身体とは不思議な存在である。“私”と同時に“私でないもの”であり、意識のうちにありながら意識からはみ出したものである。その一方、社会的存在感を持ちながら社会に囲み込まれないものでもある。そんな身体だからこそ、身体の動きに基づくダンス、とりわけコンテンポラリー・ダンスに人は心を惹かれるのかもしれない。本作はホームレスの人々による“新人Hソケリッサ！”というダンス・グループを追ったドキュメンタリーだ。ホームレスの人々にはそれぞれの事情があるが、身体とそのリズミカルな動きはホームレスかどうかには関係ない。映画は彼らの人生以上にダンスへの熱情が焦点であり、彼らが踊るダンスには“私でないもの”“社会からはみ出したもの”の躍動感が滲み出ていて面白い。