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杉田協士の最新作「春原さんのうた」2022年公開、マルセイユ映画祭へ出品決定

ナタリー

「春原さんのうた」海外映画祭用ポスタービジュアル

「ひとつの歌」「ひかりの歌」で知られる杉田協士の監督作「春原さんのうた」が、2022年新春に東京・ポレポレ東中野ほかで公開決定。あわせて、第32回マルセイユ国際映画祭インターナショナルコンペティション部門への正式出品も決定した。

本作は、東直子による歌集「春原さんのリコーダー」に収められた表題歌「転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー」を映画化したもの。美術館での仕事を辞めてカフェでアルバイトを始めた主人公の沙知は、常連客から勧められたアパートの部屋に引っ越しをする。新しい生活を始めたものの沙知の心には、もう会うことの叶わないパートナーの面影が残っていた。

沙知を荒木知佳が演じ、新部聖子、金子岳憲、伊東沙保、能島瑞穂、日高啓介、名児耶ゆり、北村美岬、黒川由美子、深澤しほ、安楽涼、大須みづほが出演。撮影を「偶然と想像」の飯岡幸子、照明を「花束みたいな恋をした」の秋山恵二郎、音響を「VIDEOPHOBIA」の黄永昌が担当した。

このたび、海外版ポスター2種と映画祭用の予告編が公開。さらに、場面写真とイラストレーター・マンガ家のカシワイによるイラストビジュアル3種も到着した。また、東は「マルセイユ国際映画祭で、ポレポレ東中野で、そして偶然のような場所で、永遠のひとときが再生される、この宇宙の希有なできごとを心から喜びたい」とコメントを寄せている。

※日高啓介の高は、はしごだかが正式表記

東直子 コメント

短歌は、五七五七七の音韻でつくる詩の小宇宙です。杉田協士監督は、この小宇宙をふくらませて、あるいは一度解体して、この世の光であらたな映画の小宇宙を形成する。それはそれは幸せな共鳴です。
偶然のように知りあった私たちが、映像の中では永遠のひとときを生きる。この上なくしずかに、やさしく、痛々しく、儚く、強く、あたたかく。女の子の顔に、みんな映っている。過ぎてしまった時間から、一通の手紙が戻ってくる。遠い昔に吹いたリコーダーは、今も奏でることができる。昔作った短歌を思いながら、今日の空気をゆっくりと吸った。
マルセイユ国際映画祭で、ポレポレ東中野で、そして偶然のような場所で、永遠のひとときが再生される、この宇宙の希有なできごとを心から喜びたい。

ジャン=ピエール・レム(マルセイユ国際映画祭・総合ディレクター)

何よりもまず選考委員会の全会一致をお伝えします。誰もが心を動かされ、言葉をなくし、涙し、映画が終えたときには限りない幸せに包まれていました。それはこの映画が持つ繊細さと精密さ、他に類のない見せ方がもたらした小さな奇跡です。俳優たちはみな素晴らしく、フレームにはずっと驚かされました。時折り挟まれるコメディのあり方、音の響きや色彩......、この映画に流れる時間は平和でありながら、それによって美しさにさらに美しさが迎えられています。「春原さんのうた」は紛うことなき傑作です。

(c)Genuine Light Pictures

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