライブがひとつの区切りとなってしまった。その後はレコーディングやリリース、オンラインライブを続けていたけれど、それが正しかったかどうかは、今振り返ってもものすごく判断が難しい。ライブだけじゃなくて、「リリースできるかどうかもわからないのに、レコーディングする意味ないよね」という選択肢もあった。でも、その先の未来で、もし作品をリリースできるという流れになったとき、準備をしておかなかったら届けるものも、そこから先も、何もかもがなくなってしまう。

きっと数カ月後には…きっと今よりは良くなる…実際の世界はどうであれ、ずっとそう言い聞かせながら出来る限りのことをやっていました。それが一番に思い描いたベストな形だったか? と言われると、やはりそこはとても難しい。でも、感情でものを考えずに、色々な角度から見て、判断をして、その時の最善な形を選択できたと、そう思っています。オンラインライブだけでなく、お客さんと一緒にライブがしたかったというのも、もちろんありました、だけど、それはもはや望んでも仕方ない、もうひとつの世界なので。

2年振りの全国ツアー「It’s just a “Brand New World」。望んでくれるのなら僕たちはどこまででもできる。

── そして4月から、2年振りの全国ツアーとなる「It’s just a “Brand New World”」もスタートします。これはそしてこの1年の試行錯誤、チャレンジをふまえた上での判断となるわけで。

TAKUMA 今このインタビューで話している段階でも、今後どうなるかわからないですよね。だからこそ、僕らは最高の準備をしながら進んでいくしかない、それに尽きるかな。もしもタイミングが合う、時間的にも気持ち的にもライブに足を運べるのであれば、僕らは最高のライブを届けるつもりなので、ぜひ会いに来てほしいです。

月森 どうなるかわからないっていうのは、状況だけじゃなくて、会場もですからね。僕らがいくら「こうしたい!」と思ったところで、行政のルールや会場によっては、思うようにいかないかもしれないし、初めて挑戦することもあるかもしれない。おそらく普段のライブ以上に、一緒に作っていくライブになるんだろうな。

── 例えば、お客さん側が発声ができないなどの規制もあると思います。

月森 そうそう、だからこそ、バンドとファンのキャッチボールみたいなものが、より必要になってくるのかな。2月のライブでもそれは感じたので、それを全国でできれば、面白いツアーになるんじゃないかな。

── この状況で全国ツアーを成功させるのは、きっと音楽シーン全体にもプラスになると思うんです。

TAKUMA そう言ってもらえると、僕らは存在してていいんだなって……。

MORI なんでそこまで否定的になる?(笑)

TAKUMA (笑)。望んでくれるのであれば、どこまででもできるとは思えるし、そこから、お互いに「また頑張れるね」となれば、先のことはわかんないけど、少しでも先の未来へつなげていけるのかなって。

HIRO やるからには最高の準備をして、最高のパフォーマンを目指して楽しんでやっていくだけです。月森のいうように、色々と試行錯誤しながらになるとは思うので、それに関して来てもらった皆さんと、いい空間を作れればいいなと思うんですけど。だから「これがダメ、あれがだめ」っていうマイナスな方向にとらえるよりは、「これができる」っていう、プラスの方に考えたい。とにかく楽しくいきたい、それが率直な思いです。

MORI 今の段階では判断できないことも多いですし、100人いたら100通りの考え方がある。そこに対してどうするか、今だからこその楽しみ方をファンの子たちと一緒に見つけることができたらいいな。今、誰も体験したこと無いことを、僕らは体験しているし、そこから何かを生み出すことはとてもパワーの必要なことですけど、どんな些細なことでも、今後につながるかもしれない。だから、あまり気負わずに純粋に楽しみたいですね。なんたって10周年だし。

TAKUMA 結局この10年、ファンの人に喜んでもらいたかっただけというか、「どうやったら皆が喜んでくれるだろう?」が基準だった。それが年々増していってるんです。誰かを悲しませたい、残念がらせたいわけじゃない、ツアーを発表したのも、喜んでほしいところが大きいわけで。純粋に楽しんでほしいですし、いい時間にしてあげたい。その光景、空間、リアクションに僕らは救われてるので。先のことは見えないですけど、このツアーがあることで僕らも未来に期待できる。ファンの人も同じだといいな、その未来の先に何があるのか……、ツアー中にHIRO、MORIの曲が登場!!……とか。

HIRO しれっとそういうこというなぁ(笑)

TAKUMA ツアーのどこで新曲が来るのか! そういう未知なる部分もまだまだありますからね(笑)。楽しみにしてほしいです。

2年振りの全国ツアー「It’s just a “Brand New World」詳細はこちら

撮影/木村直軌、取材・文/藤谷千明、ヘアメイク/坂野井英明

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