フランスで200万人を超える動員を記録し、社会現象を巻き起こした作品。雑誌で見かける“おフランス”とはまったく違う世界がここにある。クライマックスは相当バイオレントなので、覚悟して観た方がいいと思うが、いまフランスが抱える格差社会、移民、郊外の街の貧困と治安悪化、警察による暴力などの問題が集約された、“いま観るべき映画”としてオススメしたい。 かつてヴィクトル・ユゴーの小説の舞台にもなった、パリ郊外の街で、ある事件が警察と住民の対決をもたらし、街全体を揺るがす暴動を引き起こす。全編に漂う一触即発の緊張感や追跡シーンは、アクション映画さながら。だがこれは紛れもない社会派ドラマだ。 1995年にフランスでヒットした『憎しみ』の、2020年版とも言える本作は、よりリアリスティックで、衝撃的に観る者を覚醒させる。