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石原さとみが『Heaven?』で見つめた、自分らしさ 「自分に飽きたくなくて変わりたい」

リアルサウンド

19/8/6(火) 13:00

 石原さとみが主演を務めているTBS系火曜ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』が現在、放送中だ。

 原作は、「週刊スピリッツ」(小学館)で連載された、佐々木倫子による同名漫画。風変わりなオーナー・黒須仮名子と個性的な従業員たちとの間で繰り広げられる、“至極のフレンチレストランコメディー”。

 ドラマでは、アドリブも交えた役者たちの会話のやりとりや小ネタなど、細かな演出により漫画の世界に息が吹き込まれている。今回、石原に仮名子を演じたことでの自身の変化や、これまでの出演作でも縁が深かった「食」について話を聞いた。

【写真】石原さとみ撮り下ろしカット

■「完コピするような感覚も、私は好き」

ーー風変わりなオーナーというキャラクターで、普段よりテンション高めで楽しくお芝居されているのかなという印象を受けます。

石原さとみ(以下、石原):そうですね。楽しいですけど、どういう部分で幅を見せればいいのかなとか色々考えていたので、はじめの頃は探り探りでした。撮影した後に編集で味付けをたくさんしていただいてこの作品が完成するので、出来上がりがどんな風になるのか分からない作品ははじめてです。

ーー今回、漫画原作ですが、原作ものを実写でやる楽しさはどこに感じますか?

石原:今回、漫画をそのままやるのはやめようという話になり、例えばカトラリーでガンガン机を叩いて「まだか!」ってやったりするガサツな子にはしたくないと言われました。だから、漫画をそのまま実写化するのとはまた違いますね。とにかく綺麗に食べてほしいということと、マナーはちゃんとしっかりしてほしいという要望をいただきました。荒っぽく早口でまくし立てる感じになるんじゃなくて、ちょっとの優しさとユーモア、断言する力強さなど、とにかく生命力みたいなものを仮名子に対して感じていたので、そこは大事にしています。でもそうすると、原作にある仮名子の勢いが失われるんじゃないかなと悩みながら、探っています。原作漫画を何度も読み込んで、『進撃の巨人』や『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)の時の、髪型の一本にしても完コピするような感覚も、私は好きです。けど今回は、また違うタイプの原作漫画の映像化の取り組んでいるので、漫画もあえて数回しか読んでないです。

ーー仮名子は登場するたびに華があって、スタイリングが印象的ですが、石原さんもアイデアを出したり?

石原:そうですね。原作を読むとすごいトレンディな服と髪型してるんです。10年以上前の作品なので、この時の流行が反映されているんですけど、これを現代のファッションに当てはめてみると、どうなるのかなと考えました。皆がスーツなどを着てる中で、そこに馴染むのは違うかなと思うので、黒は控えめにしながら原色を使いたいっていう話をしました。今回、やりたいメイクもあって、髪型も衣装もちょっとパンチがあるものにしたいよねとスタイリングチームと話したりして決めています。

■「誰かを支えることができていたらな」

ーー仮名子が、“食べる専門”のオーナーという役柄ですが、最近の石原さんの出演作で、『アンナチュラル』(TBS系)や『高嶺の花』(日本テレビ系)も食べるシーンが多くありました。

石原:何なんでしょうね(笑)。

ーー本作で、「食」はどんな風に描かれているのでしょうか。

石原:プロデューサーさんと話したんです、「なんでこのレストラン作りたいのか?」という大元は、“フレンチ料理が大好きで、美味しい料理を家の近くで、好き放題に、すぐに食べたい”。だからわざわざ作り、従業員を集めるというところから始まっているので、美味しく食べるシーンを絶対に入れたいとおっしゃっていました。フレンチは初めてですし、今回は、食に対する貪欲さみたいなものを、見せられたらなと思いながらやっています。群像劇が進んでいく中で、仮名子のどんな時でも美味しいもの食べた瞬間に幸せになるところは、しっかりと見せたいですね。

ーー今回はオーナー役で、食を提供する側を演じてみて、どんなやりがいを感じましたか。

石原:幸せを提供する場、人生を豊かにする場所や時間はプライスレスで、とても大事なものだと思うんです。自分のお金や時間、そして心に余裕ができた時に、それをより豊かにするための場所というか。必要不可欠な場所だなと感じています。それはレストランだけでなくエンタメもそういうものだと思います。例えば帰ってきてテレビつけた時に、なんか“笑える”、“ほっとする”とか、誰かの命を救えるかは分からないけど、“ちょっとだけ豊かになる”とか、“心がちょっとだけ持ち上がる”とか。そういう、人生の時間を豊かにするための仕事は、私の中ではかけがえのないもので、誰かを支えることができていたらなと思います。

ーー現場のムードメーカーは勝村(政信)さんと志尊(淳)さんだと伺いました。

石原:勝村さんの志尊さんいじりじゃないですかね(笑)。“志尊淳いじり”はもうずっと、延々に続く気がします。でも、撮影中、本番中、テスト中で一番ツボにハマるのは、確実に岸部(一徳)さんです。志尊さんの芝居で岸部さんが堪えられなくて笑っちゃう時もあるし、誰か1人が笑っちゃって、みんなに伝染する、みたいなことはいっぱいあります。

ーーそうするとNGになっちゃう?

石原:NGになってます(笑)。私も、笑いが堪えられない経験をこんなにすると思わなかったです。あと女性ひとりなのも初めての経験です。メインキャストが全員男性で、しかもラブストーリーが一ミリも入ってこないので、いい意味で異性として見ない、とても貴重な現場です。常に人間としての付き合いで接することができて、すごく楽です。

ーー“諦観の笑み”は皆さん習得されているんでしょうか。

石原:(撮影が)押すなって思った時、みんなの“諦観の笑み”がしっかりあります(笑)。「押してるね」「うん」「2時間」……っていう、そこの“諦観の笑み”は共通してありますね。

■「自分に飽きたくなくて変わりたい」

ーー仮名子は常に自分らしさを最大限に発揮するイメージがあります。石原さんが思う自分らしさは何でしょう?

石原:自分らしさ……何だろう。私、自分に飽きたくなくて変わりたいと思っちゃうから、そういう自分に飽きないための欲は強い気がします。例えば、同じ料理も次に作るときは同じレシピで作らないとか、お米自体を変えるとか、ちょっとしたことを変えてみようって、色々挑戦したりします。精神的な面も、こういう自分が好きじゃないからこうなりたいとか、あの時後悔したから、次はこういう言葉をかけてみようとか。このメイクは飽きたから次はこのメイクをしてみようとか自分に飽きない工夫をしています。友情は財産だから変わらないですが、人との繋がり以外の部分での変化は常に求めていると思います。

ーー仮名子は本当に“我が道を行く”タイプの人ですよね。

石原:そうですね。この役を通して“切り替え力”がつきました。川合くん(志尊淳)と私が、ものすごい切り替えが早い役なんです。例えばみんながワイワイしていても、川合くんが「そんなこと考えても今意味ないじゃん」とか、私が「うん、お腹がすいたからもう行こう」って言ったり。何か問題が起きたとしても、自分にとってプラスになるように全部切り替えられる力ってすごい必要だなと思っています。元々切り替え力が低いわけではなかったんですが、もっと早くなりました。落ち込み過ぎなくなりましたし、何かが起きても「ま、いっか。だって~~だし」とか「あら最高じゃん、だって~~とかだもん」って変換しています。友人たちにも、「最近すごいすっきりしてない?」と言われることも多くて、さっぱりするようになりましたね。

ーー視聴者のみなさんに、この物語のどんなところを楽しんでもらいたいですか。

石原:『Heaven?』はメッセージ性が強くないんです。悪い人が一人も出てこないし、どこか欠けてる人たちが集まってるのに成立してしまう部分は観ていて気持ちがいいと思います。自分は無理に変わらなくていいんだとか、いいところを伸ばせばいいんだとか、悪いところも愛されるって幸せだなとか。何かが起こっても、許して“諦観の笑み”でいられたら、意外とスムーズにすんだり、平和な気持ちになれるんじゃないかな。一瞬だけでも、嫌なことを忘れられたりすることを大人たちが真剣にやっているのは、意味のあることだと思います。

(大和田茉椰)

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