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南條愛乃が語る、今だからこそ歌を介して伝えたいメッセージ「“みんなに”というよりは“あなたに”届けたい」

リアルサウンド

20/9/2(水) 16:00

 南條愛乃が、9月2日に初となるアコースティックアレンジアルバム『Acoustic for you.』をリリースした。同作には、南條本人がセレクトした楽曲を全12曲収録するほか、初回限定盤には2019年7月7日にTOKYO DOME CITY HALLで行われた『南條愛乃 Birthday Acoustic Live 2019』の映像も付属される。

 今作の制作に当たって南條は、「“みんなに”というよりは“あなたに”届ける」という点を意識したという。ツアーやバースデーライブなどでアコースティック編成を数々こなしてきた彼女だが、そんなライブとは異なるアレンジや空気感を取り込み、既存曲でありながらも新たな解釈で再構築されたまったく新しい作品となった。インタビューでは、今作の制作時に歌手として考えたこと、自身の歌との向き合い方、ライブが行えない中でも作品を通してファンに届けたいメッセージについて話を聞いた。(編集部)

去年のツアーは「経験としては蓄積されるものがあった」

【南條愛乃】NEW ALBUM「Acoustic for you.」初回限定盤特典ライブ映像(試聴用ダイジェスト版)

ーー今回、なぜアコースティックアルバムを制作することになったんでしょう?

南條愛乃(以下、南條):もともとオリジナルフルアルバムを作りかけている最中ではあったんですけど、こんな状況になってしまって。せっかく3年ぶりにフルアルバムを作っても、ツアーもやれるのかどうかという感じですし、作った楽曲たちを実際お客さんに披露できる機会がないかもしれないというのが、楽曲に対しても、ファンの人たちに対しても残念だった。

 とはいえ、何も作らないというのも寂しいからレーベルのプロデューサーと話したんですけど、去年はアコースティックライブツアー(『南條愛乃 Acoustic Live Tour Vol.1 17/47 ~わたしから会いにいきます!~ 』)を行った流れもあって、ファンの人たちから「アコースティックアルバムをいつか出してください」みたいな声もたくさん聞こえてきて。私やスタッフも昔から「いずれ出したいね」みたいな話はしていたんですけど、今年はバースデーアコースティックライブもできなさそうだし、「だったら今年は既存曲だけでアコースティックアルバムを作るのもいいかもしれないね?」ってことで、急遽路線を変更してこういう形になりました。

ーー確かに、ただ新曲を作って発表しただけで終わってしまうには勿体ないですし。

南條:そうなんです。もしまた来年新しいアルバムを出せて、ツアーができることになっても、来年作ったものと今年作ったものを一緒にツアーをやるときに披露できない曲が絶対に生まれるから。楽曲を作るからには大事に届けたいので。

ーー実際、昨年のアコースティックツアーも計17本とかなり多く回りましたが、そこで得た経験もかなり大きなものがあったんじゃないでしょうか?

南條:バースデーライブではアコースティックライブを何度かやっていたんですけど、去年初めてやったアコースティックツアーはライブハウスをまわったので、ファンのみんなとも距離が近くて。私のソロ活動は早い段階からホールツアーになっていたので、あのライブハウスならではの空気感や距離感でライブをできることは良い経験になりました。それに、ホールだとイヤモニを使ってバンドの音を聴いているけど、ライブハウスツアーのときは全部足元のモニタースピーカーで、かつバンドの実際の音も耳にしていたので、一緒に音楽をやるという意味では一体感がすごくて。それをお客さんたちと一緒の空間を楽しんでいる感覚が、去年のツアーでは一番色として濃かったかな。

ーーでは、そのアコースティックツアーの延長でアルバム制作に臨んだ感じでしょうか?

南條:でも、ライブとレコーディングとでは全然違って。やり慣れた曲だし、アコースティックライブもわりと回数を重ねていたので、今回のアルバムも「いつもライブでやっているようにやれば大丈夫」という気持ちで始まったんですけど、いざいつもどおりにやろうとするとどうにもしっくりハマらず。結構苦戦した曲もあったので、ライブとパッケージ化されてお客さんのもとに届けることは別モノなんだなと、改めて気づきました。

ーーなるほど。

南條:いつものライブどおりにやろうと思ってもできなくて、レコーディング中は「あれ、ヤバイ。なんだろう? 焦るな」という気持ちもありました。なので、最初に想像していたアコースティックアルバムの形よりも、また違った形……曲はすべて既存曲なんですけど、ライブをやることによって曲に対する理解度や馴染み方はリリースされた当時よりも深まっているし、それを蓄積した状態で再びレコーディングすることで、ライブにたくさん来てくれているお客さんが聴いても新鮮に感じられるアルバムになっているかなと思います。そういう意味では、思っていた形とはいい意味で違うものになったという手応えがあります。

「南條愛乃のアコースティックアレンジ、王道12曲」

アコースティックアレンジアルバム『Acoustic for you.』<全曲試聴動画>

ーー実はアルバムを聴く前は、もっとライブ感の強い作品になるのかなと思っていたんですけど、レコーディング作品として完成された内容になっていたので驚きました。

南條:ライブ感を強めにするか、CDとして作品寄りにするかは悩んだポイントではあるんですけど、初回盤に去年のバースデーアコースティックライブの映像が付くこともあって、ライブ感はそっちで楽しんでもらって、アルバムは曲自体を楽しんでもらえるものにしようかという話になったんです。

ーー収録曲はどうやって決めたんですか?

南條:私の中で「南條愛乃のアコースティックアレンジ、王道12曲」という感じで選びました(笑)。わりと想像つきやすいものだったり、去年のツアーで印象に残っている楽曲を12曲。中にはツアーでアレンジから変えているものもあるんですけど、全体的には去年のツアーの総括みたいな意味合いも含まれているのかなと思います。

ーーレコーディングはツアーメンバーの皆さんと一緒に行ったそうですが、アレンジに関してはどう決めていきましたか?

南條:歌録りより先に楽器録りがあったので不在でもよかったんですけど、アレンジのイメージが私がいるのといないのとでは違うんじゃないかってことで、楽器録りのときも一緒に参加させてもらったんです。先にバンドだけでプリプロという形である程度アレンジを固めつつ、思うことがあったらそこで修正してもらっていたんですけど、基本的にはツアーでやっていたアレンジにプラスする形で。

 ただ、ツアーだとどうしても腕の数も限られてしまって(笑)、出せない音もあるので、どうしても音を足したいバンドメンバーはベーシックトラックを録ったあとに追加していました。パーカッションの八木(一美)さんはハーモニカを吹いたり指パッチンしてみたり、ギターの星野(威)さんも「もう1本重ねていいですか?」と提案していただいたり、そこから抜き差しをしたりしたんですけど、そういう姿を見て「ツアー中、実はこういう音も入れたかったのかな?」という発見もあったりして(笑)。私自身も新鮮なレコーディングでした。

ーーそれもスタジオアルバムならではですね。

南條:はい。実際、足せば足すほど豪華にはなるし、派手にもなるんですけど、私としてはライブのときの音数に慣れてしまっているので、「あえてここはその音がないほうが、臨場感が出るんじゃないか?」と音を削ってもらったり、小さくしてもらったりもあったんですけど(笑)。そこは悩みつつ、相談しつつという感じでした。

歌いながら「考えている音」にならないことと葛藤

【南條愛乃】「believe in myself -acoustic arrange making MV-」(YouTube ver.)

ーーでは、ボーカルのレコーディングではどのようなアプローチを考えていましたか?

南條:ツアーと同じ感覚で歌うつもりでいたんですけど、最初につまづいたのが「スキップトラベル」だったんです。あの曲は去年、皆勤賞っていうくらい一番歌っている曲で、ツアーでもファンクラブイベントでもずっと歌っていたので「楽勝だぜ」ぐらいの気持ちでレコーディングに臨んだんですけど、どう頑張ってもいつものように歌えなくて。

ーーどうしてだったんでしょうね?

南條:ライブやツアーで歌うときは明るく軽快に、「旅に出たら楽しいよね」っていう気持ちのほうが前面に出ている歌い方だったんです。でも、今回はどう明るく歌おうとしてもしっくりこない。むしろどんどん焦るし、悲しい気持ちになってしまったんです(苦笑)。でも、その悲しい気持ちや切なさのまま歌ってみたらどうかなと思って試しにやってみたら、すごくしっくりきて。もともと「スキップトラベル」は「ひとり身軽に旅に出られたらいいな」って憧れていたり、「日常生活は一旦置いておいて、財布だけで旅に出てしまいたい」という願望を持っている人の曲なので、むしろ曲の主人公の気持ちにより近くなっていたというか。「今の『スキップトラベル』ってこういうテンションなんだ」って、すごく不思議な気持ちでした。

ーー初回盤には昨年のバースデーライブで披露した「スキップトラベル」の映像も収録されているので、ちょっとしたニュアンスの違いも含めて楽しめるのは、ある意味面白いですよね。

南條:そうですね。私もこんなふうに完成していくとは想像もしていなかったので、お客さんにどんなふうに聴いてもらえるか、感想が楽しみですね。

ーーアコースティック編成なので、普段のオリジナルアルバムと比べて鳴っている音数も限られますし、そのぶん歌にフォーカスが当たると思います。そこに対して、南條さんはどう向き合いましたか?

南條:自分の理想の歌声とか歌い方というものに、今の自分では全然届いていなくて。歌いながら「考えている音」にならないことと葛藤して、自分の中で戦いながらレコーディングしていました。毎回アルバムでご一緒しているディレクターさんは「いい! 素敵だよ!」と言ってくれるんですけど、自分では「いやあ、これじゃないんだよなあ……」と思ってしまって。でも、「ディレクターさんを信じます!」と(笑)。だけど、レコーディングが進んで曲数がどんどん増えていくたびに、やっぱり「今日はどんなレコーディングになってしまうのか?」と不安でした。バンドさんもこのアルバムを一緒に作れることを喜んでくれていたので、ライブとはまた違うやる気が伝わってきて、それをヘッドフォンで聴きながら歌にしてみると、うまく噛み合わないみたいなこともあって。そことどう折り合いをつけていくか、やってみないとわからないことが多くて、いつも歌っている曲とはいえ神経も頭も使った収録でした。

ーー歌い慣れている曲だからこそ、余計に強く感じたんでしょうかね。

南條:ああ、確かにそうですね。「いつもと違う」みたいな。

渦中というよりは過去の経験を歌うみたいな目線に変わって

ーー「理想の歌い方」という話が出ましたが、ここ1年くらいの南條さんが歌う作品を聴かせていただくと、南條さんの歌い方や発声が少しずつ変化してきているなと感じていて。

南條:まさに、去年のツアー終わりぐらいから歌い方を変えていて。より負担の少ない歌い方、声の出し方みたいなものをまだ模索している途中なので、まだ自分のものになっていないし理想には届いていないんですけど、ちょっとずつ自分の中で変化をつけている最中です。20代の頃はがむしゃらに歌うことが多くて、その歌い方をずっと続けてもいいんですけど、やっぱり歌を長く続けるなら喉も大事にしたいですし。20代って本当に若いし、そこにがむしゃらさも合わさってグッとくるものがあると思うんですけど、それだけじゃない歌い方というのも身に付けておきたいので、自分の中でレコーディングは毎回、今までと違った方向性でチャレンジしているところです。

ーーそのせいもあってか、馴染みのある曲だけどアレンジも新しいし、歌い方もオリジナルバージョンから変わってきているのもあって、完全に新曲という感覚で楽しめました。

南條:ありがとうございます。曲に対しても、例えば「believe in myself」のオリジナルバージョンのときは、自分の実体験から歌詞を書いているアルバム(※2015年7月発売の1stフルアルバム『東京 1/3650』)でもあったので、曲の主人公になっているみたいな歌い方だったんですけど、あれから月日も経って自分の年齢も上がって「believe in myself」を改めてレコーディングしてみたら、渦中というよりは過去の経験を歌うみたいな目線に変わって。それはそれですごくいい向き合い方だと思うし、聴いてくれるファンの人たちにも面白いのかなと思います。

ーー確かに表現する側としては、そこは大きな違いですよね。

南條:「いつでもあの曲を歌えば、あの曲の主人公に戻れる」という気持ちだったんですけど、アコースティックというアレンジも相乗効果なのか、こんなに立ち位置が変わるのと自分自身面白かったです。

ーーその一方で、「サヨナラの惑星」や「and I」など、ここ1年くらいの楽曲をリアレンジして収録するのは、初期の楽曲を歌い直すのとは違った感覚ではないでしょうか?

南條:まさにそうですね。「and I」のオリジナルバージョンはちょうど歌い方を変え始めた時期に録ったので、今回はより「こういうふうに歌いたかったんだよな」っていうことができたなと。また、「サヨナラの惑星」はピアノの(佐々木)聡作さんが気合いを入れてくれて、ライブのときよりさらに手数が増えていたんです。でも、ライブのときは私も歌でグイグイ引っ張っていく「サヨナラの惑星」って感じなんですけど、レコーディングでそれをやったらどうしてもピアノと歌が喧嘩してしまって。聡作さんがそうやって弾いてくれたんだったら、逆に私が一歩二歩引いてみたらどうかという歌い方をしてみたら見事にハマッたので、直近のリリース曲ですけどライブのときとは違う「サヨナラの惑星」がまた新たにできたなと感じています。

『Acoustic for you.』というタイトルに込めた思い

ーー今回、アルバムのアートワークも非常に印象的です。この煌びやかなイメージにはどういう思いが込められているんでしょうか?

南條:今回はアコースティックアレンジアルバムなので、アコースティック楽器たちと一緒に写りたいなというのがまず最初にあって。いつものアルバムと比べてアナログ感が強くなるので、色味も派手というよりは煌びやかであっても温かみのある、ちょっとアンバーっぽい色味にして、床もちょっと木目が見えていて、無機質というよりは有機的なものに囲まれた感じがいいかなと思って、セットを組んでもらったんです。そして、一本芯のある人物像が欲しかったので、背景は可愛くおしゃれに作ってもらったんですけど、人物はメイクやヘアメイクもキリッとした感じに仕上げてもらって、衣装もシックめな色を使って、意思強めにそこにドンといる、そんなイメージで作り上げてもらいました。

ーーどうしてそういう人物像をイメージしたんですか?

南條:これは『Acoustic for you.』というタイトルにもつながってくるんですけど、こういう時期になってライブもイベントもできなくなってしまって、直接お客さんに届けられるものがアルバムだとしたら、今回は直接届けることを意識したいなと。「みんなに」というよりは「あなたに」届けたい気持ちだったので『Acoustic for you.』というタイトルにしたんですけど、それに合った芯のある人物像が今回のイメージなんです。

ーー前作『LIVE A LIFE』が日常的な調度品の中にラフな部屋着の南條さんが座っている、その構図含めて今作と対照的な作りだなと思いました。

南條:確かにそのとおりですね。去年の『LIVE A LIFE』はライブというものが気づいたら日常生活に溶け込んでいて、当たり前の存在になっていたというコンセプトなので、今のライブができなくなってしまった時期の作品『Acoustic for you.』と真逆のコンセプトですし。偶然ですけど、面白い対比ですね。

自粛明けは音楽を一緒にやるのも久しぶりでじんわり感動

ーーアルバム初回盤には昨年のバースデーライブを収めた映像作品が付属します。CDを聴いてからこの映像を観ることで、ひとつ完結するものがあるのかなと思いました。

南條:去年は特にアコースティック漬けな1年だったので、ここまでの流れをまとめるという意味ではこの作品で総括することができたのはよかったなと思います。特にバースデーライブは弦楽器と一緒にライブをするのも初めてだったし、アンコールでは日笠陽子ちゃんと茅野愛衣ちゃんがサプライズで出演してくれて、それもすごく楽しかった。そのあたりも楽しんでもらえたらいいなと思っています。

ーー1年前のライブになりますが、改めてどんなことが印象に残っていますか?

南條:ずっとライブハウスツアーをやっていて、バースデーライブはホールだったので、なんだか距離感が全然わからなくなってしまって(笑)。ライブハウスではいつもはすぐ目の前にファンの子たちがいて、後ろでは普通に喋っている声が聞こえるぐらいの距離にバンドさんがいたのが、それがちょっと離れてしまったことに違和感もありました。しかもホールだとイヤモニをしないとやりにくいというのもあって、同じアコースティックライブなのにライブハウスとホールでこんなに違うんだと、ちょっとビビってしまいました(笑)。

ーーその感じ、映像の序盤で伝わってきました(笑)。

南條:ふふふ(笑)。曲がというのは二の次で、私はそれがすごく印象に残っていることです。改めて勉強になりましたね。

ーースタジオ作品ではがっちり作り込んだぶん、ライブ映像ではバンドさんとのちょっとしたやり取りや楽器隊のバトルなどが楽しめるのも醍醐味ですよね。

南條:そこも楽しんでほしいですね。バンドさんとはレコーディングも一緒だったので、そのライブの空気感みたいなものが出ているといいなとは思うんですけど、みんなもレコーディングのときに会うのが久しぶりだったので、自粛明けにレコーディングが始まったときは人と会うのも久々、音楽を一緒にやるのも久しぶりでじんわり感動したんです。「バンドさんたちもそんな気持ちだったらいいな」と思いつつ2、3曲やってみたら、いつもの感じに戻っていて、「お前、あそこああだったろ!」みたいなにやりあって。どう頑張ってもこういう空気感になるんだなというのが、このCDにも入っているといいなと思います(笑)。

「頑張って!」をみんなに伝えるには、私は作品を作るしかない

ーー今回は期せずしてアコースティックアルバムを作ることになりましたが、ここから音楽の届け方にも変化が伴うと思います。南條さん自身はこれから、どんな形で音楽やメッセージを届けていきたいですか?

南條:私はこの状況によって、いろいろなことが初心に戻ったような気がしています。活動年数を重ねれば重ねるほど「どういう仕掛けをしたら楽しんでもらえるのか?」とか「どう派手に見せたらいいんだろう?」とか、そういうことも考えなきゃいけないなと思っていたんですけど、人に会えなくなったりファンの皆さんと交流できる機会がほぼなくなってしまったことで、根底にあるのは何を大事にしているかという気持ちだったり、人に対しての優しさだったり温かい気持ちだったり、音楽だけじゃないですけど、それに勝るものはないし、それを一番大事にしないと人間的にダメだと、この時期を通して実感したんです。それが今後の表現の仕方とか届け方にどう反映されるかは、まだ自分の中には現れていないですけど、毎日忙しくしていると忘れがちになってしまうことを振り返る時間も結構あったので、そういうことを改めて忘れずにしたいなと。私、わりとせっかちなんですけど(笑)、「そういう気持ちがまだ自分の中にも忘れずに残っていてよかった」と思ったので、そういうものを抽出していけたらいいなと考えています。

ーー特に音楽を作って発表している人間としては、それを受け取ってくれる人の大切さも改めて感じる期間でもあったのかなと。

南條:そうですね。SNSがあるといくらでも発信はできるし、言葉は伝えられるんですけど、でも「1対大勢」になると言葉の選び方も難しいし、受け取る人によっては違う解釈をされてしまうこともある。そこの言葉選びもすごく難しいなと思っていたので、やっぱり届けたい人にちゃんと届けるには自分が真面目に作品作りをするのが一番なんだなと実感しました。

ーー先ほど、今回の『Acoustic for you.』というアルバムは「『みんなに』というよりは『あなたに』届けたい」という思いを込めたとおっしゃっていましたが、そこも初心に戻ることに関係していますよね。

南條:まだファンの方が少なかった頃って、1対1は無理ですけど、小さいコミュニティの中でのやり取りをしやすかったんですけど、今はなかなか難しいですよね。SNSを見ていたり、サイン会とかファンの方と交流する機会を得て、ファンの方の中に医療関係で働いている方がいるというのも知っていたり、「この子はこういう仕事をしている」というのが結構頭の中に入っているんですけど、この時期に「頑張って!」と思っていてもなかなか言えないじゃないですか。もし私が「頑張って!」と特定の方に言ってしまうと、「なんで私には言ってくれないんだ?」みたいになるから、その「頑張って!」をみんなに伝えるには、私は作品を作るしかないんだなと。今はそういう形で持ちつ持たれつ活動していけたらいいなと思っています。

■リリース情報
『Acoustic for you.』
9月2日(水)リリース
初回限定盤<CD+特典Blu-ray+フォトブック>
¥5,500
初回限定盤<CD+特典DVD+フォトブック>
¥5,500
通常盤<CD>
¥3,000
<CD収録内容>
1.believe in myself
2.黄昏のスタアライト
3.今日もいい天気だよ
4.サクラタイマー
5.リトル・メモリー
6.一切は物語
7.OTO
8.サヨナラの惑星
9.君が笑む夕暮れ
10.0-未来-
11.スキップトラベル
12.and I

<初回限定盤特典>
特典映像ディスク
・believe in myself -acoustic arrange making MV- 
・南條愛乃 Birthday Acoustic Live 2019 < TOKYO DOME CITY HALL >2019.7.7(sun)
・撮り下ろしフォトブック 

■配信情報
アルバム発売記念特番
animelo mix presents『南條さん、ニコ生する!!!』配信
出演者:南條愛乃
放送日時:2020年9月6日(日)
20:30~ 映像パート
21:00~ 本人出演パート (予定)

番組ページ
ニコニコ動画
YouTube

■関連リンク
オフィシャルサイト
オフィシャルファンクラブ「ごきんじょるの友の会」
公式Twitter
公式Instagram

ライブ写真=『南條愛乃 Birthday Acoustic Live 2019』より

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