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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

じんが明かす、すべての経験を生かした創作活動「嘘のない作品を出せたことが自信になった」

リアルサウンド

18/11/16(金) 18:00

 一連のMVや楽曲がひとつの物語を生み出し、謎が謎を呼ぶ展開が話題の『カゲロウプロジェクト』。ティーンの間で大人気となったシリーズ作品は、2011年2月に“じん”のデビュー曲「人造エネミー」が動画共有サイトへアップロードされたことからはじまった。

 “じん”が自ら手がける、楽曲の世界観と連動した小説『カゲロウデイズ』(KCG文庫)も大ヒット。小説版は第8巻でフィナーレを迎えた一大絵巻となっており、現在までにシリーズ累計900万部を突破している。アニメ化や映画化もされた本作は、目に特殊能力を持ち、孤独と苦悩を抱えた少年少女たちの“ジュブナイル性”のようなものが描かれた物語だ。

 音楽作品としては、1stアルバム『メカクシティデイズ』(2012年5月30日)、2ndアルバム『メカクシティレコーズ』(2013年5月29日)に続いて、約5年6カ月ぶりに待望の3rdアルバム『メカクシティリロード』を11月7日にリリースした、“じん”。同作には先行してMVが公開された「失想ワアド」をはじめ、 最新リード曲「アディショナルメモリー」など全9トラックを収録。同プロジェクトの音楽と物語を創造する、唯一無二のストーリーテラー“じん”に話を聞いた。(ふくりゅう / 音楽コンシェルジュ)

“自己”が色濃くなった気がする

――5年6カ月ぶりのアルバム『メカクシティリロード』。素晴らしい作品となりましたが、完成した感想は?

じん:この数年間いろいろなことがあって、もう創らなかったかもしれない作品なんです。いい方々と出会えたエネルギーによってようやく完成しました。ひとりじゃ作れなかったなぁと感じています。愛着もありますし。2ndアルバム『メカクシティレコーズ』はやり残した感があったんですが、『メカクシティリロード』に関しては全くやり残した感がないですね。

じん−メカクシティリロード / アルバムクロスフェード

――曲作りはいつぐらいから?

じん:去年の年末に1曲創って、間にぽこぽこいろんなことがあったりして、合計2~3カ月くらいですかね。

――どんなイメージをもって楽曲制作に臨みましたか?

じん: 2曲目の「イマジナリーリロード」の歌詞で表しているんですけど、最近世の中にはお洒落な曲が多いなと思っていて。なので逆張りしようと、誤解を恐れずにいえば漫画雑誌『コロコロコミック』みたいな曲にしようと思って創りました。歌詞に〈空想を叫べ! 今!!〉ってあるんですけど、ああいう強い言葉というか。“熱くてどうなの?”って言われてしまうような歌詞を書きたかったんです。特に「イマジナリーリロード」は、自分のモラトリアムを表現した曲ですね。〈散々な今日が 終わって「大失敗だ」って 笑って〉というはじまりの歌詞で。それが、この5年間の自分に重なるんです。

――『カゲロウプロジェクト』には、“大切な人を救い出す”というテーマがあると思うのですが、本作は“大切な自分の思い”を救い出したようなアルバムになってますよね。その根源となっているのは怒りのパワーのように感じます。

じん:確かに自己が色濃くなった気がしますね。「失想ワアド」でも〈不思議なことに この世界は 「普通なこと」が 難しくて〉というような怒りの曲を書いています。小さな頃から僕はスポーツが全然できなくて、体育のときに走らされるのが地獄だったんです、まじで。生まれ持ってフィジカルがいいヤツは、笑いながら楽しそうに走っていきますけど。そんな“なんでこんな地獄みたいなことしなきゃいけないんだ”っていうことが、世の中にはたくさんあると思っていて。だから〈「普通なこと」が 難しくて〉と歌っています。あと、今回のアルバムで特に大きかったのは「ロストデイアワー」と「リマインドブルー」の2曲を創ったこと。「アディショナルメモリー」は一曲鋭いものを足そうという感覚で創ったんですけど、「リマインドブルー」は早い段階からあって。すでにある「サマータイムレコード」(『 メカクシティレコーズ』収録)という曲よりさらに深いところで実写的な、解像度のあがった夏を描いてみたくなったというか。そんな大人になった感が宿る「ロストデイアワー」と「リマインドブルー」の2曲は、けっこう自分のなかでペアリングしていますね。

じん(自然の敵P) – 失想ワアド / JIN(SHIZEN NO TEKI P) – Never Lost Word

――今回、レコーディングのメンバーは?

じん:ヒトリエのゆーまおさんや、白神真志朗さんに参加してもらってます。

――白神さんも最近ソロで曲を出してますよね。

じん:そうなんですよ、お洒落な曲で。“絶対に負けない、俺が倒す!”って思ってます(笑)。白神さんは『メカクシティリロード』を聴いて「ロストデイアワー」が良かったって言ってくれて。すごい良い人だなって思いました(笑)。4曲目の「マイファニーウィークエンド」の編曲は、尊敬するsasakure.UKさんにお願いして。念願ですね。ボーカロイドの曲を初めて真剣に聴いたのってsasakure.UKさんの「*ハロー、プラネット。」や「タイガーランペイジ」だったので。

sasakure.UK – *Hello, Planet. feat. Miku Hatsune / *ハロー、プラネット。

――「マイファニーウィークエンド」はかなり自由度の高いアレンジです。

じん:後半は『MOTHER2 ギーグの逆襲』のようなイメージで。

――そんな話もされたんですか?

じん:展開として静かになったところから、テーマフレーズがめちゃくちゃいいメロディで鳴るみたいな。プログレっぽくもあり、ジャジーな流れで。メロディはELP(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)っぽいっというか、初期プログレの空気。そういうところでもsasakure.UKさんとはシンパシーが近くて良かったなって。

――“じん”さんの音楽は何度も読みたくなる歌詞も特徴的ですけど、メロディやアレンジへのこだわりも強いですよね。何度聴いても新たな発見があって、毎回新鮮な気持ちで聴けます。

じん:軸はメロディだと思っています。僕にとっての“いいメロディの基準”はずっと心の中にあったんです。でも“これ”って言いきれなかったものが、今回具体的に揃ったなって。「ロストデイアワー」のサビとか、「忘れてしまった夏の終わりに」の和風な感じとか。「アディショナルメモリー」のBメロでサビが2段階になっていて〈友達なんかになりたくなかったな〉ってフレーズがあるんですけど、あそこのメロディはキャッチーですよね。

――「アディショナルメモリー」は重要キャラクター、アヤノが描かれている動画も含めてインパクトが強いです。

じん−アディショナルメモリー / JIN−Additional Memory

じん:そうですね。でも、なんか小難しい歌詞とかいらないんじゃないかなって。別に『カゲロウデイズ』を知らなくてもいいと思ってもらえる曲にしたいなって考えてました。それこそ、「アディショナルメモリー」を出した後に「『カゲロウデイズ』とか知らないけど、すごくいい」って言ってくれた人がけっこういて。「失想ワアド」も実はそうで。

――なるほど。ファンはファンで楽しめるけど、曲としても独り立ちできる感はありますね。レコーディングをしてみて、さらに良くなった曲はありましたか?

じん:8曲目「忘れてしまった夏の終わりに」ですね。サビのメロディは小学校5~6年生の頃に母ちゃんが車のなかで流していた音楽のようで。そういう郷愁を感じた曲です。あと「イマジナリーリロード」は何度もやり直しましたね。

――サビの展開が突き抜けていて、ギターも尖りまくっていてカッコいいです。

じん:28歳にして人生最高BPMとなりました。

『カゲロウプロジェクト』は頭が枯れるまで続けていきたい

――“じん”さんの王道感もありつつ進化も伝わってきて……まるで映画のようなプロローグで、1曲目の流れから2曲目に入るところで“これはいいアルバムができたな”と直感的に感じました。さらに「忘れてしまった夏の終わりに」のエピローグ的な“終わった夏が続くなら、次はどんな話をしよう”というセリフから“あ、続くんだ”って希望も感じて。

じん:来年もアルバムを作るので、楽しみにしていてください。今回は9曲なんですけど、最初は14曲の構想だったんですよ。すごい曲数になってしまうので前後編にしようかと考えていて。次はまたカラーが全然違うと思います。住み分けたんですよ。まだまだ自分のなかで出したい引き出しがいっぱいあって。

――次も5年後ですかね……?

じん:次は、ちゃんと早く出ます(苦笑)。今回のアルバムの収録曲の「リマインドブルー」に、〈君の歌った「大人が嫌いな歌」を〉というフレーズがあるんですけど、ボカロとかアニソンとか大人は嫌いじゃないですか。偏見とかで聴かないじゃないですか。でも、そこにある輝きというか、僕らの曲を楽しそうに歌っている子どもたちがいることが嬉しくて。そういうところも含めてアルバム『メカクシティリロード』を出せて嬉しいですね。満足してます。

――ロックアルバムとして、いわゆるボカロ作品というイメージの枠を超えてきたなと思いました。もし偏見を持っている人がいたら、そういう人にも聴いてほしいアルバムだなと。

じん:嬉しいですね。アルバムに宿す哲学全部を、胃に穴が空きそうになるまでたくさん考えて封じ込めました。各曲、どれもリード曲だと思っていて。

――なおかつ、ハマろうと思えばここから過去のアルバム/小説/動画にも遡ることができるし、奥深い世界を提供していますよね。そんな中でも、いい入り口となるのが最新アルバム『メカクシティリロード』だと思いました。作品としてアウトプットできてよかったです。

じん:すべての経験が、いいメロディに変わったと思っています。今後もそう思える作品を創っていきたいです。

――『カゲロウプロジェクト』は続いていくんですか?

じん:僕の頭が枯れるまでは続けていきたいなと思って。

――今後、アルバムからさらなる動画作品も?

じん:後発の映像作品は出す予定でいます。「イマジナリーリロード」か「リマインドブルー」かなぁ。でも、しづさん(『カゲロウプロジェクト』関連の映像を担当しているクリエイター)に「リマインドブルー」を聴いてもらったときに、「やりたいことを全部ぶちこみましたみたいな曲だ」って言われたので(笑)、個人的には「リマインドブルー」を出したいです。まだ決まってないですが。

――ここ数年、ボーカロイドプロデューサー出身のアーティストがロックシーンを飲み込んでいきそうな勢いですが、それぞれ交流はあるんですか?

じん:最近はこのアルバムを創るために篭っていたので友達が減りましたね(苦笑)。連絡をもらっても返してなかったし、無視してたわけではないんですけど返せなかったんです……。だいぶ友達が減った気がします……。でも、このあとryoさん(supercell)に会いにいきますよ。この4~5年でwowakaさんに「もっとこういう風にやったらいいよ」ってアドバイスをもらったり、米津(玄師)くんは同い年だからいろいろ話してますし。堀江晶太くん(PENGUIN RESEARCHのベース/ボカロ名義はkemu)とかにも、いい影響をもらっています。

――“じん”さんも含め、間違いなくみなさんが時代を作っていますもんね。

じん:間違いなくボカロシーンが、現代のロックシーンだと思っています。ボカロは以前からロックだったんですよ。でも、批判や偏見がありましたからね。一方で、ロックってカウンターカルチャーだったわけで大人から批判されるものじゃないですか。いろんなコンプレックスがありながら反骨で鳴らす音楽。そんな瞬間に直面してしまう人たちに向けて、ここにもいるぞって伝わったらいいなと。誰かにとっての力になれたら嬉しいです。

――では、待ってくれていたファンへメッセージを。

じん:嘘のない作品を出せたことが自分にとって自信になりました。あったかもしれない3枚目より、戦い抜いた3枚目はすごくいいと思うので。とはいえ、聴いてくれるあなたに評価は委ねます。5年6カ月、待っていてくれてありがとうございます。このアルバムが好きな人は僕と仲良くなれます(笑)。このアルバムは怒りのパワーで創った感じがありますね。でも、正しいロックですよ。本当に“この商品は正しい怒りが込められています”っていう公認判子を押したいですもん。ぜひ、楽しみにしていてください。

(取材・文=ふくりゅう)

■リリース情報
『メカクシティリロード』
発売:11月7日(水)

<配信>
「失想ワアド」「アディショナルメモリー」詳細
・iTunesはこちら

・初回限定盤A(CD+漫画/三方背スリーブケース仕様)
¥2,980+税
※じん書き下ろしのストーリーに、沙雪が作画を手掛けたオリジナル漫画を封入

・初回限定盤B(CD2枚組/三方背スリーブケース仕様)
¥2,980+税
※Disc2にはアルバム楽曲より、じんの弾き語りによるアコースティックバージョン4曲を収録予定

・通常盤(初回プレス分のみ三方背スリーブケース仕様)
¥2000+税
※通常盤は、初回プレス分のみ三方背スリーブケース仕様。販売終了後に店舗ごとに順次切替え

<CD収録曲>
M1. エバーユースロードショー(Instrumental)
M2. イマジナリーリロード
M3. 失想ワアド
M4. マイファニーウィークエンド
M5. アディショナルメモリー
M6. ロストデイアワー
M7. リマインドブルー
M8. 忘れてしまった夏の終わりに
M9. グッバイサマーウォーズ(Instrumental)

<店舗特典情報>
アニメイト「キャラクター集合絵柄クリアファイル(A4)」
タワーレコード「キャラクター集合絵柄ミニポスター」
とらのあな「キャラクター集合絵柄ポストカード」
TSUTAYA「通常盤ジャケット絵柄ステッカー(CDサイズ)」
Amazon.co.jp:「ポストカード(失想ワアド Ver.)」
UNIVERSAL MUSIC STORE:「ポストカード(アディショナルメモリーVer.)」
応援店舗:「メカクシティリロード」告知ポスター(B2)

※応援店舗の店舗詳細は後日発表
※それぞれ購入先着特典となる
※上記チェーンでも一部、取り扱いのない店舗もあり。詳細は各CDショップにて

(C)2018 KAGEROU PROJECT / 1st PLACE / EDWORD RECORDS

CD購入者特典「メカクシティリロード」告知ポスター(B2) 応援店舗詳細

■関連リンク
EDWORD RECORDS オフィシャルサイト
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じん オフィシャルTwitter
じん ニコニコ動画チャンネル

※「VOCALOID(ボーカロイド)」ならびに「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。

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