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『シャーロック』ディーン・フジオカ、独特のユーモアを体現 岩田剛典とのタッグには不穏な動き?

リアルサウンド

19/11/5(火) 6:10

 「女性の行動の動機ほどはかりがたいものはない。例のマーゲートの女のこと、きみも覚えてるだろう」(『シャーロック・ホームズの復活』深町眞理子訳)。殺人現場のような惨状の部屋から消えた死体の行方を探る、4日放送のフジテレビ系列月9ドラマ『シャーロック アントールド・ストーリーズ』第5話は、「第二の血痕」(翻訳によっては「第二の汚点」とも訳されている)の中に登場する「マーゲートの女の事件」がモチーフとなっているようだ。

参考:ほか場面写真はこちらから

 政治家の息子・町田(永井大)の暮らす部屋から、大量の血液や凶器と思しきナイフ、死体損壊に使うようなノコギリが発見されるが、死体はおろか運び出された痕跡もない。上からの圧力で町田を解放せざるを得なくなった江藤(佐々木蔵之介)は獅子雄(ディーン・フジオカ)に事件の捜査を依頼。やがてその血液が町田の会社の後輩・乾(葉山奨之)のものであることが判明。さらに乾が町田から執拗なパワハラを受けていたことが発覚するのだ。

 例によって今回も「マーゲートの女の事件」を示す要素が随所に散りばめられている。乾の母親・千沙子(若村麻由美)がかつて勤めていた病院の名前が“聖マーゲート病院”であったり、前述の原作の文章の後に登場する「鼻にパウダーのひとつもはたいてない」というフレーズからインスパイアされたであろう、千沙子が家にいる時は薄化粧をしているのにテレビカメラに映る時にはノーメイクだったことから疑いの目を向けるというくだり。さらに「第二の血痕」と同様に、事件現場の血痕の違和感が謎を解く鍵となったり、容疑者と思われた人物が襲撃される点や政治家が絡むあたりも原作を意識したものと思える。

 ところで、ドラマも半分を迎え“犯罪コンサルタント”獅子雄と“精神科医”若宮(岩田剛典)のホームズ&ワトソン感もすっかり板についてきたように思える。今回のエピソードではとくに、ふたりの立場を明確に表すような台詞が際立っていたのではないだろうか。町田の鼻につく態度に苛立ちながらも、罪を犯していない人間が裁かれてはならないと冷静な態度を貫く獅子雄。まさに町田に罪を着せようと画策した千沙子に語る「このように完全犯罪はない。限りなく完全に近付けたとしても他の人間に罪をなすりつけることはできない」という言葉は、“探偵”ではなく“犯罪コンサルタント”であることにこだわりながらも、その肩書きなど関係なしに、純粋に真実を追い求め、悪を許さないという確たる姿勢が見受けられる。

 こうした冷静沈着でいまだ謎多き獅子雄の存在感は、その時折見せるユーモラスな一面も相まってディーン・フジオカだからこそ体現できるものであると、回を重ねるにつれてまざまざと思い知らされるものだ。またそういった点からも、感情に流されそうになりながら獅子雄に引っ張られていく若宮の姿も、岩田剛典で正解なのだと改めて感じるばかり。

 そんな若宮も、獅子雄に負けじと精神科医の立場で「心臓を刺せば血が出る。心を刺しても血が出ない」という名言を生み出した。せっかく2人がバディとしての関係を完成させ始めたばかりというのに、終盤で若宮は獅子雄との“終わり”を想像する。そろそろこの2人の関係に何か動きが見られてくるような予感がしてならない。 (文=久保田和馬)

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