弥生、三月-君を愛した30年-
20/3/20(金)
『弥生、三月-君を愛した30年-』 (C)2020「弥生、三月」製作委員会
『家政婦のミタ』などの人気脚本家・遊川和彦が自らのオリジナル脚本を映画化した本作は、これまでの彼の脚本作のような奇抜な人物が登場しない代わりに、作品の構造自体がトリッキー。恋人たちの30年越しの恋の変遷を“3月だけで”どう描くの? 興味はその一点だったけれど、ヒロインの繊細さと強さを体現した波瑠と彼女の運命の男を明るく親しみやすいキャラで成立させた成田凌が、その前人未到のミッションをまんまとクリアーしていたから驚いた。しかも、1年の中でも最もドラマチックなそれぞれの時代の3月を、テロップではなく映っているもので伝えたり、年数の変化を日めくりカレンダーが変わるように見せる演出も鮮やか。そして、杉咲花が演じた主人公たちの共通の友人の声に耳を傾けるクライマックスではやっぱり涙! 少年が夢みるような純粋な恋を描く、純度100パーセントの遊川和彦ワールドになっている。
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