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『M』『99.9』『逃げ恥』『アシガール』 ドラマ放送延期に対応する、各局の+αの試みを振り返る

リアルサウンド

20/6/13(土) 6:00

 緊急事態宣言が解除され、放送休止や延期になったドラマの撮影が続々と再開されている。自粛期間中、各局が特別編や過去作の再放送など工夫を凝らす中で意欲的な試みも見られた。

参考:伊集院光×古市憲寿×塙宣之も田中みな実に太鼓判 『M』放送再開を前にリミックスverも満足の内容

■リミックスバージョン『M』と出演者の解説による『ギルティ』
 6月13日に第4話が放送される『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日×ABEMA)では、すでに放送された3話分の放送に副音声のオーディオコメンタリーなどを加えた「リミックスバージョン」を放送。ブレイク前の浜崎あゆみにインタビューしていたという伊集院光や世代的に大ファンの古市憲寿に加えて、第3話では塙宣之(ナイツ)も参加し、『M』を徹底的にいじり倒す企画が話題を呼んだ。

 『M』がSNS上で反響を巻き起こしている理由について、伊集院は「条件反射でぐっと来ちゃうのを誰かとしゃべりたい」と分析。ストーリー自体の話題性に加えて、役に全力投球する出演者の熱量が視聴者に刺さっている様子を語った。リミックスバージョンの第3話では3人の表情がワイプで抜かれ、バラエティー番組化がさらに加速。その光景はオフィシャル版のSNS大喜利のようでもあり、みんなで盛り上がる新しい視聴スタイルを可視化するものだった。

 ドラマの裏側を明かすという意味では、出演者によるオーディオコメンタリーも人気だ。『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(読売テレビ・日本テレビ系)は、放送済みの第3話を「特別編」として再放送。副音声で新川優愛や町田啓太、小池徹平らキャストによる音声解説を実施した。ドロドロの愛憎劇とキュンキュンする恋愛ドラマの“ドロキュン”ストーリーを演じる当事者の視点や撮影時のエピソードを知ることで、複眼的にドラマを楽しむことができる。

 『M』と『ギルティ』に共通するのは情報量の多さだ。回を追うごとに入り組んでいく背景事情や伏線をフォローすることは、視聴者の脱落を防ぎ、新たな層を呼び込むきっかけになる。もう一点挙げるなら、どちらもケレン味の強い過剰な演技が求められること。愛憎入り乱れる人間ドラマを見て誰かとシェアしたくなるのは人情というものだろう。

■ドラマの成立過程を追体験する『99.9』
 『半沢直樹』(TBS系)の放送延期にともない、伝統枠の日曜劇場でも過去作の再放送が行われている。未放送カットを加えた『ノーサイド・ゲーム 特別編』(TBS系)は大泉洋が新たにナレーションを担当し、5夜にわたって放送。『99.9−刑事専門弁護士−SEASON I 特別編』(TBS系)では、第一夜で松本潤、香川照之、榮倉奈々の3人によるオーディオコメンタリーを副音声で放送した。松本演じる深山大翔のダジャレを連発するキャラを筆頭に、随所に小ネタが散りばめられた『99.9』の独特な世界観が作り上げられる過程を追体験することで、同作のユニークさが浮かび上がった。

 TBSでは2016年の放送の『逃げるは恥だが役に立つ』を再編集した『ムズキュン!特別編』も放送中。森山みくり(新垣結衣)と津崎平匡(星野源)の両家対面や、津崎の同僚を招いての食事シーンをはじめ、細かいセリフやカットが多数追加され、ネット上には各話の未公開カットを網羅する熱心なファンも出現した。エンディングでは新たにリモート恋ダンスを公開。第4話では真野恵里菜がはるばるスペインからリモートでダンスを披露してタイムラインを沸かせた。みんなで盛り上がれてマニアックなファンも満足させる間口の広さを再認識した。

 この他に、再放送作品では『アシガール』(NHK総合)で、ドラマプレゼンターの赤ペン瀧川による見どころ紹介を追加。いずれも再放送にあたって多くの視聴者にリーチするための工夫がされており、その根底には「2020年の今、観るべき作品は何か?」という意識がある。外出自粛下での一連の試みは作品に込められた文脈を掘り起こすとともに、ドラマの新しい楽しみ方を教えてくれる。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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