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劇団EXILE 小野塚勇人、『共演NG』豊役でさらなる飛躍へ “日常”と“焦燥感”を体現できる役者に

リアルサウンド

20/12/3(木) 8:00

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。第1回目は、『共演NG』(テレビ東京ほか)出演中の小野塚勇人について紹介していく。(編集部)

 現在、テレビ東京ほかで放送中の『共演NG』に出演している小野塚勇人は、2010年に行われた「VOCAL BATTLE AUDITION 2」「第3回劇団EXILEオーディション」などに参加し、それをきっかけに数々の舞台に出演。2012年に劇団EXILEに加入した。

 劇団EXILEへの加入のきっかけとなった方南ぐみ×劇団EXILEの舞台「あたっくNo.1」は、2006年に初演され、その後もLDH所属のアーティストや若手俳優などが何度も出演してきた作品。小野塚は、2012年と2013年に出演。当時のことをリアルサウンド映画部のインタビュー(参考:劇団EXILE 小野塚勇人×八木将康、同期として切磋琢磨する日々 「互いに成長できる関係でいたい」)でも「方南ぐみの舞台を経てLDHに入れてもらったので、そこでの経験が基礎になっていると思います」と語っているように、確実に転機となった作品だろう。

 テレビドラマでは白濱亜嵐や劇団EXILEが多数出演の『シュガーレス』(日本テレビ系)などで経験を積んでいく。2015年には映画『丑刻ニ参ル』で初主演を果たす。

 小野塚が演じたバイトをしながら脚本家を目指している主人公・健二は、彼女と同棲している。その彼女は「自分のせいで脚本がうまく書けないのではないか」と考えている。そんな彼女に対して普段は優しいが、イライラを募らせてたりもする中で、健二は脚本のヒントになればという気軽な動機で丑の刻参りの現場にむかってしまう。“丑の刻参り”がテーマで、「主人公が劇中の70%は走っている」というふれこみもあったが、むしろそこに至るまでの生活のリアリティがしっかりしていて見入ってしまった。小野塚の何かどうにもならない焦燥感を演じる姿が印象に残った。

 同じ年、『HiGH&LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D.~』(日本テレビ系)がスタートする。小野塚は、裏社会を支配する九龍グループの家村会の構成員から幹部に昇格したキリンジを演じた。キリンジは、組織の中では「若いの」に入るが、幹部が頼るのは、彼と同世代の二階堂(橘ケンチ)やノボル(町田啓太)。彼らにライバル心をむき出しにする表情が印象に残った。小野塚曰く、キリンジは「小物感」を大切にして演じた(参照:SPICE「『仮面ライダーエグゼイド』小野塚勇人インタビュー 九条貴利矢のルーツと「楽しんでもらえる商品」としての俳優像を語る」)とのことで、キリキリと何かに追い立てられ余裕のない姿に、その「小物感」がよく表れていると感じたし、ここでもやはり、焦燥感をよく演じていた。

 2016年からは『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)に九条貴利矢/仮面ライダーレーザー役で出演。EXILE TRIBEとしては、初めての仮面ライダー入りであった。赤い革ジャンに花柄のシャツ、サングラスで、クールというよりニヒル、そして同時にポップな感じのライダーが新鮮で独特の存在感があった。当初はある理由から嘘をついているということもあり、しかしそこには理由があったという、奥の深いキャラクター。これがEXILE TRIBE流の仮面ライダーなのか、というものを見せつけた。

 仮面ライダーレーザーは、宝生永夢/仮面ライダーエグゼイド(飯島寛騎)との熱い関係性を築くも、第12話で戦いに負けて消滅してしまい「貴利矢ロス」という言葉が生まれたほどだった。雨の中、相手にすがりつき、無念を感じつつも永夢に夢を託す貴利矢の姿を見て、「貴利矢ロス」の声が多かったことにも納得した。その後、第35話で再び登場するのだが、今度は黒革ジャン姿で敵役として復活。ひとつの作品で多面的な姿を見せた。

 近年は、映画『恋のしずく』や『最初の晩餐』、ドラマ『橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2019』(TBS系)などにも出演。日本の日常を描いたドラマの中に自然に溶け込む力という意味では、劇団EXILE随一なのではないかとも思える。

小野塚勇人「おのちゃんねる」開設プロジェクト始動!

 また、最近は個人としてもYouTubeチャンネルを開設を目指し、LDH所属グループ・アーティストのさまざまな動画コンテンツを配信している「CL」内でもプロジェクトが始動しているが、そこでは歌やモノマネも少しだけ披露していた。俳優としての姿や、劇団と一緒にトークやゲームをしているときの姿は見られるが、個人としての小野塚勇人が見られる機会がまだまだ少ないので、今後の開設を期待したい。

 劇団での立ち位置は、年齢でいうと下から二番目で、本人曰く、劇団内ではツッコミ役。ボケ倒す年長組や、天真爛漫な佐藤寛太に挟まれて、翻弄されているような印象も受けるが、バランスを知らず知らずにとってしまうまっとうな感じは、即効性はないがじわじわと良さが伝わりそうだし、特に日常を描いた作品では生かされている気がする。

 一方で、先述の『仮面ライダーエグゼイド』や、舞台『春の修学旅行 妖怪!百鬼夜高等学校〜一条通と付喪神〜 』、『勇者のために鐘は鳴る』などで証明したように、ちょっとチャラさや派手さのあるキャラクターも演じることができる。現在放送中の『共演NG』で演じる豊もそんな役のひとつではないだろうか。

 豊は自衛隊を辞めて役者を志し、中井貴一演じる俳優・英二の付き人になったというキャラクター。英二が台本を読むときの相手をしているときの芝居が荒々しく、英二からも「ハイアンドローかお前!」とつっこまれることも。小野塚のツイートによると、このシーンはト書きにあったものを中井貴一が台詞として言ったとのこと。ハイローファンは思わずくすっと笑ってしまったシーンではないだろうか。

 この豊の役は、『共演NG』の中でも終盤に重要な役割を持つ。「豊!(何やってんだ!)」とツイートで突っ込みたくなるような、いわゆる“おいしい”役回りであった。豊役で小野塚は、何か良い上昇気流をつかんだ感じを受ける。これからも、観ているものに何かを残す役に出会っていってほしい。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
『共演NG』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:中井貴一、鈴木京香、山口紗弥加、猫背椿、斎藤工、リリー・フランキー、里見浩太朗、堀部圭亮、細田善彦、小澤廉、若月佑美、小野花梨、小野塚勇人、森永悠希、小島藤子、岡部たかし、迫田孝也、岩谷健司、瀧内公美、橋本じゅん
企画・原作:秋元康
監督:大根仁
脚本:大根仁、樋口卓治
プロデューサー:稲田秀樹(テレビ東京)、祖父江里奈(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、浅野澄美(FCC)
制作:テレビ東京/FCC
製作著作:「共演NG」製作委員会
(c)「共演NG」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/kyouen_ng/
公式Twitter:@kyouenNG_tx

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