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『天国と地獄』最重要人物の存在が明らかに キーワード“クウシュウゴウ”を考察

リアルサウンド

21/2/22(月) 6:00

「東朔也って、誰……?」

 すべての視聴者と主人公・望月彩子(綾瀬はるか)の心境がリンクした日曜劇場『天国と地獄〜サイコな2人〜』(TBS系)。第6話にして、最重要人物と思われる「東朔也」という名前が飛び出す。それは、日高陽斗(高橋一生)が奄美大島で名乗っていたとされる名前で、“朔”とは新月を表す文字だ。これまでは「日高(太陽)と望月(満月)」の入れ替わりを中心にをストーリーが展開されてきたが、ここにきて「陽斗(太陽)と朔也(新月)」の入れ替わりが物語のキーを担っている線が浮上してきた。

お手柄&名推理に「陸、超愛してる!」

 第6話は、彩子の同居人・陸(柄本佑)が大奮闘。前回は、日高と彩子による息の合ったバディっぷりが爽快だったが、今回は陸と彩子のタッグが視聴者を楽しませてくれた。九十九(中尾明慶)の証言で日高が新月の夜に殺人を犯してきたことを知った彩子。なんとか日高の犯行を止めようと、陸に日高が事件の証拠品を隠したコインロッカーを探し出すように依頼する。彩子からの軍資金をもとに、機転を利かせた陸は便利屋の師匠・湯浅和男(迫田孝也)の持つネットワークを駆使してコインロッカーを探し出すことに成功。そこには、あの殺人リストと共に『暗闇の清掃人Φ』の漫画が。陸は、描かれている内容に目を通し、ミスターXによって指示された清掃人が、法では裁けない悪いヤツらを殺していくストーリーであること。そして、そのミスターXから指令が数字でなされていることを突き止める。“日高と2人分の人生を生きている”そんなふうに感じ始めていた彩子にとって、陸の冷静な推理は実に頼もしく映ったのだろう。思わず「愛してる!」と感情を高ぶらせる。

“9”の現場でミスターXを待っていた日高

 そして、第1話から漂っていた殺人現場の妙な清潔感は、日高が清掃会社を装って、ターゲットの家に侵入していた手口だったことが判明する。歩道橋に描かれた“9”は、殺人リストにあった「久米正彦」の家だ。事前に夫人の目の前で具合が悪くなったふりをして接触。後日、ホームクリーニング業をしていることから「助けてもらったお礼に無料で掃除をさせてほしい」と申し出て、堂々と玄関から入っていく大胆な手口を披露する。そして、侵入ルートを確保すると、夜中の犯行時刻までクローゼットの中に隠れてミスターXを待つという流れだった。しかし、この日は外に彩子と八巻(溝端淳平)が張り込みをしていたことから、ミスターXと思われる怪しい人物は踵を返してしまった。日高は久米夫妻を気絶こそさせたものの、殺害をせずに逃走。誰も殺されなかったと安堵する彩子だったが、ますます日高の心理がわからなくなる。

死んでいるはずのクウシュウゴウ

 一方、独自の捜査を進める河原(北村一輝)は、第1の殺人事件「一ノ瀬正造殺し」の際に、嘘の証言をした戸田一希(橋本真実)を問い詰める。そこでジムの顧客リストを売った相手の名前が“クウシュウゴウ”であることを突き止めた。その口座に登録されていた本名・十和田元(田口浩正)の家へと向かうも、すでに自殺してこの世を去っていたことが明らかに。その遺品は清掃会社によって処分されていたが、スタッフが1つだけ持ち出されたものがあったことを覚えていた。それが漫画『暗闇の清掃人Φ』であり、手にした人物というのが「東朔也」であるとつながる。さらに、死んだはずのクウシュウゴウは、陸に3度も歩道橋にある数字を消すように依頼をしていた。さらに、日高が漫画を持ち去ったと言われている「東朔也」の名前を、死亡届検索で調べる姿が。こちらも、すでに死んでいる可能性のある人間ということなのだろうか。

ひとまず、八巻は無事に生き残りそう!?

 ここからは、少し予想も含みながらこれまでの情報を整理していきたい。一ノ瀬正造=1(一の“イチ”)、田所仁志=2(仁の“二”)、四方忠良=4(四の“シ”)、久米正彦=9(久の“キュウ”)……漫画『真夜中の掃除人』通りに殺人が行なわれるのだとしたら、被害者候補はミスターXによって法で裁けない悪者たちと見なされたリスト内の人々、つまりリスト外の一般人である八巻や河原三雄はその候補にはなりえないのではないかと考えられる。その点は、ひとまず安心できるのではないか。というか、そうあってほしいと願う。

 そして、日高への指令が数字で出されることが前提となっているのなら、リストにあった他の候補者たちも数字に当てはめられるはず。だが、大山美里=3(山の“サン”?)、藤島悟=5(悟の中にある“ゴ”?)、宍戸直樹=6(宍の中にある“ロク”?)、志知由美子=7(志知の“シチ”?)、柳楽健一=8(柳楽の“ヤ”?) or 1(健一の“イチ”?)、戸塚豊=10(戸の“ト”)、市川学=1(市の“イチ”?) or 1000(川の“セン”?)と、どうも曖昧さが目立つ。果たしてミスターXはリストにあるすべての人を手に掛けようとしていたのだろうか。そもそもミスターX(エックス)なのか、ミスターⅩ(じゅう)なのかもまたハッキリしていない。そんな中、新たな殺人事件が起こる。今度の被害者は誰なのか。

やはり日高は以前にも入れ替わりを経験している!?

 そして、これまでも複数回の入れ替わり説が囁かれてきた日高。特に、手慣れた様子でメイクをしたり、ヒールで歩く姿から「女性だったのではないか」という声も根強い。また例の呼び出しの手紙が「まるでラブレターのようだった」という陸の感想によって、差出人は女の子ではないかと予想して、日高はその女の子との入れ替わりを果たしているのではないか、という見立ても。しかし今回、日高の秘書・樹里(中村ゆり)と妹・優菜(岸井ゆきの)によって、ノートの切れ端に書く手紙は女の子からのラブレターではないのでは、と一蹴されてしまった。あの手紙の差出人を女子からだと断定するのは、まだ気が早そうだ。

 そもそも、なぜ犯人は「クウシュウゴウ」という名にこだわり、「∅」の記号をわざわざ現場に残しているのだろうか。クウシュウゴウ=空集合とは「属する要素が一つも無い集合」を意味する。一体、何に「属していない」のか。社会か、それともこの世そのものか。魂の入れ替わりが起こった世界で、殺人鬼の魂だけがそこにあるとしても不思議ではない。しかし、わざわざ警察に存在感を示す意味は何なのか。その強烈な動機を私たちは知らない。日高が犯人に何かを握られて殺人の片棒を担いでいるとするのなら、日高にとってよほど大切な何かであるに違いない。

 そして、ふと陸が日高に「自分で殺して、自分で逮捕するマッチポンプ的なことをしているのかなって」と話していたことを思い出す。もしかしたら、日高が以前に入れ替わりをしていたか、もしくは何者かの魂を取り入れて“2人のサイコ”を所有している状況なのかはわからないが、本来の自分に戻りたいと願っているのだとしたら。その方法を知るために、犯人を歩道橋で待ち続け、出される指令に応えてでも会おうとしていたのだとしたら……。

 もしかしたら太陽(日高陽斗)として明るい人生を歩むはずだったのに、新月(真夜中の掃除人)にされてしまった日高が、太陽の光を受けて輝く満月(望月彩子)と共に、本当の新月(東朔也)と対峙する物語……になってほしい、というのはただのいちファンの妄想だ。だって、私たち視聴者は、もうすっかり日高と彩子の2人に親近感を持ってしまっていて、日高にも彩子の身体にもこれ以上人を殺してほしくはないのだから。

■放送情報
日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』
TBS系にて、 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝
脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
製作著作:TBS
(c)TBS

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