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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

「前世・今世・来世」は実は同時に起こっている説

毎週連載

第146回

前回の続きです。前回、「前世・今世・来世」の話をしたけどさ、この考え方で言うと、「罰が当たる」とか「神様から与えられた試練」みたいなことも実は関係ないとも言える。その不遇とか苦境もあらかじめ決まっていて、それがたまたま何かのタイミングに起こったとも考えられるわけよ。

わかりやすく言うと、例えば、「お地蔵さんにおしっこをかける」なんて行為は、いかにも罰当たりな話じゃん。でも、やってしまったと。そしたら、その3日後に食中毒になって体を壊してゲーゲー、ゲーゲーすげぇ吐くことになったと。

こういうときにさ、「うわ! やっぱりお地蔵さんのタタリだ。あのときお地蔵さんにおしっこかけたから、こんな罰を与えられた」って考える人が多いと思う。

でも何故そう思ってしまうのかと言うと、お地蔵さんにおしっこをかけたとき「何か悪いことをしている」という意識が自分の中にあって、心の中にずっと残っているからなんだよね。その罪悪感を背負っちゃってるからさ、その3日後にたまたま食中毒になったことを「あれが原因だ!」って考えてしまうっていうだけのことなんだ。

言い換えればさ、昔からよく言われている「神様からの罰」「天からの罰」ってこともまた、とどのつまり人間、あるいは自分が考えた罪とも考えることができる。

逆に良いことが起こっても同じ。人間って、自分に幸運が訪れたとき「あのとき誰かを助けたからだ」「あのとき拾った財布を交番に届けたからだ」とか思いがちじゃん。でも、それ自体も自分の中に「良いことをした」という思いが心の中に残っているから考えることであって、これも偶然に起きた、あるいはもともと決まっていたことなんだよ。

仏教的な考えに「今世で徳を積んだほうが、来世では幸せになれる。だから、人の役に立つようなことをしなさい」ってものがあるけど、僕個人的には「本当だろうか」って思うところがある。さらにうがって言えばさ、「今世で徳を積んだほうが、来世では幸せになれる」って伝えることで、例えば犯罪抑止になったり平和的に人々がコミュニケーションをとることができるでしょう。だとしたら、それはそれで悪いことではなく、むしろとても良いことだよね。できれば僕もそういう徳を積むような生活をおくりたいと思う。

でもさ、「前世・今世・来世」ってことを絡めて考えると、「今世で徳を積んだほうが良い」っていう考え方がどうしても疑問に思うところがある。今のところ、「あらゆることはもともと決まっている」、あるいは「過去・現在・未来も同時に起きている」というように思えてならないわけ。マジの話だよ、これは。

1時間前に起きたことも、今起きていることも、1時間後に起きていることも実は同時に起きているかもしれない。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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