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井川遥、『おちょやん』で千代を導く存在に? 過去の朝ドラ出演で見せた様々な姿

リアルサウンド

20/12/14(月) 6:00

 『おちょやん』(NHK総合)第2週目「道頓堀、ええとこや〜」で、道頓堀の芝居茶屋「岡安」に奉公に出された主人公の竹井千代(毎田暖乃)は、初めて演劇の世界に触れる。そこで出会った上方演劇界のスター女優として登場するのが、井川遥演じる高城百合子だ。少しの登場シーンでも、その堂々とした振る舞い、優雅で気高き姿に往年の大女優の風格を漂わせていた。舞台上の彼女の芝居に千代も一気に引き込まれ、以来千代にとっての憧れの女優となるのだった。

 井川にとって本作は朝ドラ出演3作目となる。まず1作目の『純情きらり』(2006年)での主人公の姉であり一番の味方である心優しき“杏姉ちゃん”役は、井川自身が持つたおやかさや包容力がそっくりそのまま生かされた役どころだった。2作目の『半分、青い。』(2018年)では、全く違う顔を見せ、彼女のこれまでのイメージとはかけ離れたキャラクターを演じてのけた。少女漫画家のマネジメントを担当する“ひしもっちゃん”こと菱本若菜として、40代ながら「ピンクハウス」のガーリーな衣装を見事に着こなす姿が印象的だった。冷静沈着で淡々とした話し口調、怒ると理路整然と超早口になるような頭の回転が速くかなりユニークな役どころを見事演じ切った。ここまで濃いキャラクターを演じるのは彼女にとって珍しいことではないだろうか。彼女が演じることで、どんな女性キャラクターにも秘められている“愛すべき部分”が丁寧に表現されるのが毎度お見事である。

 『半沢直樹』での小料理屋の女将・智美役では、美しい着物姿とそれに合ったしっぽりとした佇まいが話題になった。企業戦士らの熾烈な争いが繰り広げられるストーリーに束の間の“安息の地”をもたらしてくれるようなポジションを体現していた。いつも半沢(堺雅人)と同僚らの愚痴に優しく付き合ってくれていたかと思いきや、やけに銀行の内部事情に詳しく、後半戦には中野渡謙頭取(北大路欣也)の元部下であることがわかってくる、実際には“敵か味方か味方かわからない”謎めいた存在だという重層的な役どころでもあった。“控えめ”でありながら、強く後まで尾を引く印象を残し続けられるのも井川の魅力の一つだろう。彼女には過剰であることが全くない。“引き算の美学”こそ大人ゆえの余裕と経験値があって初めて手を出せるものだろう。

 プライベートでは2児の母親になり、ファッション誌『VERY』(光文社)にて9年間に渡ってカバーモデルを務めるなど、大人の魅力溢れる女優としてだけでなく、“憧れのママ”としての立ち位置の確立に成功した井川。彼女にとってこれがかなり大きなターニングポイントだったように思う。年齢を重ねるごとに内面から滲み出る美しさや妖艶さが際立ち、品のある色気も相まって同性人気まで一気に押し上げた。「好きな40代女優ランキング」でも、上位常連組となっている。元来持ち合わせている“癒し系”の雰囲気のみならず、今やそこに秘めたる強い芯と品性が加わり、独特の存在感と余韻を残す“女性が気になる女性”というポジションを不動のものにしている。

 『おちょやん』第3週目「うちのやりたいことて、なんやろ」では、18歳に差し掛かった千代(杉咲花)が高城百合子と再会を果たすようだ。芸術のために自由な人生を突き進む百合子と、これまで自分のことは二の次三の次で、“家族のため”“弟のために”、何よりまず“生きるために”働き続けてきた千代。そんな正反対な二人が出会った時にどんな化学反応が起きるのか。現に世の同性にとっての憧れの対象である井川本人が、奔放でつかみどころのない大女優・百合子をどう体現し魅了してくれるのか楽しみである。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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