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押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?

『マトリックス レザレクションズ』の感想を教えてください!

月2回連載

第62回

Q.
『マトリックス』シリーズの新作『マトリックス レザレクションズ』が公開されました。もし押井さんがご覧になっていたら、ぜひとも感想をお伺いしたいです!

── 今回は『マトリックス レザレクションズ』についてです。18年ぶりのシリーズ最新作で4作目です。完結していたと思ったら、何と終わっていなかったというのは、最近のシリーズものではよくあることです。本作ではメインのふたり、キアヌ・リーブスがネオ/トーマス・アンダーソン、キャリー=アン・モスがトリニティというのは前作と同じ。トリニティにはもうひとつの名前、ティファニーがありますけどね。

『マトリックス レザレクションズ』

押井 本作のように、時代を経て同じ役者を使ってシリーズを作る場合は、役者が順調に年齢を重ね、それを作品が有利に取り込めることができるかにかかっているんだけど、一応、本作では成立していたと思うよ。

ただ、この次を作るとなると難しい。というのも、主人公であるキアヌが上手に年を取れていないから。ホームレスのような風貌で登場したので『ジョン・ウィック』(14)でも意識しているのかと思ったけど、そうじゃない。おそらく最初のときのような短髪のヒゲなしで登場しても、当時のキアヌには絶対になれないからだよ。

今のキアヌは、若さもなければ年齢を重ねた良さもない。中年オヤジとしてのタフネスもない。相変わらず当時のまま。外見は老けているにもかかわらず、だからね。

役者って中年を過ぎると、ある種の臆面のなさとか押しの強さ、図々しさとかが出てくる。私はそれを“タフネス”と呼んでいるんだけどさ。それがなくて、ひと言で言うと、存在感が薄くなった。

だから、そんなキアヌを主人公にしてシリーズを続けるのは大変だと思うわけ。もし続けるのならキャリー=アン・モスを主役にした方がいいと思う。

── 本作でもそういう感じはありましたね。

押井 ウォシャウスキーも分かっているんだよ。キアヌの役は変えられる。新しい救世主を作ればいいわけだから。でも、キャリー=アン・モスは変えずに、昔のネオを偲びつつ、新しい救世主を支えていくという存在になる。そっちの方がドラマとして面白そうですよ。

モーフィアスもエージェント・スミスも違う役者になったんだから、もう誰でもいい。仮想空間なんだから、次々に変えたって何の問題もない。固定のキャラクターと言ったって、ただのスキンなんだからさ。

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