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「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演『Last Dance』」カーテンコールより。中央が吉田都。(c)Kiyonori Hasegawa

吉田都が喝采に包まれ“ラストダンス”「バレエ人生にとって一生の思い出」

ナタリー

19/8/9(金) 15:54

「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演『Last Dance』」が、東京・新国立劇場 オペラパレスで昨日8月8日に閉幕した。ステージナタリーでは、8月7日14:00開演回の様子をレポートする。

これはバレエダンサー・吉田都の引退公演。吉田自身がプロデュースする「Last Dance」では、約35年のキャリアの集大成として、吉田がイギリスで踊ってきた作品群が上演された。第1幕ではまずオーケストラの生演奏に乗せ、スクリーンに吉田のバレエ人生を追った写真が次々と映し出される。その後ステージには吉田が姿を現し、フレデリック・アシュトン振付の「シンデレラ」第3幕の一部を披露した。パンフレットで吉田が「自分のバレエ人生を振り返るイメージで選びました」と語るこのソロでは、魔法が解け、いつもの貧しい身なりで目覚めたシンデレラが、舞踏会を思い返しながら箒を抱いて夢見心地で踊る。最後にエプロンのポケットからガラスの靴の片方が出てくると、吉田扮するシンデレラは靴を抱き締めて可憐な笑顔を浮かべ、観客からの大きな拍手を浴びた。

吉田は、同じく第1幕のアシュトン振付「誕生日の贈り物-Birthday offering-」にも出演。男女7名ずつのダンサーが踊る華やかな本作で吉田は、黄色を基調とした華やかな衣装をまとい、英国ロイヤル・バレエ団で長年ペアを組んでいたフェデリコ・ボネッリと共に登場。今回吉田は英国ロイヤル・バレエ団のプリマだった故マーゴ・フォンテインのために作られたパートを初めて担当し、軽やかなステップで場内を沸かせた。

第2幕の冒頭では、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の名誉監督ピーター・ライト振付「白鳥の湖」より第4幕のパ・ド・ドゥが披露された。「白鳥の湖」は吉田が初めて主役を務め、「数えきれないほど踊ってきた」と言う演目。オデットが湖に身を投げる前に踊るこのパ・ド・ドゥを、吉田扮するオデットと、ボネッリ扮する王子は息の合ったコンビネーションで魅せる。白い衣装をまとった吉田は、指先まで神経の行き届いた繊細な動きでオデットの悲哀を表現した。

公演の終盤には、新国立劇場 舞踊部門の現芸術監督・大原永子、バーミンガム・ロイヤル・バレエの元芸術監督のデヴィッド・ビントレー、英国ロイヤル・バレエ団芸術監督のケヴィン・オヘア、そしてライトからのビデオメッセージ上映も。彼らはそれぞれが吉田を称賛し、長年の活動をねぎらった。

「Last Dance」の最後を飾ったのは、1963年にライトがシュツットガルト・バレエ団で創作した「ミラー・ウォーカーズ」のパ・ド・ドゥ。バレエスタジオの鏡に向かって1人の少女がレッスンしていると、見知らぬ青年の姿が現れる。いつしか鏡の中に入り込んだ少女は、そこに閉じ込められたダンサーたちの存在を知り……。吉田はこの演目を、英国ロイヤル・バレエ団で吉田と共に活動していたイレク・ムハメドフと共に踊る。ハンカチで涙をぬぐう観客もいる中、純白の衣装をまとった吉田がしなやかに最後のポーズを決めると、会場は万雷の拍手と「ブラボー!」の声に包まれた。

元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の山本康介が演出を務めた本公演には、英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルの平野亮一、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパルの平田桃子、新国立劇場バレエ団やスターダンサーズ・バレエ団の面々など、多彩なダンサーがカンパニーの枠を超えて集結。彼らもアシュトン「リーズの結婚」第2幕の一部や、吉田が「引退するときが来たらぜひその日のプログラムに加えたいと思っていた」と言うデヴィッド・ビントレーの「『Flowers of the Forest』から“Scottish Dances”」などを踊り、舞台を彩った。

このたび、引退公演を終えた吉田からのコメントが到着。吉田は「現役生活の最後にこうして素晴らしいダンサーの皆様とともに踊れたことは、私のバレエ人生にとって一生の思い出です。これからもよりいっそう日本のバレエ界に貢献していけるよう誠心誠意努めてまいりますので、ご支援をよろしくお願いいたします」とメッセージを送っている。なお本公演の様子は10月7日20:00、14日10:00からNHK BS4Kで放送されるほか、BSプレミアムでもオンエアされる予定だ。

吉田は2020年9月1日付けで、新国立劇場舞踊部門の芸術監督に就任。吉田の芸術監督就任後第1作は、「ピーター・ライト版『白鳥の湖』」となる。

「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演『Last Dance』」

2019年8月7日(水)・8日(木)※公演終了
東京都 新国立劇場 オペラパレス

「シンデレラ」第3幕から

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:プロコフィエフ
出演:吉田都

「Flowers of the Forest」から“Scottish Dances”

振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:アーノルド
出演:池田武志、渡辺恭子、石川聖人、石山沙央理、塩谷綾菜、高谷遼(「高」ははしご高が正式表記)

タランテラ

振付:ジョージ・バランシン
音楽:ゴットシャルク(ケイ編曲)
出演:ミーガン・グレース・ヒンキス、ヴァレンティーノ・ズケッティ

「アナスタシア」第2幕から

振付:ケネス・マクミラン
音楽:チャイコフスキー
出演:平田桃子、ジェームズ・ヘイ

「誕生日の贈り物 -Birthday Offering-」から抜粋

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:グラズノフ(アーヴィング編曲)
出演:吉田都、フェデリコ・ボネッリ / 島添亮子、福岡雄大 / 米沢唯、井澤駿 / 渡辺恭子、池田武志 / 永橋あゆみ、三木雄馬 / 沖香菜子、秋元康臣 / 阿部裕恵、水井駿介

「白鳥の湖」第4幕から

振付:ピーター・ライト
音楽:チャイコフスキー
出演:吉田都、フェデリコ・ボネッリ

「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー
音楽:ミンクス
出演:米沢唯、秋元康臣

「リーズの結婚」第2幕から

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:エロール(ランチベリー編曲)
出演:ミーガン・グレース・ヒンキス、ヴァレンティーノ・ズケッティ

「シルヴィア」第3幕から

振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:ドリーブ
出演:小野絢子、福岡雄大

「くるみ割り人形」グラン・パ・ド・ドゥ

振付:ピーター・ライト(レフ・イワノフ版に基づく)
音楽:チャイコフスキー
出演:ヤスミン・ナグディ、平野亮一

「ミラー・ウォーカーズ」から

振付:ピーター・ライト
音楽:チャイコフスキー
出演:吉田都、イレク・ムハメドフ

指揮:井田勝大
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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