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大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん

緊張すること自体を楽しむ

毎週連載

第89回

20/9/20(日)

私って「どんなときもクールだよね」とか「緊張しないでしょ?」と言われることが多くて。

でも実際は、どの番組でも人前に出る時は、もれなく毎回緊張しています。『さんま御殿』や『アメトーーク!』など、がっつり喋って、かつ笑いをとらないといけないモノなんか特に。

『さんま御殿』の直前って、ゲストが全員集合して、段取りの説明をうけるんですが、もう手に持った紅茶のティーカップが震えでカチカチと音を鳴らすことだってあるくらいですから。

昔、まだ若手で番組に呼ばれ始めた時なんかは、もっと緊張してました。収録現場に慣れていないから、とりあえず予習をしていこうと前日にシュミレーションをしていくことも。MCからふられたら「このエピソードで、この単語を使って、この言い回しでいこう」としっかり構成までを考えていくんです。

でも、そうやって考えて番組に出ると、緊張しているのもあって噛んじゃうこともあるし、仕込んでいたエピソードの途中で別の芸人さんが入ってきて、話題が他に行っちゃうみたいなことも多々あって。ガチガチに決めこんでいると、臨機応変に対応できないんですよ。もともとが真面目な性格ゆえ、真面目に取り組んだものの失敗すると、もう、どうして良いかわからなくなっちゃいますよね。

だから最近は、番組に出る前は、まず脳みそをフニャフニャにすることに。「脳みそフニャフニャ」って、なかなか説明しにくいんですけど、思考がガチガチに固まらないようにするメンタルコントロールみたいなことですかね。やはり、特にバラエティ番組なんて、台本通りにいかないですから。急な展開、急なふりについて行けるようにフニャフニャしといたほうが良いんです。

でも、良い塩梅のフニャフニャ具合に持っていけるのは体調次第で。寝不足や二日酔い頭がボーッしている状態はダメです。もう、何かと反応が鈍くて遅くなってしまうんです。「ここから挽回しよう」なんて気持ちも起きないから、すぐ諦めてしまいますし。

だから、特に大事な番組に出るときは、前の晩からお酒を飲まず、早めに就寝するように心がけています。

その「脳みそフニャフニャ」をした上で、程よい緊張感を持ち、前向きに楽しむことが出来た時が、意外と良い結果を残せてるような気が。「こんな楽しい環境、あと何回あるかわかんないんだから」とか「こんな面白い人が周りにいるんだから、もう任せちゃえばいいんだ。楽しもう」って思い込んで臨む感じですかね。

だから、もともと人見知りだし、ひと嫌いなところがあるんだけど、自ら「人が大好き、悪い人なんていない」と暗示をかけてます。結果、以前より人見知りがなくなりました。

だから、緊張は毎回絶対にしているんだけど、最近はその緊張を楽しめるようになりつつあります。

そもそも「笑い」って楽しいことですしね。イヤな気持ちでなんかやれないです。

あと、どこかで読んだのですが「緊張が人を綺麗にする」らしいですよ。緊張している時に出る脳からの分泌液だか何かが、人を輝かせるらしいです。

なんで、みなさん緊張を楽しんでいきましょう!



構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

大久保佳代子おおくぼ・かよこ

1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/

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