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『ターミネーター』正統な続編がついに公開! T・ミラー監督が語る

ぴあ

19/11/8(金) 12:00

ティム・ミラー監督

アーノルド・シュワルツネッガーとリンダ・ハミルトンがキャストを務め、シリーズの生みの親ジェームズ・キャメロンがスタッフとして帰還した映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』が本日から公開されている。製作陣は1991年の『ターミネーター2』の正統な続編を描くために準備を重ね、「僕とジムは映画の作り方が異なる」と語るティム・ミラーをあえて監督に招いた。なぜ彼らは『デッドプール』で成功をおさめたミラーを監督に選んだのか? ミラーへのインタビューを通じて彼のビジョン、そして新作映画のポイントが明らかになった。

キャメロンが自ら脚本を執筆して監督もした『ターミネーター』とその続編『ターミネーター2』は全世界で驚異的な成功をおさめたが、彼がシリーズを離脱して以降は続編をつくっては“ターミネイト(抹殺)”して仕切りなおす……が繰り返されてきた。そこでついにキャメロンが創作の場に復帰。人工知能の反乱による人類壊滅の危機“審判の日”を回避したはずの世界で、再び危機が起こる物語が生み出された。

「このシリーズを決定づけている要素は複数あるのでひとつに絞ることは難しいけど、母親の子どもに対する愛情が非常に重要なポイントになっていると思う。親は子どものためにどこまで戦うことができるのか? が問われるんだ。それにこの映画はジャンルとしてはSFだけど、観客が“おそらくこんな状況が起こりえるのだろうな”と思える設定であることが大事なんだ」とミラー監督は語る。

そこで彼らは、これまで通り“未来から訪れた殺人マシン”と“なぜか狙われる者”、そして“ターゲットを命がけで守る者”の構造を引き継いだ。メキシコで暮らす平凡な女性ダニーの前に恐ろしい殺人マシン“REV-9”と、彼女を守ろうとする人間グレースが現れる。両者はともに未来からの訪問者で、さらにかつて“審判の日”を回避するために戦ったサラ・コナーもダニーの前に現れる。なぜ、ダニーは狙われるのか? 謎に満ちた物語が幕を開ける。

ミラー監督はアクション演出に長け、CGアニメーション会社ブラー・スタジオも率いる才人で、『デッドプール』で鮮烈な監督デビューを飾ったが、そもそもが大の映画ファン、オタク気質であることを公言していて「この映画でも可能な限り、シリーズの最初の2作と同じペースを守って、観客に“あのシリーズが戻ってきた!”と思ってもらいたかった」と説明する。「ジムが最初の2作で描いた映画は、まず最初にアクションを描き、その後にキャラクターをしっかりと描いて、ある段階からはノンストップでアクションが続く構成になっている。そこはこの映画でもあえて同じバランスにしたんだ」

しかし「僕とジムは映画の作り方が異なるんだ」と語るミラー監督は、そこに自分なりのアイデアを盛り込んだ。前作から28年が経過した現代の観客の心を掴むアクションシーンの数々だ。「そこについては事前に綿密に計算をしたよ。単にアクションが続くだけではなくて、観客が退屈しないように様々な状況を用意し、いろんなアクションを考えた。その上で、各キャラクターそれぞれの感情や動きを計算して、物語全体にちゃんと結びつくものにした。要素が多くて複雑だから撮るだけ撮って編集でどうにかできるようなものではない。でもしっかり準備したおかげでアクションを展開させながら、同時にキャラクターを描けるものになったよ」

本日公開されたばかりなので詳しくは書かないが、本作は大スクリーンで観たいアクションが次から次に登場する。接近戦、ガンアクション、巨大輸送機内でのバトル、水中での死闘……その中でミラー監督は過去のシリーズのカラーを引き継ぎつつ、自分のこだわりも盛り込んでいる。

「ジムの映画の特徴は、現実を少し高めたような“映画的なリアリティ”だ。一方、僕はリアルな人がリアルに振舞うことにこだわる。だから編集段階では、いつもなら入れないような“映画的なセリフ”をあえて盛り込んでシリーズのテイストを守った。その一方で、未来からやってきたグレイスのキャスティングには僕のこだわりがある。もしジムがキャスティングしたら屈強なファイターのような女性を配役したかもしれないけど、僕はあえてマッケンジー・デイヴィスを選んだ。彼女は演技がうまいから、人間のもってる温かさや感情の微妙なニュアンスを見事に表現してくれたよ」

さらに彼は物語にも自身の想いを盛り込んでいる。「この映画はAIの話を描いているけど、そんなことは関係なく、そもそも人間や文明というのはとても“もろい”ものだと思うんだ。誰かのちょっとした行動やきっかけによって、すべてがひっくり返ってしまう可能性がある。だから私たちはいつだって慎重にならないといけない。その点は警鐘を鳴らすために盛り込んだよ」

シリーズへの愛情があり、その構造や要素を冷静に分析する能力があり、現代の観客がどんなアクション描写を求めているのか理解していて、“創造主”キャメロンにビビることなく自分のビジョンを盛り込むことができる。ミラーが監督を務めたことで、本作は人気シリーズの続編、ド派手なアクション映画以上の作品になった。思い返せば、バトルとギャグがテンコ盛りの『デッドプール』はどこをどう切っても“超ピュアなラブストーリー”だった。本作が単なるアクション映画で終わるはずがない。「ありがとう! 『デッドプール』をラブストーリーだと言ってくれるのは……グレイトだよ!」

『ターミネーター:ニュー・フェイト』
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