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窪田正孝は“2020年の顔”に 朝ドラ『エール』などで磨き上げた主役としての器

リアルサウンド

20/12/31(木) 6:00

 この2020年における“エンタメ界の顔”の一人といえば、やはり多くの方が窪田正孝の名前を挙げるのではないだろうか。主演映画が2本も公開され、朝ドラの主演俳優として激動の1年を駆け抜けた。彼から“エール”を受け取った方も多いことだろう。もれなく筆者もその一人だ。

 さて、まずは今年の窪田の活躍を振り返りたい。先に記したように、主演を務めた映画である『ファンシー』、『初恋』の2作が、2月に立て続けに公開された。若くしてかなりの数の映画出演を重ねてきた窪田だが、ここ数年は『東京喰種トーキョーグール』(2017年)、『犬猿』(2018年)、『東京喰種トーキョーグール【S】』(2019年)など、主演を務め、作品の看板となることも増えてきた。それも、ド派手なアクションが展開する大作から、会話劇が中心の単館モノまで多岐にわたる。そしてこの間に、『僕たちがやりました』(2017年/カンテレ・フジテレビ系)や『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(2019年/フジテレビ系)といったテレビドラマでも主演を。さらに2019年には舞台『唐版 風の又三郎』でも主演を務めている。“主役としての器”を磨いてきたのだ。

 そして迎えた2020年。永瀬正敏、窪田、小西桜子ら演じる男女の奇妙な三角関係を描いた『ファンシー』は単館作品であり、バイオレンス映画界のオーソリティーである三池崇史監督が初めてラブストーリーに挑んだ『初恋』は、大々的に全国展開された。どちらも同月に公開されたこととあって、窪田の芝居のその振れ幅に驚かされた方は少なくない。後者に関してはラブストーリーとはいえ、あくまでもあの“世界の三池”の作品。一筋縄にはいかない。余命宣告されたボクサー(窪田正孝)が、ヤクザや中国マフィア、悪徳刑事らから一人の少女を守るため抗争に巻き込まれていく……というとんでもなさであった。しかもこの少女を演じているのは『ファンシー』にも出演の小西。同時期に、同じ組み合わせの異なる関係性(=演技の掛け合い)を目の当たりにすることができたのだ。小西は新人とあって、その手を引いたのはやはり窪田の方であろう。

 この流れに続くかたちで、主演ドラマ『エール』の放送がはじまった。それも本作は、国民的ドラマともいえる朝ドラだ。テレビをつければ、そこには窪田の顔。彼は文字どおり、“朝の顔”となったのだ。窪田が演じた古山裕一の存在、そして活躍は、人々の記憶に刻まれたことだろう。日本の朝を活気づけてくれるものだと思っていたのもつかの間、新型コロナウイルスの影響は私たちの生活だけでなく、同作『エール』にも与えられることとなった。

 撮影は一時中止に追い込まれ、日々の放送は、すでに放送された回を振り返る(=再放送する)という異例の事態。毎日放送されるものなのだから、作り手サイドの困難も素人ながら想像できる。撮影が難航したことなどによって、作品を背負う窪田自身も大きな不安感に苛まれたのではないだろうか。いや、確実にそうなのだろう。それでも、彼はこの1年を主演俳優として走りきった。彼のその姿からエールを受け取った人は多いはずだ。

 こうした結果、主役としての大きな器の持ち主であることを存分に見せつける1年を過ごした窪田正孝。私たちの多くが、『エール』を率いる彼とともにこの困難な日々を歩んできたのだから、窪田は“朝の顔”のみならず、“2020年の顔”だともいえるかもしれない。果たして、2021年はどんな顔を見せてくれるのか。磨き上げた器の輝きを、生の舞台でも観たいものである。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』総集編
NHK総合
12月31日(木)前編 14:00〜15:23
12月31日(木)後編 15:28〜16:56

NHK BSプレミアム
12月29日(火)前編 7:30〜8:53
12月30日(水)後編 7:30〜8:58

NHK BS4K
12月28日(月)前編 9:45〜11:08
12月28日(月)後編 11:08〜12:36

出演:窪田正孝、二階堂ふみほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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