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『ONE PIECE』における“本物の仲間”とは? ウォーターセブン編の名シーンを考察

リアルサウンド

21/2/17(水) 12:00

 刊行98巻を迎え連載開始から24年が経過しても、今なお漫画界の第一線を走り続ける作品『ONE PIECE』(集英社)。そのなかで、作中でも屈指の名シーンが数多く描かれ、根強い人気を誇っているのが「ウォーターセブン編」である。本稿では「ウォーターセブン編」の魅力を、エピソードのポイントと共に改めて振り返っていく。

ウォーターセブンでの目的とは?

 麦わらの一味を乗せロングリングロングランドを出航した海賊船・ゴーイングメリー号は、次なる目的地「ウォーターセブン」へ向け陽気に海を進む。一味のウォーターセブンでの目的は、“船の修理”及び“船大工を仲間に迎える”ことだ。

 水の都・ウォーターセブンにて空島で調達した黄金を3億ベリーもの大金に替えた一味は、早速ウォーターセブンの市長であるアイスバーグのもとを訪ねる。しかしメリー号は度重なる無理な航海で甚大な被害を受けており、すでに修復不可能であることを知らされるルフィ。

 時を同じくして、ウソップにある事件が起きていた。ウソップが所持していた2億ベリーが、街の解体屋「フランキー一家」に強奪されていたのだ。そして船が直せないことに責任を感じ、またルフィが船を乗り換える決断をしたことにウソップは怒りを露わにする。

 口論の中で「そんなにおれのやり方が気に入らないのなら、今すぐこの船から……」と口にしてしまうルフィ。周りが止めに入るものの時すでに遅し。ウソップは一味を抜けることを宣言し、ルフィにメリー号を賭けた決闘を申し込む。ことの顛末に納得がいかないメンバーだが、このとき一味はもう1つの大きな問題を抱えていた。ウォーターセブンに入島してから、アラバスタから一緒に旅をしてきたロビンが姿を消していたのである。クルー2人を欠き絶望の淵に立たされる麦わらの一味。しかしこの2つの出来事は、これから巻き起こる大事件の序章に過ぎなかった。

ウォーターセブン編の大きなテーマは「仲間」

 ウォーターセブン編の大きなテーマは「仲間」だ。東の海からウォーターセブン編まで、苦楽を共にしてきたルフィとウソップ。それに加えルフィとウソップはどこか似た者同士の気があり、シリアスな場面でもふざけ合い旅を心から楽しむ2人の姿は、どこか兄弟のようにも見えた。

 そんな2人の“本気の決闘”に、胸が苦しくなった読者も多いだろう。しかし特に注目して欲しいのは、ウソップの帰還シーンである。ウォーターセブンからの出港時、ウソップが一味に戻る気があることを知る一味メンバー。すぐに迎えに行こうとするルフィ達だが、ゾロはウソップから謝ってこなければ、仲間とは認め無いとこれを阻止。ゾロは一度決闘を行い一味を抜けた以上、筋を通すことを絶対としたのだ。

 そして最初こそ真意とは外れた行動を取っていたものの、最後はかっこ悪くとも心の底から謝罪を叫んだウソップ。ウォーターセブンは偉大なる航路“前半の海”最後の島であり、ここからの航海は生半可な覚悟では務まらない。そしてゾロを含む一味メンバーは、ウソップに筋を通すことを求め、ウソップはそれに見事応えて見せた。本物の仲間であるならば、ただの仲良しこよしではダメなのだ。このシーンは高みへと登り続ける組織の、“仲間の在り方”がよくわかる場面だった。

 またウォーターセブン編では、ロビンとの関係も大きな動きを見せることとなる。元々敵として出会ったロビンと麦わらの一味。ウォーターセブンまでのロビンには、どこか本心を曝け出していない節があった。そしてウォーターセブンにて市長暗殺の容疑を一味に被せ、姿を消してしまうロビン。一味を裏切ったかに見えたロビンだったが、実情は違った。ロビンはその逃亡人生で唯一仲間だと認められた麦わらの一味を、無事に島外へ出航させるために自身を犠牲にしていたのだ。そうと知ったルフィ達は、もちろん黙っていない。無事に航海を続けて欲しいと“表面上は”願うロビンを無視し、司法の島・エニエス・ロビーまで乗り込んでくるルフィ達。そして自分がいると世界政府に狙われ、迷惑がかかると叫ぶロビンを尻目に、一味は世界政府の旗を撃ち抜いて見せた。

 普通であれば、自ら世界政府に喧嘩を売るような海賊団などいない。しかしルフィ達が目指す先は、普通の海賊団ではないのだ。ルフィに生きたいと言えと問われたロビンは、自身が生を望んで良いのかを考える。世界の破滅を望む“悪魔の子”と罵られ、生きる価値が無いと言われ続けてきたロビン。しかしロビンは、自身を守ってくれる仲間と出会うことができた。そしてロビンはこれまで胸の中にしまってきた“生きたい”という小さな望みを、大声で仲間に向けていたのであった。

 「ウォーターセブン編」にはその他にも“フランキーの過去”や“ゴーイング・メリー号との別れ”など、数多くの名場面が存在する。それを考慮してもウォーターセブン編では、特に「仲間」の存在が鍵となっていることに異論は無いだろう。仲間というものは、ときに衝突し、ときに厳しく、そして全幅の信頼を置くものだ。麦わらの一味はウォーターセブン編にて様々な困難に直面しながら、仲間との絆をより強固なものにし、次なる海へ進んだのである。

■青木圭介
エンタメ系フリーライター兼編集者。漫画・アニメジャンルのコラムや書評を中心に執筆ており、主にwebメディアで活動している。

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