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『呪術廻戦』伏黒と加茂の術式がぶつかる 御三家の内情と花御によって明かされた目的とは

リアルサウンド

21/2/13(土) 10:15

 現在『週刊少年ジャンプ』で連載中、芥見下々原作のアニメ『呪術廻戦』(MBS/TBS系)。2月12日に放送された第18話「賢者」では、伏黒恵と加茂憲紀が対峙する中、高専に侵入してきた呪詛師と特級呪霊によって交流会は中断される。

 第14話から再開された第2クールでは、これまで京都姉妹校交流会の団体戦が描かれてきた。死んだと思われていた虎杖悠仁が生きていたことが明かされ、京都校側は楽巌寺学長の命により、「宿儺の器」である虎杖の暗殺が目論まれる。しかし、女の好み(タッパとケツがデカイ女)が一致したことから東堂葵の中で捏造記憶が流れ、彼はまだ未熟な虎杖を鍛錬することに。

 一方、虎杖を狙っていた他の京都校のメンバーと東京校のメンバーのそれぞれの戦いが展開されていく。この京都姉妹校交流会の魅力は、その戦いを通して今までに登場してきた高専のキャラクターの背景が深堀されるところだ。メカ丸とパンダの戦いでは、天与呪縛によって術式範囲が広い代わりに、仲間と直接会えないメカ丸こと与幸吉の孤独と、パンダが突然変異呪骸であると同時に“パンダではない”ことが明かされた。三輪霞はただひたすら良い子で京都校の良心的な存在であることがわかり、西宮桃と釘崎野薔薇の戦いでは呪術界での女としての生き様をテーマに熱い衝突が描かれる。女子回となったこの第17話は未だかつ打てないほど力の入ったアクション描写と、意味深い台詞の緩急で多くの視聴者の心を震わせたはずだ。同じ回の後半では、同時並行で行われた禪院真希と真依の姉妹対決が描かれ、二人の不器用な愛情と御三家のうちの一つ「禪院家」の内情が少し明かされる。

 そして第18話ではついに伏黒と加茂の一騎打ちが描かれる。禪院家相伝の術式・十種影法術を操る伏黒に対し、加茂家相伝の赤血操術という、自身の血とそれが付着したものを操る術式を使う加茂。ここでもやはり、前回に続き御三家に迫る内容が描かれた。加茂家もまた、禪院家同様に封建的であり、側女の息子だった憲紀は正室が術式を継いだ男児を産めなかったことから、嫡男として迎えられた。彼も彼で、自分の母親が受けた不遇を忘れずに、次期当主の座を狙っている。禪院姉妹のように少しより認められるために、古い考えを重んじる加茂家らしい態度を取り、虎杖を殺すことを改めて誓う。

 しかし伏黒もまた、この大会までの準備期間に自分の信念を貫く気持ちを強くしていた。虎杖と最初に出会った時から、伏黒は彼のような善人が死ぬのを見たくなくて虎杖を救ってきた。彼は“ヒーローではない、呪術師なのだ”。そして一度は虎杖を死なせてしまった。彼が生き返った時、改めて伏黒は虎杖を救うべきだと直感した自分の良心を信じることになる。彼を再び死なせない、という想いは強い呪力に。「自分の良心に従って人を助ける。それを否定されたら後は呪い合うしかないですよね」加茂に向けられたこの一言は、なんだかとても重みがあった。

 新たな式神・満象を召喚し、一騎打ちも白熱していたがそれを突如中断したのは花御の乱入だった。呪詛師が五条悟をはじく帷を高専内に降ろす中、一番先に花御に遭遇していた狗巻とともに伏黒と加茂は花御の動きを止めようとする。しかし、そんな彼らに花御が語りかけた。その内容とは、花御をはじめとする特級呪霊らの攻撃の意図だった。「この地球を守りたい」「森も海も空も、もう我慢ならぬと泣いています。これ以上人間との共存は不可能です」「彼らはただ“時間”を欲している。“時間”さえあれば星はまた青く輝く。人間のいない“時間”」そう、花御は話した。

 以前、真人が吉野順平に説明していたように、花御は森、漏瑚は大地、陀艮は海、そして真人は人間への恐れから生まれた特級呪霊である。漏瑚は呪いこそが“真の人間である”と主張し、呪いの権利向上に努めていたが、呪いの方が優れているという彼の主張の背景を、今回の花御の説明が補足している。人間による環境破壊つまり、自然界は怒っているのだ。何年もの間、自分の住む地球のことを顧みず、私利私欲のために資源を使い込んできた身勝手な人間らを淘汰する。どれだけ環境問題に取り組もうが、そうしないともう地球は元どおりに戻らないところまで来てしまった、というわけだ。この動機は画面越しの私たちにも強く訴えかけるものがある。

 一方で、生徒の安全確保のために帷の中に入り込んだ織姫と楽巌寺学長は人体から道具を生み出す呪詛師の組屋と出会う。その時、五条に「はい、おじいちいゃん。散歩の時間ですよ」と馬鹿にされてきた楽巌寺学長が文字通り“一肌脱ぎ”、超絶かっこいいロックンロール爺になる。オープニング映像の中でギターを演奏していた人物が楽巌寺学長だとわかるシーンなのだが、彼の術式は漫画よりも音の聞こえるアニメでの方が圧倒的に映えるはずだ。今回繰り広げられた加茂の赤血操術も血の赤色がわかるからこそ目で追いやすく、何が起きているのか把握しやすい。そういった意味でも、改めてアニメ版の真価を感じさせる第18話だった。来週の第19話は、遂に呪言師の狗巻が活躍する回。伏黒の鵺も、加茂の赤血操術も効かなかった花御だが、狗巻の術式は十分に効果があった。それだけでもやはり狗巻が強いことがわかるわけだが、果たしてその戦いの行く末は。さらに、予告映像では虎杖が新技“黒閃”を繰り広げようとした動作が見受けられた。これにも是非、期待したい。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。今週のじゅじゅさんぽの花御が可愛かった。InstagramTwitter

■放送・配信情報
『呪術廻戦』
MBS/TBS系にて、毎週金曜深夜1:25〜放送中
Amazon Prime Video、dTV、Netflix、Paravi、U-NEXTほかにて配信中
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:朴性厚
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史
副監督:梅本唯
美術監督:金廷連
色彩設計:鎌田千賀子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:兼田美希、木村謙太郎
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:堤博明、照井順政、桶狭間ありさ
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:dugout
制作:MAPPA
(c)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp/#index

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