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岩井俊二「ラストレター」&短編併映、高畑勲らにもらった忘れられない手紙とは

ナタリー

19/12/21(土) 15:39

岩井俊二

ショートムービー「リトルレター」と映画「ラストレター」の試写会が、本日12月21日に東京・LUMINE 0で開催され、監督の岩井俊二が登壇した。

岩井の最新作「ラストレター」は、手紙の行き違いをきっかけに始まった2世代の男女の恋愛と再生を描くラブストーリー。松たか子、広瀬すず、庵野秀明、神木隆之介、福山雅治らが出演した。そしてキットカットの発売30周年を記念した「リトルレター」は、岩井が「ラストレター」キャストの森七菜を起用して撮り下ろした短編。母親が受験生の娘に向けて、キットカットの外袋を使った“折り紙”でメッセージを伝えるという物語を描き出す。

岩井は「リトルレター」上映後にトークを実施。脚本段階から本作に携わった岩井は「キットカットには『花とアリス』の頃から縁があって、応援してもらっています。“きっと勝つ”という言葉遊びが受験生の間で流行って、今では定番の受験応援アイテムの1つになりましたね」と語り、キットカットのパッケージで折り鶴や御守が作れることに触れ「映像だと全部説明するわけにはいかないので、さりげなくどうやって見せるかを苦心しながらまとめていきました」と振り返った。

本作の内容にちなみ、思い出深いメッセージについて聞かれた岩井は「忘れられないのは、自分の映画を観た先輩監督がお手紙をしたためてくれたことです。『素晴らしかったです』などと書いていただいて、今でも宝物です。本当に励みになりました」と答え、高畑勲、篠田正浩、大林宣彦らから感想の手紙をもらったと明かした。

「ラストレター」「リトルレター」、そして1995年には「Love Letter」も手がけている岩井は「最近古いテキストファイルを整理していたら、『夏の手紙』という短編が出てきました。覚えていなかったので読んでみたら、ちょっと詰めの甘いところはありましたが、その頃から手紙を描きたかったんでしょうね」と話す。「夏の手紙」は、主人公が友人から送られてきた手紙をたよりに、その送り主を訪ねたところ、相手はすでに亡くなっていた、という物語だそう。また“手紙”というモチーフを好む理由を「手紙を書くという佇まいが、日常から消えてきていますよね。便箋に向かってペンを走らせる姿も美しいのですが、読む姿がまた素晴らしい。『ラストレター』でも広瀬すずちゃんと森七菜ちゃんはとにかく読むシーンが多いのですが、その佇まいがなんともいいものだと思いました」と説明し、「いつか我々は、スマホをじっと見ている姿を美しいと思うようになるんですかね」と続けた。

2作品に出演した森は、行定勲の短編でデビューし、「天気の子」で声優を務めた18歳の新鋭女優。岩井は「紹介されたわけではなく偶然だったのですが、行定監督に連絡を取って『あの子いいよね』と話しました。(周りに)いそうで、なかなかいない。それに歌を歌ってもらったら、すごくいい声なんですよ。いろいろなものを持っている女の子なので、これからが楽しみです」と評価する。トークショー後の囲み取材で「もしまた森を起用するとしたら、どんな役柄を演じてもらいたいか?」と質問すると、岩井は「奇抜な役も似合うと思う」と言って、大島弓子のマンガ「綿の国星」に登場する、自分を人間だと思いこんでいる猫を例に挙げた。

「ラストレター」は1月17日より全国ロードショー。「リトルレター」は12月23日の10時から、ネスレシアターで視聴可能となる。

(c)2020「ラストレター」製作委員会

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