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OKAMOTO’S オカモトショウのマンガビレッジ

三宅乱丈『ペット』 “記憶のなか”を描く凄さ

隔週連載

第3回

18/12/31(月)

とことん突き詰める三宅乱丈の凄さ

─── 『ペット』は他人の脳内に潜り込み、記憶を操作できる特殊能力を持った“ペット”と呼ばれる少年たちの生き様を描いた作品。とても複雑な構造を持ったコミックで、1度読んだだけではすべてを理解できないところもありました。

ショウ 確かにそうかもしれない(笑)。マフィアの様な組織がストーリーの中心なのですが、記憶を操作できる“イメージ”と呼ばれる能力を持っているのは数人だけなんです。彼らは最初から能力を使えたわけではなく、小さい頃はむしろボーッとしていて、まわりからバカにされていて。でも、同じ能力を持った人に見出されて、“イメージ”を分けてもらうことで、自分も能力者になっていく。そこで初めて自我を与えられるという意味では、血でつながっている親以上に濃い関係だし、任侠ものの世界にも通じるところがあります。特殊能力に関する話と、それを巡る人間関模様が『ペット』の軸になってるんです。

─── サイキックサスペンスであると同時に、ヒューマンドラマでもあると。ショウさんは『ペット』のどんなところに惹かれてるんですか?

ショウ まずは描写ですね。他人の記憶に入って、“信頼していたのはAさんではなく、Bさんだった”という具合に書き替えたりするんですけど、その描き方がすごい。“イメージ”の媒介となるモチーフ ──金魚や水など ──もいいし、記憶のなかの情景も素晴らしい。武器が飛び出してくるわけではないけど、男の子ゴコロを刺激する感じがあるというか。特殊能力をテーマにしたマンガはたくさんあるけど、ここまでワクワクできる作品は少ないと思います。そもそも“記憶のなかを描く”こと自体、よくわからないじゃないですか(笑)。たとえば昨日見た夢のことをおもしろく話すのが難しいのと同じで、自分だけがわかっている世界を絵で説明するわけで。それが完全にできているし、“これが記憶のなかか、わかる”と思わせられるのがすごい。記憶に入り込むときに、ドキッとさせるようなセリフを言うんですけど、そのフレーズも印象的なんです。相手の核心を突くような言葉をサラッという感じがカッコ良くて。

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