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東京03 角田晃広、喜劇俳優としての才能を発揮 『これは経費』『いだてん』で見せる“破壊力”

リアルサウンド

19/11/10(日) 6:00

 最近の芸人は、演技がうまい人が多い印象が強い。映画『おいしい家族』で主人公の父親役をつとめた板尾創路、NHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』で父親役を好演した原田泰造、『あさが来た』(NHK総合)に出演した友近など、ドラマや映画に欠かせない存在である。特に漫才ではなく、コントを得意とする芸人は普段からシチュエーションコメディを演じているためか、ちょっとした間の取り方が絶妙で、すこしの出番でも色濃い印象を残す。『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK総合)でもおなじみの田中直樹や塚地武雅をはじめ、私的芸人俳優ナンバーワンのアンジャッシュの児嶋など、皆作品に重宝されている。

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 そんな中で、最近異彩を放つ存在がいる。それが、コントトリオ・東京03の角ちゃんこと角田晃広だ。『花咲舞が黙ってない』『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(いずれも日本テレビ系)をはじめ、今年4月には主演ドラマ『遊戯みたいにいかない。』(日本テレビ系/Hulu)が放送されるなど、着実に出演を増やしている。NHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』では主人公の親友が弱っているところにつけこむオヤジという特異なキャラクターで、一瞬の出演にも関わらず強い印象を残した。

そして、注目が集まったのは7月クールで放送された『これは経費で落ちません!』(NHK総合)の営業部長・吉村晃広役だろう。どんな細かい経理の不正も見逃さない主人公が在籍する経理部と相対する、営業部の部長という役どころ。正義感の強い主人公に対して、営業が会社の稼ぎ頭だと豪語し、細かい経理伝票をチェックせずにどんどん印鑑を押してしまう横柄な部長役がなんともうまかった。

 特に、経理部部長である吹越満との掛け合いは東京03のコントさながら。そこに総務部部長役のモロ師岡が入るのだから、豪華なコメディアンの競演を垣間見ることができた。角田の演技は、いい意味でシリアスな緊張感やジーンとしてしまう感動を壊す“破壊力”があった。角田の重厚すぎるコミカル感によって、一気に周りを自分の世界に引きずり込んでしまう。最終話の沖縄支店に左遷されるシーンでは、地味に肌が焼けていて、ちょっと下手な沖縄弁など細かいところまで手が込んでいてくすっと笑えた。

 洗練された演技力の高さやキャラクターのふり幅などが評価されている芸人が多い中で、角田の場合は本人のキャラクターにハマるおいしい役どころをもらえていると思う。役をもらえているのは、それだけ作品に欠かせない存在、という事実でもある。もちろん演技もうまいのだが、圧倒的にコメディ要素が強く、最近いなかった喜劇役者としての才能を感じるのだ。一部では、角田を芸人と知らず役者として見惚れていた視聴者もいたようだ。

 いまや説明は不要だろうが、東京03は現在のお笑い界随一のコントグループ。単独公演のチケットは入手困難で、同業者にも憧れられる存在だ。人間模様の機微を描き出す東京03のコントで、角田は大ボケを担当する。それこそ残念で癖の強い部長役は角田の得意とするキャラクターなのだ。しかし、そのキャラクターをそのままドラマに持ってきたところで、浮いてしまう可能性は大いにある。そこは場の空気をよく読み、笑いに変えてしまえるだけの実力を持っている角田の演技力のたまものだろう。

 最終章がはじまったNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』でも、第1話の最初のセリフを担うタクシー運転手役で登場。ここで終わりかと思いきや、最終章でも重要な役どころを演じる。角田が演じるのは「聖火リレー踏査隊」の一員となり、ギリシャのアテネからシンガポールまで2万キロメートルの距離を自動車で走破する森西栄一という役。文字面だけでちょっとおもしろそうなのがずるいな、と思ってしまうのだ。他にも最終章では、立川談春や松田龍平など個性豊かな面々が物語を彩る。そんな中で、角ちゃんはどんなキャラクターで物語を盛り上げてくれるのだろうか。(羽佐田瑶子)

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