KAWS 《GONE》 2018
90年代初めにグラフィティアーティストとして頭角を現し、さまざまなファッションブランドとのコラボレーションでも知られているアーティスト、KAWS。彼の大規模な個展『KAWS TOKYO FIRST』が、森アーツセンターギャラリーにて10月11日(月)まで開催されている。
KAWSは、1974年生まれのアメリカ人アーティスト。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に、絵画や壁画、グラフィックデザインやプロダクトデザインなど、多岐に渡る作品を精力的に発表し続けている。彼のキャラクターは、世界的に注目され、コラボレーショングッズは常に完売するほど人気だ。
この展覧会は、そんな現在最も注目を集めるアーティスト、KAWSの日本国内初の大型展覧会。屋外広告にグラフィティを施す初期の活動から、最新作の立体作品まで150点を超える作品を展示し、彼のユニークな活動の軌跡や美術史的な意義までたどっていくものだ。展覧会名の『KAWS TOKYO FIRST』は、2001年に渋谷パルコで開催されたKAWSの日本初の個展と同名のもの。20年前の展覧会と同一タイトルにすることで、原点回帰を図っているという。
KAWSの作品は、ポップカルチャーやアニメーション作品などのキャラクターや世界観に強くインスパイアされている。KAWSを代表するキャラクター「コンパニオン」は、鑑賞者の記憶にも訴えかけてくる印象的なものが多い。
KAWSは、90年代から頻繁に日本を訪れ、日本のファッションブランドともコラボレーションを重ねてきており、日本のポップカルチャーにも大きな影響を受けているという。
また、展覧会ではさまざま試みも用意されている。展覧会冒頭を飾るのは、KAWSの所有する芸術作品の一部。ブルックリンにある彼のスタジオを再現したこの空間には、ヘンリー・ダーガーや、H.C.ウェスターマン、ジム・ナットなど、ジャンルにとらわれることなく、様々なアーティストの作品をコレクションし、インスパイアされていることが伺える。
さらにARを使用した作品も用意。事前にダウンロードしたアプリを使って、なにもない白い空間にスマートフォンをかざすと、顔を隠したコンパニオンが現れる。
白い板にスマートフォンをかざすと
顔を隠したコンパニオンが現れる。
展覧会は、KAWSではおなじみのキャラクターたちが、仲睦まじく家族のように寄り添う、2021年の新作《FAMILY》で締めくくられる。今後のKAWSの新展開を予感させるような作品だ。
アジア諸国を始め全世界で注目を集めているKAWS。最先端の美術の動向を掴むことができる、刺激的な展覧会だ。
取材・文:浦島茂世
『KAWS TOKYO FIRST』
7月16日(金)~10月11日(月)、森アーツセンターギャラリーにて開催
https://www.kaws-tokyo-first.jp/